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音楽で拡がる輪

My Favorite Things

2023年9月18日 (月)

人の心が壊れるとき… 「舞台 橋からの眺め @ 東京芸術劇場プレイハウス (9/10)」

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舞台 「橋からの眺め」 @ 東京芸術劇場プレイハウス

作    アーサー・ミラー
翻訳 広田敦郎
演出 ジョー・ヒル=ギビンズ

出演
エディ 伊藤英明 
ビアトリス 坂井真紀 
キャサリン 福地桃子 
ロドルフォ 松島庄汰 
マルコ 和田正人 
アルフィエーリ 高橋克実

なんだか、舞台らしい舞台(それってなに 笑)が、観たいね、となっていたときに、
パルコのアプリからこの舞台のチケット売り出しの情報をもらった。
「セールスマンの死」のアーサー・ミラーの作品なら、って、感じでチケットをとりました。
あと、演出は英国のジョー・ヒルギビンズというのも、魅力だったかも。
なので、ストーリーも配役も、、前日までほとんど頭に入ってなかったのです。汗

実は、春先、、演劇は東京で二連敗してたんです。汗


物語、はニューヨークの労働者階級が住む波止場。
アパートの地下に住む、港湾労働者のエディは、姉の忘れがたみである姪のキャサリンを娘のように育てていた。
そこへ、妻ビアトリスのいとこ兄弟が彼らの故郷シチリアから密入国し、同居。

弟のロドルフォは、エディと全く違った思考を持つ才能に溢れた男。
ハンサムでもある彼に惹かれるキャサリンを見て、エディは心の奥から湧き上がる不快感と怒りを募らせれいく。
仲間や家族を大切にするエディだが、思い込みが原因で皆んなの仲は崩壊、やがて悲劇へ。

小さな子どもを世間から守ってやらなければ、という、気持ちは、、
美しく育った大人のキャサリンに対して、心の奥に決してあってはならない感情が芽生えてしまったことにも目を背ける。

「自分のもとで世間の荒波から守って大事にしてやるのが使命」とばかり、キャサリンに固執。
そのことで、キャサリンとの関係はもちろん、妻、妻の従兄弟の兄弟、、全ての関係を壊してしまう。
最後は、彼らを裏切り密告し、裏切り者となり、マルコから死をもっての制裁を受けることに。

彼は、ずっとキャサリンが橋の向こうの華やかな世界に生きることを願ってきたのに、
それが現実になりそうになった時に、いいしれぬ不安に苛まされ、
自分の元から離れられないように仕向けていたのだが、、
旅立つ寂しさ、、それだけでは無いとおもうのですよね。
きっと、キャサリンを女性として愛してしまったのです。
それだけで、悲劇。

舞台は、若い俳優さんたちの熱情にあふれていて、巧みなに導かれ、
いろいろと思うところもあったのですが、終わったあとは、高揚感とともに感動的な気持ちでした。
古い物語ですが、人の感情は現代にも重なることがたくさん。。
人の心が壊れたとき、優しい関係は崩壊する。

そして、舞台装置がとても印象的で秀逸だと思いました。
また、演劇を観に上京するぞ! 笑

んじゃ、退散♪

2023年9月16日 (土)

瞑想のような時間 「「bhakti」〜 Byond the Mind Tour @ Jazz FLASH (9/14)」

Bhakti
 
「bhakti」〜 Byond the Mind Tour @ Jazz FLASH (9/14)
石井 信義 (g) 大村 亘 (tabla)
 
大村さんは、新潟にいろいろな方達とライブに来ます。
まるで、都内の演奏活動の一環?のように。。新潟で演奏したことのない奏者の方も。
いろいろなユニットで演奏するので、ドラムだけであったり、ドラムとタブラを使うことはあっても、
タブラだけでの演奏は新潟では初めてです♪
しかも、ギターとですよ。シタールじゃなくてギター。
と、、いうことで、木曜日に、ギターとタブラのライブに行ってきました。
 
 
ライブ前、タブラは座って演奏するので、最前列がいいよね、って、友人と最前列を陣取ってしまいました。
「bhakti」は、捧げ物という意味だそうです。
音による捧げ物が成り立ったか、否かは、神のみが知ることですね。
 
 
演奏前に、大村さんから少しお話があり、演奏途中でのMCや休憩が似合わない演奏なので、、
始まったら、90分ほどノンストップで演奏します。
と、お話があり、ライブが始まりました。
 
 
演奏が始まると、エフェクターを効かせたギターの響きが空間を大きく広げます。
と共に、、自分が小さな光になったよに、、気持ちが浮遊し、、
宇宙の闇や、深海の蒼さの中を漂うような感覚。
そこにタブラのリズムで、意識しない場所に導かれていく感じ…
 
互いの音に響き合って、、溶け合う。
楽器もお互いに共鳴しているような一体感。
途中、コンテンポラリー・ジャズのように、ミニマルなフレーズに反応しあって、
高揚しつつも、、
目を閉じて音楽に身を任せると、瞑想しているような静かな面持ち。
 
もしや、輪廻転生中の魂って、こんな感じ??
とにかく、凡人の私を、遠くの美しい世界へ導いてくれました。
心地よくて気持ちよくて 素敵な時間でした。

約2時間弱、ノンストップで休憩なし…あっという間でしたよ。
あれ?時空も超えたのか!
 
でも、凡人なので、つい目をあけて、、
タブラを周りを踊るように動く両手や、優しくギターの弦を抑えながらリズムを刻んでいく指に目がいってしまうのですが、
これは、絶対に目を閉じて聴く音楽ですね♪
 
不思議な時間をありがとうございました。m(_ _)m
また、体験してみたいです!
しかし、、演奏中の2人、、とても楽しそうでしたよ。
なんだ、あの微笑みは!
 
 
んじゃ、退散♪

2023年9月 6日 (水)

静寂と涼を求めて 『Dolphin / Greg Foat  Gigi Masin』

Dolphin


イギリスのジャズ・キーボード奏者のグレッグ・フォートとイタリアのアンビエント・エレクトロニクスの巨匠ジジ・マシンによるコラボ・アルバム。
2016年にジジのアルバム『Wind』を聴いたグレッグは、ずっと一緒にレコーディングできることを願っていたようです。


リモートでお互いに作曲し、相手の曲を発展させていくというスタイルで曲をつくり、イングランドにあるワイト島のスタジオでレコーディング。
レコーディングには、モーゼス・ボイド(ドラム)、トム・ハーバート(ベース)、シボーン・コスグローブ(フルート、クラリネット)らが参加しサウンドに奥行きを。


オープナーの「 Lee」から美しい空間が広がり、「London Nights」のメロウなメロディに心惹かれる。そのまま、心地よいビートを感じながら、心を揺らす。
そして、イルカになって青い海を泳ぐ「Dolphin」…、
ドラムレスで、漂うような「Sabena」、「Leo Theo」。
内省的で胸がキュンとする「Viento Calido」。
終演は、水の中のように揺れ動く「Your Move」。。


2人の気持ちが静かにとけあったクールでゆったりとしたサウンド。
落ち着いたテンションで、静かに心を満たしてくれる…猛暑を忘れちゃう一枚。
 


1.  Lee
2. London Nights
3. Love Theme
4. Dolphin
5. Sabena
6. Leo Theo
7. Viento Calido
8. Your Move
 


今日のおまけは、ご本人があげていた「Love Theme」。


 
んじゃ、退散♪
 

2023年6月28日 (水)

エタ・ジェイムズの歌声が耳に残る…  映画「PARIS TAXI (パリ タクシー)」

 

Paristaxi


監督・脚本・プロデューサー
クリスチャン・カリオン
撮影監督
ピエール・コットロー
音楽
フィリップ・ロンビ

出演
マドレーヌ
リーヌ・ルノー
シャルル
ダニー・ブーン



無愛想なパリのタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)が乗せたのは、終活に向かうマダム・マドレーヌ(リーヌ・ルノー)。
実は、彼は免停寸前で、人生も崖っぷち、、最愛の家族をどうやって守っていくかで精一杯の毎日。

彼は、彼女の回り道寄り道の依頼を渋々聞くのだが、最初はうわの空で聞いていた車中で語られる身の上話が壮絶すぎた。
優しくて人の良いシャルルは、次第に彼女の身の上話にのめり込んでいく。

一世一代の大恋愛で子どもをもうけたけれど、、その恋がやぶれた後、、
彼女は、再び恋をし、結婚…ところが、夫は暴力的だった…
支配的な夫から自分と子どもを守る為に、、、事件となり、彼女は捕まってしまう。

人生の悲劇はこれでは終わらない。

50年代、フランスでも女性の人権は薄っぺらなもの。
婚姻関係においても、男性優位で多少の暴力くらいでは、
女性からの離婚が認められなかったし、裁判になっても裁判長から陪審員まで男性。
女性の発言は非常に軽んじられていた。

そんな中での裁判で25年の禁固刑を命じられる。

刑務所に入れられるも、人権運動と模範囚だったおかげで13年ででてくるのだが。。

 

最愛の息子に自分が獄中にいたあいだのことを尋ねると


「僕は、、あのケレール家(夫の苗字)の人間なんだよ」


と、世間の目が辛かった心中を吐露する…
写真家となった子どもとは、心から打ち解けられぬまま、彼をベトナム戦争で亡くす。

そう夫へのリベンジは、簡単なことではなかったのだ。
最後、彼女の墓には「マドレーヌ・ケレール」と刻まれていた。
私的には、ここが悲しすぎて涙がでそうでしたよ。
裁判で、その名前で呼ばれることさえ拒否したマドレーヌ、、
でも、その名前を完全に捨てることは公的にはできなかった…。

ただ、車中での彼女は、自分の人生に後悔することなく、、堂々と話を進める。
そして、話の内容に共感し、感銘したシャルルと友人か家族のような絆が芽生える。

彼女も家族のような思いをもった彼に、彼の現在の1番の難題を解決する決心をした。
そう、基本的に切ない物語ですが、最後はやっぱりね、って、感じの大団円。
金は天下の回りものですね!

 
90年間の波瀾万丈の人生のマドレーヌ。
そう、人生はどう生きたっていいのだ。
自分の人生なのだから。

人生の修羅場をさりげなく語る、次々と現れる美しいパリの風景、心象に合う素敵な音楽。
特に、新しい恋が始まったときに流れたエタ・ジェイムズの「At Last」。
唯一無二の歌声が、胸に沁み入ります。だめだよ、その恋は!!

 

 
んじゃ、退散♪

2023年5月20日 (土)

陰鬱なエレガンスが紡ぐ世界「エドワード・ゴーリーを巡る旅 @ 渋谷区立松濤美術館」

陰鬱なエレガンスが紡ぐ世界「エドワード・ゴーリーを巡る旅 @ 渋谷区立松濤美術館」

上京する機会があったので、松濤美術館で開催中のエドワード・ゴーリーを巡る旅に行ってきました。

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不思議な世界観と、モノトーンの緻密な線描で創り出される世界は、決してハッピーな世界ではないのだけれど、、
そこに現れる困った不思議な生き物たちや、残酷なストーリーは、達観したクールな死生観みたいなものがあって、不思議とその世界に惹かれてしまいます。
なんでしょう、、いわゆる物語っぽい結末は、ほとんどないですね。
世間の道徳感を無視した登場人物が、我が物顔でのさばる不条理な感覚。。
言葉は汚いけれど胸糞悪さが心に渦巻き残ります。。

でも、そんな不幸で理不尽な世界を描き出す精密な線描は、とても優雅な雰囲気をもつ画風なんです。
暗く不穏ながらもとても印象的で魅力的。
なので、沢山の原画をゆっくる観られて嬉しかったです。


そう、、意外にも?子どもの頃描いていた「猫ちゃん」は、とても可愛らしい姿でした。
10歳頃から、作風にあの暗い影が差し始めるのですけど。。
現実でも、猫が好きで動物が好きで、終の棲家となったケープコッドの「エドワード・ゴーリーハウス」での晩年は、動物の保護活動に沢山の寄付もしていたようですし、鬼籍に入った現在も財団が続けているようです。

「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマを中心に観て廻る貴重な体験でした。
今回は、彼が大好きだった演劇やバレエに関するポスターや舞台芸術に関する展示も豊富で、
多彩な才能で、ご自身はとても優雅に生きてきたひたなのだろうなぁ、、と、思ってしまいました。
サブタイトル「陰鬱なエレガンスが紡ぐ世界」を堪能しました。

そして、ミュージアムショップで散財したのは言うまでもありません。。汗

んじゃ、退散♪

2023年5月 7日 (日)

レコードは思い出と共に永遠に 『音街レコード A面・ B面 / 毛塚 了一郎 / KADOKAWA』

A B
 
「音盤紀行」が面白かったので、買ってみました。
どうやら、即売会COMITAで書いていたレコード屋さんのシリーズをまとめあげたもののよう。
EP盤レコード(ドーナツ盤)のジャケサイズ、A面B面の2冊組。
 
東京の小さな中古レコード店で働く女の子、実梨とレコード・マニアの物語。
セピア色の時間が流れるレコード店、そこで働くレコード大好き実梨と、
タバコを吸うちょっとクールな友人の礼子のお話。
お話の内容は、漫画を読んでもらわずとも想像できるレコード愛、音楽愛、そして、オタクな内容。

彼女が好きな音楽は、ジャズではないけどれど、
ジャズ好きのレコード・マニアも「やる」ことは、、同じですね。笑

何十年も前の音楽だって、いきなりそこに現れるわけでなく、、
必然を踏まえて繋がっているんですよね。
彼女たちと聴いている音楽は違うけれど、、気持ちは通じるところがいっぱい。

A面「GET BACK」で、主人公が初めて都会の大きなレコード屋さんにいくのだけれど、、
周りの人のレコード蒐集家の勢いに圧倒されて、、レコードが探し出せなくなっちゃうんだけれど。。
私も、初めて行ったレコード屋さん(中古屋さんではない)で、同じような思いをしたことがあったっけなぁ。。
今考えると、可愛らしいものですっ!

ちょっと面白い話が、B面「音霊ドライブ」。
作者もタイトルも不明な女性のジャケットのレコード。
自分の好きなように神出鬼没。
ずっと一緒に居た大好きなレコード屋さんから、、
自分を受け入れてくれるレコード屋さんに移動の時がきました…

レコード1枚でも、いろいろな思い出や想いがありますよね。
レコ好きにオススメの漫画。


A面
1. 高架線下の音盤
2. 潜入!レコードストア
3. GET BACK
4. まとめ買いの見えないルール
5. レコード・クイズ・アワー
6. ホール・ニュー・ワールド
7. 街のレコ屋帳


B面
1. 音霊ドライブ (3部作)
2. 休日のふたり
3. Ticket to Trip
 
んじゃ、退散♪

 

2023年4月30日 (日)

本はかけがえの無い友だち 映画『丘の上の本屋さん』

 
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映画『丘の上の本屋さん』

監督・脚本
クラウディオ・ロッシ・マッシミ

出演
リベロ  レモ・ジローネ
エシェン ディディー・ローレンツ・チュンブ
ニコラ  コッラード・フォルトゥーナ


イタリアの小さな本屋の店主のおじいさんと、本は好きだけれど本を買えない貧しい家の少年の話。
本屋の店先で本を眺めていた少年は、ふとした会話から本屋のおじいさんから本を借りられることになる…毎日毎日。
優秀な少年は、おじいさんがセレクトして、手渡す本を次々に読んで、その感想をおじいさんと語り合う楽しい時間を過ごすように。
本は、とても一般的なもので、私たちでも知ってる本ばかり。
2人の会話から、本の内容が蘇ってくるのも至福。

1冊の本を読むたびに、少年は知らない世界の扉をあけ、その世界を旅する。
そうやって、少年は知の財産がどんどん増えていき、明るい未来を感じさせる。
それは…幸せな内容。

根っからの本好きの本屋のおじいさんは、本が好きな人と本の話をすることがこの上ない幸せ。
小さな本屋さんに尋ねてくる、曲者たちとの会話が最高。
いつだって、どんな無理な要求だって、お客さんの「本を読みたい」という気持ちを尊重して、努力。
たとえ、それが、発禁本だって、読みたい気持ちを尊重する!

そんなおじいさんが、亡くなってしまった人の蔵書がオークションにかけられると知って泣き顔になる。
生涯をかけて集めた本たちが、バラバラになるんて!
本は、集めた人にとっては、人生のピースのようなもの。
それを知っている彼にとったら、その出来事は身を引き裂かれるような思いだったのだろう…。


脇役たちの、エピソードもとても良い。
典型的なイタリア男?だと思っていた、カフェの店員の好きな女性に対する誠実さ。
そう、誠実であることは人生でとても重要なこと。
最後に、おじいさんの願い事を代行したのは彼、人は見かけで判断しちゃいけないんだ。。

映画では、おじいさんは、持病が悪化しており、、亡くなってしまうのだが、、
彼は、最後の日に、少年に「世界人権宣言」を与える。
少年は、アフリカからの移民で、医師になりたいという信念があったが、
それを最後まで見守ることができないと悟った彼の最後の贈り物…

誰もが、読みたい本を好きなだけ読める世界が訪れますように。
 
んじゃ、退散♪
 

2023年4月23日 (日)

あのデザインは、どこから生まれた! 映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』

 

映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』(原題 Maija Isola)

 

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監督・脚本・撮影:レーナ・キルペライネン(Leena Kilpeläinen)


出演
マイヤ・イソラ(Maija Isola)
クリスティーナ・イソラ(Krisitina Isola)
エンマ・イソラ(Emma Isola)


声の出演
パイヴィ・ヤルヴィネン(マイヤ・イソラ)(Päivi Järvinen)
マルギット・ウェステッルンド(アルミ・ラティア)(Margit Westerlund)

 
 
北欧を代表するブランド「マリメッコ」の伝説的デザイナー、マイヤ・イソラ。
彼女の長編ドキュメンタリー映画。

旅から旅の中でさまざまなことに刺激を受け、糧にしながら描き続けた人生。
自由と孤独が背中合わせであることを知りながらの3度の結婚、離婚…恋多き人生。

何ものにも縛られない自由な精神を保つことは彼女にとってとても大事なこと。
そんな彼女が、あの作品、この作品と次々に有名なデザインや芸術作品を生み出していくさまを、
臨場感たっぷり色鮮やかに画面に再現、アニメーションも使ってわかりやすく美しく。

男子の誕生を期待されていた農家の3女だった彼女が、デザインで世界を席巻していくさまが圧巻。
現在は、19歳で産んだ娘、そして孫へとその偉大な遺産が受け継がれているよう。
映画の中での、娘さんの淡々として、客観的な母への語り口が印象的でした。
あ、ちょっとズレるけど、パリのシーンでトーベ・ヤンソンの名前がでたのが嬉しかった。笑

マリメッコのさまざまなデザインが好きな方たち。
あのデザインって、こんな風にできちゃったんだ!って、ものすごく面白かったですよ。
ぜひぜひ!!
 
彼女は膨大なテキスタイルのデザインを手がけ、沢山の絵画も制作してきた。
大胆でカラフルなデザインは、身につけると私自身を力付けてくれて、大好きなのだけれど、
彼女の絵画作品もとても魅力的で、いつか実物を観てみたいと強く思いました。
 

んじゃ、退散♪

2023年2月23日 (木)

ジャズ好きだべっ! 映画「BLUE GIANT」

映画「BLUE GIANT」

 

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(パンフレット)


原作 石塚 真一
監督 立川 譲
脚本 NUMBER 8

 

音楽 上原 ひろみ
声優 宮本 大    山田 裕貴
   玉田 俊二 岡山 天音
   沢辺 雪祈 間宮 祥太朗

演奏 宮本 大    馬場 智章
   玉田 俊二 石若 駿
   沢辺 雪祈 上原 ひろみ
   
ついに本物の音が聴こえた!!

2月10日に、石塚真一氏によるジャズ漫画「BLUE GIANT EXPLORER 8」が発売されました。
日本を舞台にした「BLUE GIANT 1-10」、ヨーロッパに飛び出した「BLUE GIANT SUPREME 1-11」、本場アメリカに渡った「BLUE GIANT EXPLORER 現在8まで」と、巻を増すごとに人気が高くなっている感じでしたが、ついに先日映画が公開されました!

映画は、舞台が日本である「BLUE GIANT」の内容。
テナー・サックス奏者、宮本 大(みやもと だい)の「世界一のサックス・プレイヤーを目指す」立身出世の物語。
ドラマーの玉田 俊二(たまだ しゅんじ)。ピアニストの沢辺 雪祈(さわべ ゆきのり)と組んだバンドでひたすら上へ上へと突き進む。
と、ストーリーは「BLUE GIANT」を読んでいる人たちにとっては言わずと知れた内容。
 
楽しみにていたのですが、、
ここで、ずっと、ジャズ・ファンの間では杞憂されていたことが。。。
映画になったら、映像とともに実際の音が聴こえる。
漫画は、誌面から「音が聴こえる漫画」が謳い文句だったけれど、
実際の音が聴こえてきたら、イメージと大きなズレがあるのではないだろうかと。。
すでに、私たちの頭の中では、大の音は、太く大きく速く、豪快に鳴り響いているんですよね。
いくら巧い人たちをセッティングしても、、イメージ違うんじゃないか?
大丈夫なのか?
 
これが、全くの杞憂でしたね。
音楽も、演奏も、場面やストーリーと全く違和感なかった。
ライブハウスで、生ライブを聴いているような高揚感があって、体が動きまくり。
上原 ひろみさんが、書き下ろした曲が、原作の漫画の画面から飛び出してきたような曲。
テナー・サックスが熱くフィーチャーされていて、
「大!! もっとだ、もっといけっ〜」
って、心の中で叫んでしまいそうな熱量でした。
 
先に音源をとって、そこにアニメを作成したんだそうで、この漫画の本質をみているなぁ、と、感心!
JASS(大たちが組んだバンドの名前)が次第に一体感あるサウンドに仕上がっていくのを一緒に体験できます!
青春の青さすっぱさも胸に湧き上がります。
物語のおしまいは、原作と少しだけ違うんですが、こちらも、違う意味での涙無くしては、、、って、感じ。。
 
テナー・サックスの馬場さん、大になりきってたよね。
ドラマーの石若さんも、ピアニストの上原さんも最高だ。
なので、サントラも買いましたです♪
まぢかっけ〜、、ジャズ好きだべっ!
正直に言うと、演奏シーンのCG?の動きは、私は馴染めなかった。。
でも、私的にはそのマイナスを遥かに上回る演奏と音楽!
すでに、2作目が楽しみで〜す♪
あと、「いぇ〜〜ぃ」って、叫べる上映希望。笑
 
んじゃ、退散♪

2023年2月15日 (水)

映画に魂を宿すマエストロ 映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」

映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」
 
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(パンフレット)
 
 
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ

キャスト エンニオ・モリコーネ(ご本人)、ジュゼッペ・トルナトーレ、、etc.

観に行きたかった映画に、やっと、先週行けました!!
 
2020年7月6日に鬼籍に入った映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー映画。
監督は、「ニュー・シネマ・パラダイス」でお馴染み、そして、朋友でもあるジュゼッペ・トルナトーレ。
「ジュゼッペ以外はダメ」という、モリコーネ、たっての願いでもあったようです。
なんと、5年以上にわたる本人への密着取材の他に、、、
70人以上の著名人たちへのインタビュー、懐かしい映画の名場面、コンサートでの迫力ある演奏で、
徹底的に彼の音楽人生を紐解いていく3時間!って感じです。
まぁ、でも、、彼の人生を3時間で、、彼の人生を語るのは大変ですよね。
 
お医者さんになりたかったモリコーネ、、
しかし、トランペット奏者であった父は、彼のトランペットを買い与え、練習させ音楽学院にいれてしまいます。
貧しい中、働きながら一生懸命勉強するのですが、、
どうも、裕福な師弟たちに引け目をもっていたようでした。
当時、音楽界ではクラシック音楽以外は、邪道という考えが主流で、
誰もが認める映画音楽の才能の持ち主も、何度もその道を断とうとしたようです。
その告白をするときのモリコーネの表情が、、切ないのですよ。
泪をためた目で、、一点をじっと見ながらそのときの心境をはなす。
それでも、光景にぴったりとくる音楽を一瞬で閃く才能は、
次第にそういった考え自体が陳腐であるとクラシック音楽家たちも理解する人がでてくるのです。
奥様とのエピソードも愛らしくて、迷ったときには、音楽の素人である奥様に聴いて判断してもらうんだそうです。
「彼女は音楽の専門家でないのが良い」って、深い言葉ですよね。
そして、奥様をとても信頼して大切にされていることが伝わってきます。
 
 
インタビューには、映画関係者や音楽の専門家など、沢山の人から興味あるお話が聞けます。
ジャズ界からは、クインシー・ジョーンズ、ハービー・ハンコック、パット・メセニー、エンリコ・ピエラヌンツィたち。
ブルース・スプリングスティーン、クリント・イーストウッドも出てきますよ。
皆さん、口々に彼の音楽の素晴らしさを語っていましたが、特別熱が入っていたのが、、パット・メセニー。
彼はギター演奏付で、モリコーネの曲の素晴らしさを熱く語っていました。
彼とチャーリー・ヘイデンの『Beyond The Missouri Sky (Short Stories)』。
終盤の「Cinema Paradiso (Love Theme)」と「Cinema Paradiso (Main Theme)」で、
胸にわきあがる郷愁・哀愁を感じない人は、いないのではと思うほどの名演奏ですよね。

映画の中では、名画の名シーンが音楽付きでふんだんに使われていて、それもこの映画の魅力でした。
覚えてない映画もあったのですが、音楽とともに記憶が浮かび上がってきました。
モリコーネのメロディは、その映画を観た人には、その曲を聴くだけで、その映画を観た日が蘇る魔法がありますね。
たった、一音がその映画の1番の高揚感を生み出す力があります。
こんな、、所謂泣けるメロディを書く人が、、ずっと、その活動と並行して、
かなりの実験的な音楽をやっていたということを、不勉強でまったく知りませんでした。
今そこにある光景に、一番最適な音をみつける、と、いうことでは、どちらも深い共通点があったのでしょうか。
それとも、彼の中の精神的なバランスなのでしょうか。。
妥協を見せない強面な顔と、いたずら好きな少年のような柔和な笑顔、、どちらも、モリコーネ。
 
現実では、彼は亡くなってしまっているのですが、映画の中ではそういう現実はでてきません。
彼の音楽が、永遠に私たちの心に残っているように、、彼もどこかで生きているような雰囲気で終わります。
愛らしい瞳の天才のファンは、これで、また、増えるとおもいますよ。
 
この映画には、忘れられない沢山の音楽と、映画のシーンが詰まってます。
映画に魂を宿すマエストロ、エンリコ・モリコーネの生涯も詰まってます。
彼の才能と人生に沢山の祝福を送りたくなる映画でした。
 
 
んじゃ、退散♪

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