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音楽で拡がる輪

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2026年3月

2026年3月21日 (土)

夢のような幻想的な移ろいが続く 『In My Dreams / Bill Frisell』

In_my_dreams
 

レジェンド、ビル・フリゼールのブルーノートから5作目となるアルバムは、タイトルそのまま、彼が30年前にみた夢が題材。
トーマス・モーガン、ルディ・ロイストンのリズム隊に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの弦楽器を加えた6重奏。
ライブ・レコーディングにスタジオ・レコーディングを加え、より高みを極めた作品。
 
8曲のフリゼールのオリジナルと既存曲4曲で全12曲。
 
 
オープナーは、「Trapped in the Sky」、重力を感じない浮遊感はあるけれど、暗く閉塞感も。
「When We Go」、反復しながらアンサンブルが少しずつ厚みを増す。感情を静かに心に秘めた感じ。
 

タイトル曲「In My Dreams」、幻想的な夢の中を彷徨うような美しいトラック。
抽象的だけれど優雅さを保ったままの、ビリー・ストレイホーンの名曲「Isfahan」、これも好き。。
 

「Give Me a Home」、「Home on the Range 」を題材に郷愁もありつつ、感傷的になりすぎず。。
「Why?」、問いかけ?のような短いフレーズが繰り返され、余白は浮き彫りに。
 

「Curtis (a year and a day)」、抒情的で弦楽器とギターの対比が効果的。
緩いテンポで原曲のメロディも活かした、スティーブン・フォスター作曲の「Hard Times」。
こういうのって、彼の独壇場ですよねぇ。。
一転、「Again」、実験的で即興要素が強い。
 

音数すくなく繊細な空間、「Small Hands」。
彼の人生観と重なるようなタイトル、「Never Too Late」。
 

終演は、「Home on The Range」、穏やかに、優しい響きを残して。
 

ジャズ、フォーク、室内楽が溶け合い、夢のような幻想的な移ろいが続く。
静けさの中に、深い感情を持つ成熟の極みにある一枚。
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1. Trapped in the Sky 
2. When We Go 
3. In My Dreams 
4. Isfahan 
5. Give Me a Home 
6. Why? 
7. Curtis (a year and a day)
8. Hard Times 
9. Again 
10. Small Hands 
11. Never Too Late 
12. Home on The Range
 
 

Bill Frisell (el-g, ac-g, loops)
Jenny Scheinman (vin)
Eyvind Kang (vla)
Hank Roberts (vc)
Thomas Morgan (b)
Rudy Royston (ds)
 

今日のおまけは、ご本人があげていた「In My Dreams 」。
 

 

 
 
んじゃ、退散♪

2026年3月14日 (土)

北欧的感性で、スタンダードを再解釈 『Ember / Ellas Kapell』

Ember
 
 

ヴォーカルのロヴィーサ・イェンネルヴァルを中心に活躍するスウェーデンのストックホルムのカルテット「エラス・カペル」。
4作目は、曲によりアルトサックス、コルネット、ペダル・スティール・ギターのゲストが参加。
今回もスタンダードに拘ったアルバム。
 

オープナーは、ビル・エヴァンスの「Very Early」、クールで清涼感のあるイェンネルヴァルの歌声にぴったりな浮遊感のある空間。
 

アルト・サックスとのリラックスした対話が入った、リチャード・ロジャースとロレンツ・ハートの「I Didn’t Know What Time It Was」。
ジェローム・カーンとオスカー・ハマースタイン2世の「All the Things You Are」、ゆったりとミステリアス。
ジョニー・グリーンの「I Cover the Waterfront」、シンプルで透明感が際立った美しいトラック。
 

アーヴィング・バーリンの「How Deep Is the Ocean」、スキャットも入った軽やかな演奏、ピアノ・ソロも素敵。
レイ・ノーブルの「The Very Thought of You」、しっとりとした歌とコルネットの柔らかな音色が溶け合う。
ビリー・ホリデーの「Don’t Explain」、内省的でタイトル「Ember(残火)」にぴったりな孤独感が漂う。
 

終演は、ジューリー・スタイン「I Fall in Love Too Easily」。
静かに繊細に余韻たっぷりで幕を閉じる…。
 
 

北欧的感性で、スタンダードを再解釈。
イェンネルヴァルが過度に感情を誇張せず、余白を活かした表現で旋律を丁寧に紡ぐ。
聴くほどに温かな余韻が残り、静かな魅力に満ちている。
 
 

1. Very Early
2. I Didn’t Know What Time It Was
3. All the Things You Are
4. I Cover the Waterfront
5. How Deep Is the Ocean
6. The Very Thought of You
7. Don’t Explain
8. I Fall in Love Too Easily
 

Ellas Kapell
Lovisa Jennerval (vo)
Manne Skafvenstedt  (p, synth)
August Eriksson  (b, el-b, vin)
Edvin Glänte  (ds, perc.)
 

guests
Johan Christoffersson  (as) #2
Tobias Wiklund  (cornet ) #6
Gustav Alte  (pedal steel ) #7
 


今日のおまけは、ご本人たちがあげていた「I Cover the Waterfront」。
あ、ホワイト・デーのぴったりな一枚かも。
 
 
 
 

んじゃ、退散♪

2026年3月11日 (水)

答えの出せない現代社会の歪み 『いのこりぐみ』@ りゅーとぴあ(3/8)

舞台『いのこりぐみ』
 
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作・演出:三谷 幸喜
出演:小栗 旬 菊地 凛子 平岩 紙 相島 一之


三谷幸喜の書き下ろし新作舞台。
4人の俳優によるディスカッション劇。
面白そうなので、新潟公演の最終日に行ってきました。
 

「いのこりぐみ」、というタイトルから想像できるように、舞台は小学校。
いのこりぐみは、生徒ではなく、先生たち。
放課後に、1人のクレームが多いお母さん…いわゆるモンスターペアレントを相手にする担任と先生2人。
 

お母さんは、
「担任のエコ贔屓が酷すぎるので、クラスの担任を変えて欲しい」
と、言う主張。
担任とお母さんの主張を聞けば聞くほど、モンスターペアレントが一方的で凄い。
仲裁の先生2人は、どうやって苦情を鎮静化させてお帰りねがうか、それに翻弄する。
 

担任は、慇懃丁寧なれど、自分の非は認めない。
お母さんは、支離滅裂でヒステリックで、主張を繰り返すだけ。
擦り寄りどころがないが、モンスターペアレンツのお母さんは分が悪い。
先生たちには、一生懸命な担任を、自分の子どもを大事にしてくれないから、変えろという風にしか感じられない。
ところが、ふとしたきっかけから、小栗 旬が演ずる先生が品行方正な?担任の不自然さに気づく。
 
そこから始まる、逆転劇。
皆んなが思い込みで決めてしまった「悪役」は、果たして本当に悪役か。
指導という強制は教育か。
全てを知らないままに、正しさを決めつけることは許されるのか。
そもそも、善悪はそんなに簡単に決められることか。
 
コメディ形式をとりながらも、4人の会話のズレから様々な社会の矛盾が見えてくる。
日常からは、見えない気付けない真実。

笑いながら、現代社会の歪み恐ろしさを感じつつ、、
でも、結末に、少しホッとする舞台でした。

答えの出せないままの現実、暴走する正義、個人の判断の曖昧さ、、
考えさせられる内容でした。
 

んじゃ、退散♪


2026年3月 8日 (日)

クリス・ポッターが、5月8日に新譜をリリースしまっす!

2026年3月 7日 (土)

深い敬意と愛情に満ちている 『Vital Spark (Music of Kenny Wheeler)  / Dave Holland  Norma Winston  London Vocal Project』

Vital_spark
 

ホイーラー?、ウィーラー?と、ずっと悩んでいた
のですけれど、、ここからは、ケニー・ウィーラーで。
 

リリースを楽しみにしていたアルバムの一つ!
カナダ生まれ、UKで活躍したケニー・ウィーラーが晩年に残した曲を、長年の仲間であるデイブ・ホランドとノーマ・ウィンストンが演奏・再構築したもの。
ジャズ・コンボと合唱を融合させた作品。
歌詞はウィンストン自身のものと、ルイス・キャロル、スティーヴィー・スミス、ウィリアム・ブレイクなどの詩人の作品をもとにしたものが。
 

オープナーは、「Inner Traces」、内省的な詩的なメロディに、ロンドン・ヴォーカル・プロジェクトのハーモニーが広がり、ウィンストンの声が溶け合う。マーク・ロックハートのテナーが非常に効果的。
1曲目の途中から、すでに異世界に心を持っていかれる。
 
 
ルイス・キャロルの詩を基にした「Will You Walk A Little Faster」、軽やかな曲をウィンストンとコーラスが掛け合う。
英国の詩人スティヴィー・スミスの詩を基にした「Not Waving But Drowning」、孤独と誤解、それに伴う様々な感情…淡々とした抑制された歌唱が深い。かっこよくて背中がゾクゾクする…。
 
 
「Jazzonia」、サックス、ピアノ、ベースが中心で、一番インスト・ジャズぽい。
「Fuite D’Enfance」、ウィンストンとコーラスの高揚感が素晴らしい。
 

浮遊感と哀愁を備えたタイトル曲「Vital Spark」、ベース、サックス、ピアノ、歌、コーラス、、クライマックスにむけて全てが厚みを増す。
ウィリアム・ブレイクの詩を基にした「Infant Joy」、神聖な雰囲気は宗教音楽のような空間。
ウィストンのスキャットも素晴らしい、コーラスも最後までクール「Heavenly City」。
 

終演曲「These Are the Things We Trust」、全てが静か…ウィーラーへの敬意と親愛を深く感じられる穏やかな終演。
 
 

ホランドたちのジャズ・コンボとロンドン・ヴォーカル・プロジェクトのコーラスが、想像を超えて溶け合い重なり、ウィーラー特有の哀愁と透明感を帯びた旋律が静かに広がっている。
 

ここでの声は歌うだけでなく、時に楽器のように響き、音楽全体をやわらかく包み込んで、聴くほどに心の奥へ沁みてくる。
 

長い年月をともにしてきた仲間だからこそ生まれた、深い敬意と愛情に満ちている。
静かな敬意と深い愛情で描かれた、ケニー・ウィーラーへの美しい追想。
 
 
1. Inner Traces
2. Will You Walk A Little Faster
3. Not Waving But Drowning
4. Jazzonia
5. Fuite D'Enfance
6. Vital Spark
7. Infant Joy
8. Heavenly City
9. These are The Things We Trust
 

Norma Winstone (vo)
Dave Holland (b)
Nikki Iles (p)
James Maddren (ds)
Mark Lockheart (ts, ss)
John Parricelli (g)
London Vocal Project(director Pete Churchill)
 

今日のおまけは、ホランド閣下があげていた「Not Waving But Drowning」。
 
 

んじゃ、退散♪

2026年3月 4日 (水)

叙情的なメロディと抑制の効いたインタープレイ 『Stories Of Life / Triosence』

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小さな声で、、去年でた新譜シリーズ。。
 

ドイツのピアニスト、ベルンハルト・シューラーが率いるトリオ、トリオセンス。
通算10作目が去年リリースされています。汗
 

今作は、タイトルそのまま、、人生の物語を音楽で綴った作品。
また、カバーアートを描いたシューラーの叔父、画家 ライナー・ホフマン に捧げられた追悼作品。
ブックレットには、曲と関連した絵画が10作品収められている。
全10曲、シューラーのオリジナル、録音はステファノ・アメリオ。
 

オープナーは、「Lale Minna」、明るく開放感があって、希望に満ちた幕開け。
 

「Marrakesh Swing」、エキゾチックで軽快。
心の痛み、喪失感を感じる美しい曲「Little Lost Wonder」。
 

ピアノ・ソロで「Tamina’s Lullaby」、短いけれど穏やかな時間。
 

タイトル曲「Stories Of Life」、人生に対する深い思索が音楽で展開される。
陽気さと躍動感を感じる「Tomato Party」。
 

叔父、画家のライナー・ホフマンに捧げられた「Dear Rainer」、複雑な感情が入り混じったピアノとベースの対話が素晴らしい。
柔らかで多幸感に溢れた「These Simple Things」。
「G. Brothers」、瞬発力の効いた3人のインタープレーがかっこいい。
 

終演は、「Like The Wind (Instrumental)」。
風のような自由さと流動性を感じさせ、余韻ある最後。
 

叙情的なメロディと抑制の効いたインタープレイで描いた作品。
メロディ重視で、3人が演奏をを共有する。
劇的ではないが、余韻が静かに心へ残るピアノの小さな音が美しい一枚。
 

1.Lale Minna
2.Marrakesh Swing
3.Little Lost Wonder
4.Tamina's Lullaby
5.Stories Of Life
6.Tomato Party
7.Dear Rainer
8.These Simple Things
9.G. Bros
10.Like The Wind - Instrumental
 

Bernhard Schuler (p)
Omar Rodriguez Calvo (b)
Tobias Schulte (ds)
 
 

今日のおまけは、ご本人たちがあげていた「Lale Minna」。
 
 
 
んじゃ、退散♪

2026年3月 1日 (日)

人生の孤独を音楽的物語で紡ぐ 『Lost Pieces / Youn Sun Nah』

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韓国出身でフランスを拠点に活動するジャズ・ヴォーカリスト、ユン・サン・ナによる新作。
 

全曲が彼女のオリジナルで、喪失や孤独…自己探求といった、非常に個人的で内省的な内容になっている。
基本は、ピアノ、ギター、ベース、ドラムが中心で、
曲によって、ブラスやマリンバ、ストリングスなどを効果的に配した緻密なアレンジ。
 

オープナーは、「Shell of Me」、印象的なギターの低音で始まり、力強く静かな語り口。
 

「Where’d You Hide?」、緊張感ある空間。
「Just the Same」、暗い中にもメロディ志向。
 

タイトル曲「Lost Pieces」、弦やブラス、マリンバなどが繊細に重なる密度の高いアレンジ。
胸を締め付けられる。
抑制された感情の震えが滲み出る、「A Map of Pain」。
 

「I Run. I Stay.」、相反する動きを音楽的に、ヴォーカルでも対比させて。
夜の孤独を強く感じる「I Can’t Sleep」。
「Collapse」、周りが音をたてて崩れ落ちる感覚。
 

幻想で抽象的、「We Never Were」、。
「My Home」、少し温かさをもち安堵感がある雰囲気。
 

終演は、「WTH Is Love!」。
オープナーから綴られてきた様々な問いかけ…
曇り空を見つめるような視線。
 



繊細で透明感のあるトーンから、感情を露わなパワフルな歌唱まで状況で使い分け、
人生の孤独を音楽的物語で紡ぐ。
人の普遍的な感情に寄り添い…深い共感と余韻。
心の痛みや遣り切れなさを、詩的に静かに語る…
 


1. Shell of Me
2. Where’d You Hide?
3. Just the Same
4. Lost Pieces
5. A Map of Pain
6. I Run. I Stay.
7. I Can’t Sleep
8. Collapse
9. We Never Were
10. My Home
11. WTH Is Love!
 

Youn Sun Nah (vo)
Matthis Pascaud (el-g, ac-g,  lap steel, mandolin)
Laurent Vernerey (el-b, ac-b)
Raphaël Chassin (ds, perc. )
Tony Paeleman (p, wurlitzer, hammond organ, synthesizers )
 

今日のおまけは、ご本人があげていた「Lost Pieces」。
 
 

んじゃ、退散♪

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