スピリチュアルで幽玄な世界 『The Sky Will Still Be There Tomorrow / Charles Lloyd』
今年86歳になったサックス界のレジェンド、チャールス・ロイドの新作。
ピアニストにジェイソン・モラン、ベーシストにラリー・グレナディア、ドラマーに初共演のブライアン・ブレイドをフィーチャーした新しいバンド。
新旧のロイドのオリジナル曲12曲と、黒人の国家と呼ばれる「Lift Every Voice And Sing 」を含む3曲で全15曲のスタジオ録音の2枚組。
管楽器とピアノ・トリオのオーソドックスなカルテットで挑む。
ディスク1のオープナー「Defiant, Tender Warrior」、あのロイドのふんわりしたテナーは吟遊詩人然として相変わらず唯一無二と感じる。
もちろん、持ち替えも行っていてディスク1の「Late Bloom」は、アルト・フルートとバス・フルートのオーヴァーダヴでのデュオ。
続く「Booker's Garden」でもアルト・フルートで、エネルギッシュでエモーショナル。
アルト・サックスで演奏するタイトル曲「The Sky Will Still Be There Tomorrow」は、フリーな展開で強面健在。
全体にゆったりと幽玄な雰囲気が多い中でも、切れ味のよさも聴かせながら、3人も信頼を裏切らない。
ディスク2は、表情豊かなアルト・フルートの「Beyond Darkness」で始まる。
牧歌的な「Sky Valley, Spirit of The Forest」に心和む。
テナーとピアノのデュオで演奏される「Lift Every Voice and Sing」は、怒涛の攻めの姿勢。
終演は「Defiant, Reprise; Homeward Dove」、終始リズム陣のきめ細かいサポートを受け、ロイドの吟遊詩人のような表情豊かな存在感は一層に増す。
ふんわりとした音色でスピリチュアルなフレージングを混ぜ込みながら奥深く幽玄な世界を創り出す。
レジェンドたちへのリスペクトもあり、2枚組15曲で最後まで聴かせる、期待を裏切らない。
そう、まだまだ、森に帰らず私たちを驚かせてくださいね。
Disc 1
1. Defiant, Tender Warrior
2. The Lonely One
3. Monk's Dance
4. The Water is Rising
5. Late Bloom
6. Booker's Garden
7. The Ghost of Lady Day
8. The Sky Will Still Be There Tomorrow
Disc 2
1. Beyond Darkness
2. Sky Valley, Spirit of The Forest
3. Balm in Gilead
4. Lift Every Voice and Sing
5. When The Sun Comes Up, Darkness is Gone
6. Cape to Cairo
7. Defiant, Reprise; Homeward Dove
Charles Lloyd ( ts, as, b-fl, a-fl)
Jason Moran (p)
Larry Grenadier (b)
Brian Blade (ds, perc)
今日のおまけは、ご本人があげていた「Defiant, Reprise; Homeward Dove」。
んじゃ、退散♪
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コメント
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Suzuckさん,こんにちは。
今回のCharles Lloydはかなり穏やかに響くようにも思いますが,おそらくは自分のキャリアも終盤に入ったことは意識しているのでしょう。しかし,演奏そのものは全然枯れたところはなく,おそらく8月の来日時には矍鑠とした演奏を披露してくれるのではないかと思います。今から首を長くして待ちたいと思います。
ということで,当方記事のリンクを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2024/04/post-0f036f.html
投稿: 中年音楽狂 | 2024年5月 5日 (日) 15時54分
閣下、リンクとコメントをありがとうございます。m(_ _)m
>自分のキャリアも終盤に入ったことは意識しているのでしょう
そうですよねぇ。。
でも、仰るように攻めてますよね。
>8月の来日時
う〜〜ん、、難しいぁなぁ。。 汗
投稿: Suzuck | 2024年5月 6日 (月) 10時02分