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音楽で拡がる輪

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2023年10月 8日 (日)

人は鬼となる 映画「福田村事件」@ シネ・ウインド

映画 「福田村事件」

 

Photo_20231007122201
監督 森 達也
脚本 佐伯 俊道 井上 淳一 荒井 晴彦
出演
井浦 新・田中 麗奈・永山 瑛太・東出 昌大・コムアイ・松浦 祐也・向里 祐香・杉田 雷麟・カトウシンスケ・木竜 麻生・ピエール 瀧・水道橋 博士・豊原 功補・柄本 明
 

先週、森 達也監督の映画「福田村事件」を、定休日返上の追加上映となったシネ・ウインドで観ました。
関東大地震が発生とともに、蔓延した流言飛語によって、不安や恐怖に煽られた小さな村で起きた群衆の暴走。
朝鮮人と間違われた、旅の行商人15人の内、幼児や妊婦を含む9人が村人に殺戮殺された事件の映画化。
当時の新聞や警察は、朝鮮人が暴徒化しているというデマを否定せず、
むしろ、自警団を作って暴力から自分たちを守るように指示する。
積極的にデマを流していた疑いもある。
 
そんな中で、讃岐の「川向こうの村」からやってきていた、薬売りたちの、、
讃岐弁を聞いて朝鮮人ではないかと疑い始める。
やがて、渡しの船賃を巡った言い争いから、
村人たちの疑心暗鬼は最大に膨らみ、
ひとりの一撃をきっかけに村人100人以上で、行商人たちを襲うことになる。

夫の死体に縋る妻を、その子どもたちを、、次から次へと殺していく村人たち。。
止める人たちもいたけれど、暴徒化した群衆の力は恐ろしい勢いで抗う人たちには危害を加えんばかりの勢い。。
自分たちの安全んのため、世の中の正義のために、殺戮を行い続ける。
行商人たちは、穢多と呼ばれ部落に住む差別を受け続けた人たち。
映画の中で、何度も生まれ持った差別について大きな怒りを持っていることがわかる場面がある。
しかし、それを愚痴っても仕方ない現実もわかっている。
でも、いつか何かが変わるかもしれないと、、少しの望みをもって、長い橋を渡って行商にでる。
稼いだ少しばかりのお金で、共同生活しながら旅をする。
子ども妊婦もいる家族、ひとりもの。。他人であっても家族同然。
そんな人たちに、竹槍で刺され亡くなっている人に、何人もの人が何度も竹槍を突き刺す。
執拗に追いかけて銃を撃つ、執拗に追いかけて刀を振るう。
小さな貧しい村、笑って助け合ってきた人たちが鬼となる。
最後の最後まで、胸が重く救いようがなく言葉を失います。
この事件を知らなかったので、かなりの衝撃をうけました。
第二次世界大戦の末期を描いた塚本 晋也監督の映画「野火」と同じくらいの衝撃でした。
背景や誤解などさまざまあって、事件となるわけなのですが、、
これは、100年前の過去の事件としては終わらない出来事です。
現在だって、暴走した群衆が起こす事件は絶えません。

人は、さまざまな要因で鬼となる。
肝に銘じておきたい。
今更でも、被害にあった方々のご冥福をお祈りします。

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