パット・メセニーの柔らかな部分に触れられる… 『Dream Box / Pat Metheny』
パット・メセニーが新譜をリリースしました。
以前にも書いたように新録というのとはちょっと違います。
ライナーを読んでわかったことは、新曲や楽器の試奏…アイディアが浮かんだ時には、必ず演奏を録音するのだそうです。
そして、1日1曲バラッドを作曲する努力を重ねているのだそうですよ!
メセニーさまにとって、大事なのはメロディをいかに感情豊かに弾けることのよう。
まぁ、あのテクニックがあってのお話ですけれど。。
今回は、自宅で録り貯めた曲が入っているフォルダーを、ツアー中に聴いてその一貫性に驚き、世に出してみようかということのようです。
すっかり、忘れていて! 自分でも新鮮な気持ちで聴けたようです。すごいですよね。
そして、このアルバムにはもう一つ命題があって、
「エレクトリック・ギターをアコースティック・ギターのように静かに弾くにはどうしたらいいか」
ということ。
メセニーさまは、生涯かけてそれに取り組んでいるんだと思っているようです。
これを読んだだけでも、本作を聴いてみたくなりますよね。
ソロ・アルバムといっても、全曲がコード・パートをまず弾き、その上にメロディと即興パートを重ねた多重録音。
オリジナルを中心にカバー曲も入ってます。
オープナーは「The Waves Are Not The Ocean」、語りかけられているように繊細なダイナミクスが心に響く。
バリトン・ギターの音色が深く落ち着いた気持ちにさせる「From The Mountains」。
「Ole & Gard」、同じくバリトン・ギターを弾いていてもPMGのような明るさと広がりを感じる。
「Trust Your Angels」、ひたすら美しく心の扉が緩くなる、、極上のリラクゼーション。
メロウに、より磨きがかかったラス・ロングの「Never Was Love」。
スタンダード「I Fall in Love too Easily」、まるで2人のギタリストが会話しているような自然さ。
静かに静かに流れていく「P.C. of Belgium」。
さまざまな記憶を蘇らせる黒いオルフェの主題歌「Morning of The Carnival」、心豊かに…
終演は、本作唯一のソロ演奏で「Clouds Can't Change the Sky」、透き通るように美しい…すぅっと上昇してしまうようなミステリアスな雰囲気。
日本盤のボーナス・トラックは、キース・ジャレットの「Coral」。
ナチュラルなギターの響きが、曲をいっそうに美しく輝かせる。
パット・メセニーは、沢山の面を持ち、さまざまな音楽を創造し活動してきた人。
ここには、そのメセニーさまの真ん中、、メロディを感情にのせて美しく弾き聴衆に届ける!
そんな芯の柔らかな部分に触れられて、夢のような世界に誘ってもらえるアルバムです。
1. The Waves Are Not The Ocean
2. From The Mountains
3. Ole & Gard
4. Trust Your Angels
5. Never Was Love
6. I Fall in Love too Easily
7. P.C. of Belgium
8. Morning of The Carnival
9. Clouds Can't Change the Sky
日本盤ボーナス・トラック
10. Coral
ええとね、、どうやら輸入版のレコードはボーナス・トラックが
「Blue in Green」なんだそうですよ。。まぢか。。
今日のおまけは、ご本人があげていた「The Waves Are Not The Ocean」。
んじゃ、退散♪
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コメント
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こんにちは。遅ればせながら、完聴しました。
いやー沼ですね。夜、深夜に聴きたい。
メセニーは几帳面で努力家なんでしょうけど、こういう企画は本当に面白い。『メセニーは、沢山の面を持ち、さまざまな音楽を創造し活動してきた人。ここには、(中略)そんな芯の柔らかな部分に触れられて・・・』という解説は本当にその通りだと思います。「沢山の面」を持ってるからこその「芯の柔らかさ」がメセニーの強みでもあり魅力と思います。リンク貼らせてください。
https://zawinul.hatenablog.com/entry/2023/09/24/101448
投稿: zawinul | 2023年9月24日 (日) 10時52分
zawinulさま、コメントとリンクをありがとうございます。m(_ _)m
深夜に、独りで聴いたら涙ぐんでしまいそう。。
本当に、沢山のの面をもちながら、、一聴で彼だとわかる個性。
いつまでも、元気でいてほしいですよね。
投稿: Suzuck | 2023年9月26日 (火) 09時02分