エタ・ジェイムズの歌声が耳に残る… 映画「PARIS TAXI (パリ タクシー)」
監督・脚本・プロデューサー
クリスチャン・カリオン
撮影監督
ピエール・コットロー
音楽
フィリップ・ロンビ
出演
マドレーヌ
リーヌ・ルノー
シャルル
ダニー・ブーン
無愛想なパリのタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)が乗せたのは、終活に向かうマダム・マドレーヌ(リーヌ・ルノー)。
実は、彼は免停寸前で、人生も崖っぷち、、最愛の家族をどうやって守っていくかで精一杯の毎日。
彼は、彼女の回り道寄り道の依頼を渋々聞くのだが、最初はうわの空で聞いていた車中で語られる身の上話が壮絶すぎた。
優しくて人の良いシャルルは、次第に彼女の身の上話にのめり込んでいく。
一世一代の大恋愛で子どもをもうけたけれど、、その恋がやぶれた後、、
彼女は、再び恋をし、結婚…ところが、夫は暴力的だった…
支配的な夫から自分と子どもを守る為に、、、事件となり、彼女は捕まってしまう。
人生の悲劇はこれでは終わらない。
50年代、フランスでも女性の人権は薄っぺらなもの。
婚姻関係においても、男性優位で多少の暴力くらいでは、
女性からの離婚が認められなかったし、裁判になっても裁判長から陪審員まで男性。
女性の発言は非常に軽んじられていた。
そんな中での裁判で25年の禁固刑を命じられる。
刑務所に入れられるも、人権運動と模範囚だったおかげで13年ででてくるのだが。。
最愛の息子に自分が獄中にいたあいだのことを尋ねると
「僕は、、あのケレール家(夫の苗字)の人間なんだよ」
と、世間の目が辛かった心中を吐露する…
写真家となった子どもとは、心から打ち解けられぬまま、彼をベトナム戦争で亡くす。
そう夫へのリベンジは、簡単なことではなかったのだ。
最後、彼女の墓には「マドレーヌ・ケレール」と刻まれていた。
私的には、ここが悲しすぎて涙がでそうでしたよ。
裁判で、その名前で呼ばれることさえ拒否したマドレーヌ、、
でも、その名前を完全に捨てることは公的にはできなかった…。
ただ、車中での彼女は、自分の人生に後悔することなく、、堂々と話を進める。
そして、話の内容に共感し、感銘したシャルルと友人か家族のような絆が芽生える。
彼女も家族のような思いをもった彼に、彼の現在の1番の難題を解決する決心をした。
そう、基本的に切ない物語ですが、最後はやっぱりね、って、感じの大団円。
金は天下の回りものですね!
人生の修羅場をさりげなく語る、次々と現れる美しいパリの風景、心象に合う素敵な音楽。
特に、新しい恋が始まったときに流れたエタ・ジェイムズの「At Last」。
唯一無二の歌声が、胸に沁み入ります。だめだよ、その恋は!!
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