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音楽で拡がる輪

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2023年4月29日 (土)

詩情豊かな物語が語られる 『Vagabond / Dominic Miller 』

 
Vagabond_20230426125101
 
 
スティングが右腕として全信頼をよせるロック・ギタリスト、ドミニク・ミラー。
ECMからリーダー作をリリースしているジャズ・ギタリストでもあり、まさにギター界の2刀流。
新作は、スウェーデンのピアニスト、ヤコブ・カールソンが参加、ベーシストは前作でも参加のニコラ・フィズマン、ドラマーはイスラエル・ジャズのジヴ・ラヴィッツのカルテット作品。
 
 
全曲、彼のオリジナル。
タイトルはイギリスの詩人の詩からで、彼自身も旅をする人々に共感を持っているとのこと。
ただ制作中はコロナ禍だったので、現在住んでいる南フランスの身近な環境が新曲になったそうです。
 
 
オープナーは、繊細な掛け合いからはじまる「All Change」、押し寄せる哀愁。
静かに語りかけるギターに寄り添うピアノ「Cruel But Fair」。
「Open Heart」、シンセをバックにギター・ソロが叙情的な前半、ピアノ・トリオで澄んだ空間を描く中間、ギターが戻って着地。
彼の散歩、散策の地、南フランスの美しい田舎「Vaugines」、ギターとピアノが色彩豊かで美しい光景を紡いでいく。
時々地元の人たちに会う隠れ家的なバー「Clandestin」、穏やかに語り合うギターとピアノが、次第に熱く…
静かに燃え上がる抑えた情感「Altea」、流麗なピアノ・ソロが心を揺さぶる。
流れるようなフレーズが美しいギター・ソロ「Mi Viejo」。
終演「Lone Waltz」、ギターのミニマル・フレーズが流れる中、美しいアンサンブルとメロディが浮き上がる。
 
 
過去の作品同様、静かなるストーリーテラーぶりを発揮、詩情豊かな物語が語られる。
各人がリーダー格の精鋭で、絶妙なバランスを取ることに長けており、
繊細なハーモニーを織り込みながらも即興の要素も忘れていない。
 
 
1. All Change
2. Cruel But Fair
3. Open Heart
4. Vaugines
5. Clandestin
6. Altea
7. Mi Viejo
8. Lone Waltz


Dominic Miller (g)
Jacob Karlzon (p, key)
Nicolas Fiszman (b)
Ziv Ravitz (ds)
 
 
今日のおまけは、ご本人があげていた「All Change」。