映画に魂を宿すマエストロ 映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」
映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」
(パンフレット)
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
キャスト エンニオ・モリコーネ(ご本人)、ジュゼッペ・トルナトーレ、、etc.
観に行きたかった映画に、やっと、先週行けました!!
2020年7月6日に鬼籍に入った映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー映画。
監督は、「ニュー・シネマ・パラダイス」でお馴染み、そして、朋友でもあるジュゼッペ・トルナトーレ。
「ジュゼッペ以外はダメ」という、モリコーネ、たっての願いでもあったようです。
なんと、5年以上にわたる本人への密着取材の他に、、、
70人以上の著名人たちへのインタビュー、懐かしい映画の名場面、コンサートでの迫力ある演奏で、
徹底的に彼の音楽人生を紐解いていく3時間!って感じです。
まぁ、でも、、彼の人生を3時間で、、彼の人生を語るのは大変ですよね。
お医者さんになりたかったモリコーネ、、
しかし、トランペット奏者であった父は、彼のトランペットを買い与え、 練習させ音楽学院にいれてしまいます。
貧しい中、働きながら一生懸命勉強するのですが、、
どうも、裕福な師弟たちに引け目をもっていたようでした。
当時、音楽界ではクラシック音楽以外は、邪道という考えが主流で、
誰もが認める映画音楽の才能の持ち主も、何度もその道を断とうとしたようです。
その告白をするときのモリコーネの表情が、、切ないのですよ。
泪をためた目で、、一点をじっと見ながらそのときの心境をはなす。
それでも、光景にぴったりとくる音楽を一瞬で閃く才能は、
次第にそういった考え自体が陳腐であるとクラシック音楽家たちも理解する人がでてくるのです。
奥様とのエピソードも愛らしくて、迷ったときには、音楽の素人である奥様に聴いて判断してもらうんだそうです。
「彼女は音楽の専門家でないのが良い」って、深い言葉ですよね。
そして、奥様をとても信頼して大切にされていることが伝わってきます。
インタビューには、映画関係者や音楽の専門家など、沢山の人から興味あるお話が聞けます。
ジャズ界からは、クインシー・ジョーンズ、ハービー・ハンコック、パット・メセニー、エンリコ・ピエラヌンツィたち。
ブルース・スプリングスティーン、クリント・イーストウッドも出てきますよ。
皆さん、口々に彼の音楽の素晴らしさを語っていましたが、特別熱が入っていたのが、、パット・メセニー。
彼はギター演奏付で、モリコーネの曲の素晴らしさを熱く語っていました。
彼とチャーリー・ヘイデンの『Beyond The Missouri Sky (Short Stories)』。
終盤の「Cinema Paradiso (Love Theme)」と「Cinema Paradiso (Main Theme)」で、
終盤の「Cinema Paradiso (Love Theme)」と「Cinema Paradiso (Main Theme)」で、
胸にわきあがる郷愁・哀愁を感じない人は、いないのではと思うほどの名演奏ですよね。
映画の中では、名画の名シーンが音楽付きでふんだんに使われていて、それもこの映画の魅力でした。
覚えてない映画もあったのですが、音楽とともに記憶が浮かび上がってきました。
モリコーネのメロディは、その映画を観た人には、その曲を聴くだけで、その映画を観た日が蘇る魔法がありますね。
たった、一音がその映画の1番の高揚感を生み出す力があります。
こんな、、所謂泣けるメロディを書く人が、、ずっと、その活動と並行して、
かなりの実験的な音楽をやっていたということを、不勉強でまったく知りませんでした。
今そこにある光景に、一番最適な音をみつける、と、いうことでは、どちらも深い共通点があったのでしょうか。
それとも、彼の中の精神的なバランスなのでしょうか。。
妥協を見せない強面な顔と、いたずら好きな少年のような柔和な笑顔、、どちらも、モリコーネ。
現実では、彼は亡くなってしまっているのですが、映画の中ではそういう現実はでてきません。
彼の音楽が、永遠に私たちの心に残っているように、、彼もどこかで生きているような雰囲気で終わります。
愛らしい瞳の天才のファンは、これで、また、増えるとおもいますよ。
この映画には、忘れられない沢山の音楽と、映画のシーンが詰まってます。
映画に魂を宿すマエストロ、エンリコ・モリコーネの生涯も詰まってます。
彼の才能と人生に沢山の祝福を送りたくなる映画でした。
んじゃ、退散♪
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