東西のジャズが有機的に溶けあった 『Louise / Emile Parisien 』
ヤン・ラングレンの『Into the Night』 で、初共演ながら良いお仕事をしていたフランスのサックス奏者エミール・パリジャン。2022 年には、 ACT デビュー10 周年を迎え、リーダー作としては7作目の新譜をリリースした。メンバーは、パリジャンの盟友である、ピアニストのロベルト・ニグロ、ギタリストのマニュ・コジマのヨーロッパ勢と、トランペット奏者のセオ・クロッカー、ベーシストのジョー・マーティン、ドラマーのナシート・ウエィツのアメリカ勢とのセクステット。メンバーのオリジナル8曲とジョー・ザヴィヌルの曲で全9曲。
オープナーのタイトル曲「Louise」は、ルイーズ・ブルジョワ、彼女の蜘蛛の彫刻「Maman」にちなんで名付けられたもの。柔らかで、瞑想的。メロディアスなパリジャンとクロッカーの相性はバッチリ。故ジョー・ザヴィヌル関係のユニット「ザ・シンシケート」でパリジャンがサックスを吹いていた曲「Madagascar」、パリジャンとクロッカーの息のあった演奏が聴ける。叙情的で情熱的な「Memento Part I 」、
ニグロのクラシカルなピアノからメンバーが有機的にかかわり合う「Memento Part II」。
走り抜けるウエィツのドラミングが印象的な「Memento Part III」。ヨーロッパ勢のスタイリッシュさとアメリカ勢の熱量が溶けあった創造性豊かな瞬間。
ニグロの曲「Il giorno della civetta 」、ゆったりとエレガントだけど暗い、コジマの粘着性のあるギターの揺れがいい感じ。オーネット・コールマンを意識した「Jojo」、パリジャンが飛ばす後ろでマーティンのベースが走る、唸るクロッカーの後ろでメンバーがおしまいに向かって伏線を創る。混沌と理性がバランスを保つ、コジマの曲「Jungle Jig」。終演は、クロッカーの曲「Prayer 4 Peace」、厳粛な雰囲気の中、、ゆっくりと感情を高揚させる。
パリジャンの創造を貫く根底にあるものを暗喩し、柔らかな一面と強面でエネルギッシュな一面を背中合わせに持ち合わせた演奏。 現代的な美しいハーモニー、浮遊感ある演奏、各人のソロ・パフォーマンスの素晴らしさ、東西のジャズが有機的に溶けあった透明感ある音楽。
1. Louise
2. Madagascar
Memento
3. Part I
4. Part II
5. Part III
6. Il giorno della civetta
7. Jojo
8. Jungle Jig
9. Prayer 4 Peace
Emile Parisien (ss)
Theo Croker (tp)
Roberto Negro (p)
Manu Codjia (g)
Joe Martin (b)
Nasheet Waits (ds)
今日のおまけは、レーベルがあげていたタイトル曲「Louise』。
んじゃ、退散♪
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