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音楽で拡がる輪

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2022年2月

2022年2月27日 (日)

フレス参加、ロマンチック&シャープネス 『Giulia / Triosence』

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ドイツのピアニスト、ベルンハルト・シューラーが率いるトリオセンス。
メンバーの変遷を経て、20年以上活動を続けている。
新作は、前作『Scorpio Rising』と同メンバー、キューバ出身でティングヴァル・トリオにも参加するベースのオマール・ロドリゲス・カルボと、ドラム&パーカッションのトビアス・シュルテ。
全曲、シューラーのオリジナルで、今回も録音はステーファノ・アメーリオ。
そして、スペシャル・ゲストとして、パオロ・フレスが3曲に参加。
タイトルは、レコーディングしたイタリア北東部のフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州にちなんで付けられたようで、イタリアの美しい風景へのオマージュでもあるようです。
 
オープナーは、透明感あるピアノが親しみやすいメロディを奏でる「Odd Times」。
ベースのソロから入る「Little Big Steps」、フレスのフリューゲルが柔らかに歌いまくる。
フレスにはいろいろな顔があるけど、今回はめちゃロマンチックでリリシズムに溢れている。
心地よさに目が眩む。。
スパニッシュな香りがたつ「Armando's Farewell」、ボーイングやパーカッションが効果的。シューラーのアイドルの一人、チック・コリアへのオマージュ作、三位一体の演奏。
大胆で力強くロックな「Squirrel's Rock」。
タイトル作「Giulia」、柔らかで開放感あるメロディ、気持ちも解放されてく〜♪
流麗なピアノに誘われフレスのトランペットがゆったりと歌い上げる「Your Nearness」。
優雅でグルービー、そして、インタープレイも堪能できる「Needless to Say」は、もう一人のアイドル、ビル・エヴァンスへのオマージュ。
「Ambiguity」、「If I Only Knew」と、アップテンポでシャープネスな3人の息のあった演奏が続く。
「Quiet Sense」、情感あふれるフレスのフリューゲルが響きわたる…
終演は、スリリングに自在に駆け抜けていく「No Risk, No Fun」、ハジケテいますね♪
 
 
北欧ジャズの持つ澄んだ空気と、直球的ロマンチックな美メロをベースに、それぞれの技術を活かしシャープネスで幅広い音楽性を持ったトリオ。
フレスが、ひたすらロマンチックでリリカルでっす!

1. Odd Times
2. Little Big Steps (feat. Paolo Fresu)
3. Armando's Farewell
4. Squirrel's Rock
5. Giulia
6. Your Nearness (feat. Paolo Fresu)
7. Needless to Say
8. Ambiguity
9. If I Only Knew
10. Quiet Sense (feat. Paolo Fresu)
11. No Risk, No Fun
 

Bernhard Schüler (p)
Omar Rodriguez Calvo (b)
Tobias Schulte (ds, perc)

special guest
Paoro Fresu (flh, tp) #2, 6, 10


今日のおまけは、ご本人たちがあげていたフレス参加の「Little Big Steps」。

 


 
 
彼らには、2010年にサラ・ガザレクが参加したクリスマスのミニアルバムがあります。
そろそろ、本格的なクリスマス・アルバムはどうでしょう?
お願い!!シューラーさま!!!
 
んじゃ、退散♪

2022年2月26日 (土)

『ジャズ批評 226号』がでました〜♪

226
2021年の総決算! まずは、、。。
●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●
「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2021」
●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●
 
私も、お気に入りを5枚選んでみました。
 
 
 
●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎
 
「第16回 ジャズオーディオ・ディスク大賞 2021」
 
●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎●●●●◎◎◎◎
 
 
今年も選考に参加させていただきました。
最終結果です。毎度のこと、あまり、絡めなかったなぁ。。汗
 
 
★インスト★
 
金 『Skyness / Alessandro Galati Oslo Trio』
 
銀 『Kiss from a Rose / 大橋祐子トリオ』
 
銅 『A Paz / Serge Delaite Trio』
 
 
★ヴォーカル★
 
金 『Billie / MAYA』
銀 『Staying in Touch / Sinne Eeg & Thomas Fonnesbæk』
 
銅 『Close Your Eyes / Elle』
銅 『Songs From Other Places / Stacey Kent 』
 
 
いつもの「新譜紹介」は、4枚でした。
 
 
 
 
 
 
 
 
次号は、ジャズ・ヴィブラフォンの特集です。
 
んじゃ、退散♪

2022年2月23日 (水)

期待通りの哀愁と郷愁 『Tango Macondo / Paolo Fresu』

Tango_macondo
 
精力的に音楽活動を続けるイタリアのトランペッター&フリューゲル奏者、コンポーザーのパオロ・フレス。
新作は、ピアニストでもあるイタリアの世界的バンドネオン奏者ダニエーレ・ディ・ボナヴェントゥラと、アコーディオン奏者のピエールパオロ・ワッカとの演奏。
フレスが、バンドネオンやアコーディオンと組んで悪かろうはずがありませぬ。。
そして、ゲストとして、イタリアのヴォーカリスト、マリカ・アヤン、トスカ、エリサの3人が参加。
 
 
オープナーは、マリカ・アヤンが感情の発露をみせる「Alguien Le Dice al Tango 」、ピアソラ曲をボナヴェントゥラが郷愁いっぱいに演奏。フレスのミュート・トランペットが沁み渡る。
リズムにのった「Il venditore di metafore」、多重録音でスリリングな「Movimento andino」。
牧歌的な雰囲気「Dumburudù / Dillu 」、ピアノと一緒にすすむ「Macondo」。
トスカとフレスが想いを歌い上げる「El Día Que Me Quieras」。
粛々と「Lenta preghiera」。後半でフレスの躍動的なピアノが聴ける「Ballu Tzoppu / Skamoiada」。
丁寧に丁寧に「Il sogno delle case di specchio 」。エリサの力強い歌声「Volver 」。
終演は、長閑な空間が続く「Tema di matoforu e anzelina 」。
 
そして、ボーナス・トラック「Stagioni」、明るい陽射しを感じる午後。
 

フレスのトランペットもフリューゲルも良く歌います。
そして、バンドネオン、アコーディオンとこれまた郷愁を誘います。
3人の個性的なヴォーカルがそれぞれいい味。
哀愁、郷愁に満ちています。


1. Alguien Le Dice al Tango
2. Il venditore di metafore
3. Movimento andino
4. Dumburudù / Dillu
5. Macondo
6. El Día Que Me Quieras
7. Lenta preghiera
8. Ballu Tzoppu / Skamoiada
9. Il sogno delle case di specchio
10. Volver
11. Tema di matoforu e anzelina
12. Stagioni (Bonus track)




Paolo Fresu (tp, flh, effects, p #Skamoiada)
Daniele di Bonaventura (bandoneon, effects, p)
Pierpaolo Vacca (acc, effects)

Malika Ayane (vo) #1
Tosca (vo) #6
Elisa (vo) #10  

今日のおまけは、フレスがあげていた「Alguien Le Dice al Tango

」。





んじゃ、退散♪

2022年2月20日 (日)

次々と浮かぶ光景、余白が美しいインティメイトな空間 『魚返 明未 & 井上 銘 / 魚返 明未 & 井上 銘』

_

 
日本のジャズ・シーンを牽引する若手ふたりのデュオ。
 
東京芸大音楽学部作曲科を卒業、ジャズ、現代音楽、映画音楽の作曲や編曲などを行い、アグレッシブな演奏で注目を集める気鋭のピアニスト、魚返 明未。井上 銘カルテットのピアニストでもあります。
中村 恵介クインテットで聴いた時は、何かが憑依したようなキレッキレの演奏でした。
『はしごを抱きしめる』にサインしてもらった♪
 
かたや高校生でのメジャー・デビュー後に、フルスカラシップ生としてバークリー音楽大学に留学、ニューヨーク滞在を経て帰国、ボーダレスな活動ので人気のギター・ヒーロー、井上 銘。
ブルーノート東京で、カート・ローゼンウィンケルを迎えたライブでも、素晴らしかった♪
 
で、共に1991年生まれの二人は、高校時代から共演を重ねる朋友。
と、いっても、インタビューを読むと、二人にデュオの演奏を勧めたのは、東京の高田にあった「ホットハウス」というジャズ・ライヴハウスの亡くなったママさんだったようです、流石ですね。
魚返のオリジナルを8曲と、井上のオリジナル「.丘の彼方」で、全9曲。
 
オープナーは、「きこえない波」。ピアノとギターが一体化し、優しく心に響く。
二人のデュオの為に、最初に書き下ろしたという「サイクリングロード」、明るくクリアの音、インティメイトな雰囲気、風景が流れるように場面がどんどん変わっていく。
主従の交代もスムースで、ひとりの人間から二つの音色が奏でられているような高揚感「もず」。
ゆったりと移ろいいく雲でも眺めるような叙情あるメロディが沁みる、「かなしい青空」。
 
唯一の井上オリジナル、「丘の彼方」。「自分の曲だけがずっと続くアルバムだと僕ばかりがしゃべっているような感じで居心地が悪い」とのことで、魚返のリクエストで入れたオリジナル。爽やかな空気、青春ドラマを観ているように、、演奏する楽しさを一緒に味わう。
寂しさを湛えた美しメロディ、「隔たり」。踊り出したくなるような楽しさ、ストーリー性を強く感じる「Herbie Westerman」。
空間が伸び縮みする感覚「縮む」、タイムトラベラーになった気分。
終演は、「静かな影」。心地よい揺らぎは、そっと揺れ動く心模様のよう。
 
緊張と弛緩を繰り返しながら、時にハートウォーム、時にスリリングに、次々と光景の浮かぶインティメイトな空間。
裏に表に、絶頂時の一体感は、ひとりの人間から二つの音色が奏でられているような半端ない高揚感。
余白が美しい名実ともに次世代の二つ星の渾身の作。

 


1. きこえない波
2. サイクリングロード
3. もず
4. かなしい青空
5. 丘の彼方
6. 隔たり
7. Herbie Westerman
8. 縮む
9. 静かな影
 
魚返 明未 (p)
井上 銘 (g)
 
 
今日のおまけは、「サイクリングロード」。
 
 
 
んじゃ、退散♪

2022年2月19日 (土)

UKからピアノ・トリオの新星現る 『Vermillion / Kit Downes  Petter Eldh  James Maddren』

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1986年生まれの英国のピアニスト、キット・ダウンズ。キット・ダウンズは、2009年にアコースティックのピアノ・トリオで『Golden』とういうアルバム・デビューしている。その時のドラマーは、今回と同じジェームズ・マドレン。その後、UKジャズ・シーンのさまざまな場所に参加し、2015年にトーマス・ストローネン『Time Is A Blind Guide』に参加、この作品がECMデビュー。その後、2018年に教会でオルガンを弾いたソロのアルバム『Obsidian』と、2019年にオルガンに、テナー・サックス、ギター、チェロ、ドラムスなどが参加した『Dreamlife Of Debris』の2枚のリーダー作をリリースしている俊英ピアニスト&オルガン奏者。オルガン奏者といっても、彼の弾くオルガンは教会にあるパイプ・オルガンで、ファンキーな路線ではなく、アンビエントで幻想的な感じ。



新作は、2018年に『ENEMY』というエッジの効いたタッチで激しい展開をキメていくアルバムをEdition Recordsからリリースしているトリオで、ベースのペッター・エルドとドラムのジェームズ・マドレンとの完全なアコースティック・ピアノ・トリオ。スイスのルガーノのスタジオで録音、ジミ・ヘンドリックス曲以外はダウンズ5曲とエルド5曲で全11曲。



オープナー「Minus Monks」、テーマを3人で繋ぎながら美しくさまざまに変化。「Sister, Sister」、親しみやすいメロディ、澄んだ美しいハーモニー、役割の流動的な変化。流麗で力強いダウンズのタッチ、複雑に変化していくエルドのベース、繊細なマドレンのドラムで「Seceda」。骨太なベース・ソロから始まる「Plus Puls」、ベースとピアノの位置関係が瞬時に変わり、美意識を保ちながら自在に展開。「Rolling Thunder」、仄暗く不穏な時間。各自の技術の高さがよくわかる「Sandilands」、三位一体。低音からの「Waders」、ベースとピアノが繰り返しながら微妙に変化していく様。「Class Fails」、哀愁あるメロディ、澄んだ美しいタッチ、綺麗なハーモニー。互いにインスパイアされながら進む「Bobbl's Song」。独創的に音楽を探求する3人「Math Amager」。終演は、ジミ・ヘンドリックスの「Castles Made of Sand」、叙情あるピアノ・トリオの演奏に落とし込む。




複雑なリズムを苦ともせず、3人の力や位置関係も対等に自在に変化していく典型的なECMのコンテンポラリー・ピアノ・トリオ。


ただ、彼らそれぞれの幅の広い演奏活動が、ただ、それだけじゃない幅広さ深さを漂わせている感じ。


今回は、どストライクだったんだけど、次作はどうなっているのだろうか。。いずれにせよ、UKからピアノ・トリオの新星現る、って感じですね。


1. Minus Monks
2. Sister, Sister
3. Seceda
4. Plus Puls
5. Rolling Thunder
6. Sandilands
7. Waders
8. Class Fails
9. Bobbl's Song
10. Math Amager
11. Castles Made of Sand


Kit Downes (p)
Petter Eldh (b)
James Maddren (ds)



今日のおまけは、ご本人のトピックスから「Sister, Sister」。






んじゃ、退散♪

2022年2月16日 (水)

想像力豊かに感情の起伏を 『Pensieri Isolati / Giovanni Mirabassi』

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落ち穂拾い&サブスクです。
去年の秋頃にリリースされていました。
 
イタリア生まれ、フランスに在住のピアニスト、ジョバンニ・ミラバッシ。
パンデミックの中、彼も多くのコンサートをキャンセルせざるを得ない状況になり、
家族とパリの自宅で過ごすことになり、2020年の5月の自分の誕生日も自宅で迎える。
そんな中で、毎週毎週、独りピアノと向き合った記録がこのソロ・アルバム。
Pensieri Isolati(孤立した思考)と名付けられたアルバムは、世界中の人に向けて演奏されたもの。
 
流麗、そして力強い「The Healing waltz」。
ピアノを激しく打ち鳴らし感情の起伏がでる「Un Peu comme cette époque」。
「Pensées isolées」、内へ、内へと入り込んでいく。
ゆったりと大きく広がる光景「Seascape」。
エレガントでうっとりするメロディから始まるミラバッシの世界「Les chants magnétiques」。
「Canta che ti passa」、郷愁の権化。最後まで華麗に「Behind the white door」。
哀愁が詰まった「Reactionnary Tango」。
「Le libre arbitre」、時の流れと強い意志を感じるダイナミックな演奏。
終演は、優しく語りかけるように「What's new」、しっとりと幕を閉じる。
 
ボーナス・トラックは、フランスのロックグループ「モカイーズ」のボーカリスト、シリル・モカイーズとの共演が収められているとのこと。(未聴)
聴いてみたいですね。
 
 
想像力豊かに彼の感情の起伏を表現し、流麗にピアノを弾き美しく響かせる。
耳をかたむる人に向かっての、全身全霊で演奏。情熱的。
 
 
1. The Healing waltz
2. Un Peu comme cette époque
3. Pensées isolées
4. Seascape
5. Les chants magnétiques
6. Canta che ti passa
7. Behind the white door
8. Reactionnary Tango
9.  Le libre arbitre
10. What's new

11. Où voulez vous que je m'assoie ? (Bonus track)
 
Giovanni Mirabassi (p)
 
 
今日のおまけは、Apple Musicから。
 
 
 
 
 
ご本人のトピックスにあがっていた「The Healing waltz」も。
 
 

 
 
んじゃ、退散♪



2022年2月13日 (日)

東西のジャズが有機的に溶けあった 『Louise / Emile Parisien 』

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ヤン・ラングレンの『Into the Night』 で、初共演ながら良いお仕事をしていたフランスのサックス奏者エミール・パリジャン。2022 年には、 ACT デビュー10 周年を迎え、リーダー作としては7作目の新譜をリリースした。メンバーは、パリジャンの盟友である、ピアニストのロベルト・ニグロ、ギタリストのマニュ・コジマのヨーロッパ勢と、トランペット奏者のセオ・クロッカー、ベーシストのジョー・マーティン、ドラマーのナシート・ウエィツのアメリカ勢とのセクステット。メンバーのオリジナル8曲とジョー・ザヴィヌルの曲で全9曲。


 



オープナーのタイトル曲「Louise」は、ルイーズ・ブルジョワ、彼女の蜘蛛の彫刻「Maman」にちなんで名付けられたもの。柔らかで、瞑想的。メロディアスなパリジャンとクロッカーの相性はバッチリ。故ジョー・ザヴィヌル関係のユニット「ザ・シンシケート」でパリジャンがサックスを吹いていた曲「Madagascar」、パリジャンとクロッカーの息のあった演奏が聴ける。叙情的で情熱的な「Memento Part I 」、
ニグロのクラシカルなピアノからメンバーが有機的にかかわり合う「Memento Part II」。
走り抜けるウエィツのドラミングが印象的な「Memento  Part III」。ヨーロッパ勢のスタイリッシュさとアメリカ勢の熱量が溶けあった創造性豊かな瞬間。


ニグロの曲「Il giorno della civetta 」、ゆったりとエレガントだけど暗い、コジマの粘着性のあるギターの揺れがいい感じ。オーネット・コールマンを意識した「Jojo」、パリジャンが飛ばす後ろでマーティンのベースが走る、唸るクロッカーの後ろでメンバーがおしまいに向かって伏線を創る。混沌と理性がバランスを保つ、コジマの曲「Jungle Jig」。終演は、クロッカーの曲「Prayer 4 Peace」、厳粛な雰囲気の中、、ゆっくりと感情を高揚させる。
パリジャンの創造を貫く根底にあるものを暗喩し、柔らかな一面と強面でエネルギッシュな一面を背中合わせに持ち合わせた演奏。 現代的な美しいハーモニー、浮遊感ある演奏、各人のソロ・パフォーマンスの素晴らしさ、東西のジャズが有機的に溶けあった透明感ある音楽。


 



1. Louise 
2. Madagascar 
Memento
3. Part I 
4. Part II 
5. Part III 
6. Il giorno della civetta 
7. Jojo 
8. Jungle Jig 
9. Prayer 4 Peace 


 


Emile Parisien (ss)
Theo Croker (tp)
Roberto Negro (p)
Manu Codjia (g)
Joe Martin (b)
Nasheet Waits (ds)


 



今日のおまけは、レーベルがあげていたタイトル曲「Louise』。


 




 


んじゃ、退散♪

2022年2月11日 (金)

大切な人と一緒に聴きたいハートウォームな一枚 『With a Song in My Heart / Jane Hall and Ed Bickert』

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2月14日は、バレンタインデー。
こんな甘く優しい音楽は、いかがでしょ?
今からでも、プレゼントにも間に合いそうですよ。
 
ジェーン・ホールは、あのジム・ホールの奥さま。
結婚20年を記念して、彼女からジムへの誕生日のプレゼントとして計画されたもの。
そのサプライズ計画に、ジェーンは友人のカナダのギタリスト、エド・ビッカート!に声をかけ、彼の爪弾くジェントル・ギターで、このアルバムを録音したとのことです。
エド・ビッカートといえば、テレキャスターを使用した多彩なコードワーク、まろやかな音色、メロディアスなフレージングのカナダの燻銀のギタリスト。
残念ながら、2019年の2月に亡くなってしまいました。
ポール・デスモンドのお気に入りのギタリストでカナダ録音の時のメンバーで有名ですね。
友人だったんだ。。つうか、ポール・デスモンドにビッカートを紹介したのは、確かジム・ホールでしたよね。
 
1985年8月10日に、サプライズとして録音され、ずっと、家族の愛蔵版だったようなのですが、後にArtist Shareのオーナー、ブライアン・カメリオがCDとして売り出し、完売後は入手困難なアルバムだったワケです。
が、今回、MUZAKレーベルより日本盤化が実現し、私もめでたくゲットできたわけです。
これが、予想以上に沁みる優しい穏やかな空間のバラッド集。
 
オープナーは、ギターと語り合うように訥々と歌い上げる「With a Song in My Heart 」。
キュートで全く媚びない温かな声。そこに寄り添うギターも最小限の音。
「Maybe You’ll Be There」も、しっとりとしたバラッドで。なんでしょ、技巧的なところが全くなく、目の前にいる人に歌う姿勢が可愛らしい。
静かに語りかける「‘Round MIdnight 」、感情過多にならない2人の演奏。
粋なギターに誘われて「People Will Say We’re in Love」、ビッカートのソロも軽快。
「My Foolish Heart」、もう、泣けそうにになるくらい沁みてくる。ビッカートのギターがまたいいのですよねぇ。。コード・ワーク美しく素敵。
これまた囁くように「My Funny Valentine」、愛に溢れてる〜。毎日、ジム・ホールにこういう風に囁いてたのだろうか。。
「It Might as Well Be Spring 」、ぴったりと寄り添う2人。
ちょっと、ハスな感じをがんばる「Lover Moan」、それも、また可愛いなぁ。。ニンマリ。
訥々と愛を語る「 It's Magic」。「Alone Together 」、ぞくぞく来ちゃいます。
しら〜っと、キスを迫っちゃう「Do It Again 」。
終演は、「For All We Know」、最後の最後まで静かにしっとりと。

もう全編、肩の力抜けまくり、あなた(ジム・ホール)だけのためにしっとり歌う、ジェーンが素敵すぎる。
ジャズ・クラブで歌った経験は一度もないけど、ジム・ホールと自宅で歌うことが好きだったって、すんごい贅沢!!
ハートウォームな一枚、大切な人と一緒に聴けたらいいですね!
 

1. With a Song in My Heart
2. Maybe You’ll Be There
3. ‘Round MIdnight
4. People Will Say We’re in Love
5. My Foolish Heart
6. My Funny Valentine
7. It Might as Well Be Spring
8. Lover Moan 
9. It's Magic
10. Alone Together
11. Do It Again
12. For All We Know
 

Jane Hall (vo)
Ed Bickert (g)
 

今日のおまけは、Artist Shareがあげていた「With a Song in My Heart」。
朝から、腰砕けなこと間違いなし♪
 
 
んじゃ、退散♪

2022年2月 9日 (水)

ECM特集、面白かった! 『月刊 stereo 2022年2月号 (1/19)』

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月刊 stereo 2022年2月号 (1/19)

   特集 ECMとオーディオ
 
1963年創刊の老舗オーディオ誌が、企画したECM特集。
最近オーディオ誌を購入したことはないのだけど、ECM好きとしては、興味津々、、見逃せないですよね。
 
特集内容の最初の方は、ECM特有のあの音を中心に、創立者マンフレート・アイヒャーの創り上げる音に言及している。
印象的だったのは、「ECMに録音するアーティストはアイヒャーの"世界"に参入すると同時に、 "新たな音楽ジャンル "を創出することを求められてるいる」と、書かれていた矢澤孝樹氏の言葉。そして、ほぼ全員が感じている完璧主義者としての姿。
これは、ECMを聴いている者は、あの繊細で、独特のリバーブのかかった透明感のある静寂な空間から、そういったことは感じ取ることができると思うのだけれど、他の人が文章ではっきり書いていると、なんだかとっても納得してしまう。

「日本におけるECMの歴史」という記事も面白かった。
ECMレコードと日本での独占契約を果たした稲岡邦彌氏に田中伊佐資氏がインタビューしていて、当時のさまざまエピソードを語っている。
その中で、
「レインボー・スタジオの抜きん出てクリアな音はどうしたら生まれるのでしょうか。」
 
と、いう質問にきっぱりと答えている。
「アイヒャーがイメージしている音をヤン・エリックがくみ取って、実際にそれを形にしているということです。あくまでもアイヒャーありきの音なんですね。」
 
おぉ、、ますます、コワイなぁ。
 
そして、証言者というタイトルで、ECMからリーダー作をだしている田中鮎美氏と福盛進也氏の二人もインタビューに答えている。
田中氏の話の中では、自分のやりたいことを認められなかった日本での苦悩と、ECMの音は、ヨーロッパで聴くアコースティックの音にすごく近い、といったことが印象に残っている。
あと、ボボ・ステンソンのファンっていうのも嬉しかった。私のライブ体験で、一番強烈だったのが、ボボ・ステンソンのソロのライブだったから。
福盛氏は、ECMでの録音経験が、自分のレーベルを運用するようになってとても勉強になったと言っている。その反面、文章の中から全てを支配したがるアイヒャーに対する複雑な気持ちもでていたと思う。
 
愛聴者の方々の好きなECMも興味深く拝見した。
寺島氏が、「「ドスン、バシン」に食傷し、聴き始めたECM」とういタイトルで、好きな盤にトルド・グスタフセン・トリオを挙げていたので、心の中で、、「日本に呼んで、呼んで、、」と、つぶやいてしまいました。笑
 
一番、オーディオ雑誌らしい攻めしていたのが、田中伊佐資氏の「「アナログ再生」で聴く「ケルン・コンサート」」。ECMを聴くならば384kHz/32bitが最適と断言されてましたね。
 
と、P17〜P71の50頁以上を割いての特集は、読み応えがありました。
表紙もとても素敵で、ECMのジャケットに通じる世界観。
おまけに巻末綴じ込み付録が、「新編オーディオ用語総辞典」。
なんだか、私の役に立ちそうじゃありませんか。。。汗
 
大変、お得なお買い物でした♪
以下、月刊 stereoのH Pに載っていたECM特集の内容をコピペしておきま〜す。
2月号、ということで、、すでに手に入れてる方も多いとおもいますが、
もしも、興味をもったら早めに購入した方がいいかもしれませんね。

特集
ECMとオーディオ

ECMを象徴する4枚(稲岡邦彌)
ECMレーベルヒストリー(岡崎正通)
鬼才マンフレート・アイヒャーの実像(矢澤孝樹)
日本におけるECMの歴史(稲岡邦彌)
証言者~ECMの内部を知る者たち(田中鮎美/福盛進也/纐纈歩美/松下真也(インタビュー/構成:生形三郎、編集部))
ECMレコーディングレポート(及川公生)
MY ECM!~愛聴者11人の私的名盤(石田善之/生形三郎/岡崎正通/後藤雅洋/菅野 聖/真保 安一郎/鈴木 裕/寺島靖国/福地史人/堀江博久/山之内 正)
長岡鉄男とECM(編集部)
84kHz/32bit「アナログ再生」で聴く「ケルン・コンサート」(田中伊佐資)
ECMイチ押し新譜情報 (岡崎正通)
第59回 レコード・アカデミー大賞受賞作品 ECM『ブラームス』アンドラーシュ・シフを語る(レコード芸術編集部)
ヨーロッパスピーカーで聴くECMの世界(田中伊佐資×野嶌義男(SHeLTeR))
アヴァンギャルドがECMと出会う時(林 正儀)
 
んじゃ、退散♪

2022年2月 6日 (日)

穏やかな音風景 『In The We Small Hours /  Carlos Franzetti 』

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アルゼンチン生まれ、ジャズ、クラシック、映画音楽、ラテンと、多方面にわたって活躍するピアニスト、コンポーザー、アレンジャーのカルロス・フランツェティ。
今回は、ピアノ・トリオでアコースティック・ジャズに回帰した作品。
メンバーは、ベースのデヴィッド・フィンク、ドラマのビリー・ドラモンドといった名手によるスタンダード集。

オープナーは、「In the Wee Small Hours of the Morning」、ちょっと寂しい恋の歌だけど、、穏やかで優しい響き。フィンクの音色もドラモンドのブラシもとっても優しい。
ゆったりと、情感こめて「Memories of You」。「How Deep is the Ocean」の優雅な中に3人の息のあったやりとり。
歌心いっぱいの「How Long Has This Been Goin’ on」。ダンディに弾んで「Put on a Happy Face」。
「Time Remembered」、気を衒わず気高く美しく。情景が浮かび上がるような「I’ll Be Seeing You」。
情熱的に盛り上がる「Alone Together」。
 
ここから、3曲、「How Deep is the Ocean」、「In the Wee Small Hours of the Morning」、「Memories of You」と別テイクが続きます。
 
最後は、パートナーのアリソン・ブリュースター・フランゼッティがチェレステ、彼はフェンダー・ローズを弾いている「Piccola Musica Nocturna」、オーケストラがかぶさった夢ヴァージョン。
 
超有名なナンバーを奇をてらうことなく、気高く美しく届けてくれます。
アコースティック・ジャズに拘ったジェントリーな作品。
 
穏やかな休日でありますように!
 

1. In the Wee Small Hours of the Morning
2. Memories of You
3. How Deep is the Ocean
4. How Long Has This Been Goin’ on
5. Put on a Happy Face
6. Time Remembered
7. I’ll Be Seeing You
8. Alone Together
9. How Deep is the Ocean (Alternate Version)
10. In the Wee Small Hours of the Morning (Alternate Version) 

(Bonus Tracks)
11. Memories of You (Alternate Version)
12. Piccola Musica Nocturna


Carlos Franzetti (p)
David Finck (b)
Billy Drummond (ds)

#12
Carlos Franzetti (conductor, fender rhodes),
Allison Brewster Franzetti (celesta) 
with The City of Prague Orchestra
 
今日のおまけは、ご本人があげていた「In the Wee Small Hours of the Morning」。
 
 
 
んじゃ、退散♪

2022年2月 5日 (土)

ビターでハード・ボイルド 『Live At The Village Vanguard Unissued Tracks / Geri Allen, Charlie Haden, Paul Motian 』

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お楽しみにしていた一枚。
ジェリ・アレン、チャーリー・ヘイデン、ポール・モチアンによる伝説のトリオによる1990年の傑作ライヴの未発表トラック集。
1990年12月21~22日の2日間、ヴィレッジ・ヴァンガードで敢行したライヴは、計6セットの演奏があり、そこから抜粋され『Live at the Village Vanguard』が、1991年にリリース。
今回は、ジェリ・アレンを敬愛し本人のトラも務めたことのある大西順子が、残されたトラックをすべて聴き、選曲・監修したというもの。選曲したすべてが、未発表のトラック。
そして、世界的なレコーディング・エンジニア&プロデューサーであるジム・アンダーソンのミックス&マスタリング。彼は、当時録音を担当している。
既成曲と自分達のオリジナルをいい塩梅に配置。
 
オープナーは、拍手で始まるポール・モチアンによるメンバー紹介。
セロニアス・モンクの「 In Walked Bud」、堅い力強いピアノがとばす。少しアブストラクトでエキサイティング。
アレン曲「Obtuse Angles」、フリーな接近戦。一転、甘さを抑えながらも流麗に歌い上げる「Dancing in the Dark」。
モチアン曲「Fiasco」、フリー魂全開。「Cherokee」、キレキレの3人のスリリングな演奏。
モチアンのMC。
モチアン曲「Two Women from Padua」、思索的なフリー。妖しく優雅な「I Don't Know What Time Is It Was 」。
モチアン曲「Mambo Jumbo」、ビター&ハード・ボイルド。ヘイデン曲「Song for the Whales」、ノイジーな実験的フリー。
終演はバッド・パウエルの「Dance of Infidels」、小粋でグルービーに。
最後は、アレンがメンバー紹介♪
 
骨太で聴きごたえのあるピアノ・トリオ。
オリジナルでは、フリー度が増し、難解な感じだが、スタンダードやミュージシャン曲では、遊び心も。
全体に漂うビターでハードボイルドな感じは、ジャケットそのもの、かっこいいぃ。
 
1. Announcement by Paul Motian 
2. In Walked Bud
3. Obtuse Angles 
4. Dancing in the Dark 
5. Fiasco 
6. Cherokee 
7. Announcement by Paul Motian 
8. Two Women from Padua 
9. I Don't Know What Time Is It Was 
10. Mambo Jumbo 
11. Song for the Whales 
12. Dance of Infidels 
13. Announcement by Geri Allen 
 
Geri Allen (p)
Charlie Haden (b)
Paul Motian (ds)
 
今日のおまけは、ジェリ・アレンのトピックスがあげていた「In Walked Bud」。
 
 
全員、鬼籍に入ってしましましたよね。
合掌!
 
んじゃ、退散♪

2022年2月 2日 (水)

長編物語に仕上げた 『After Midnight / Orquestra Jazz de Matosinhos feat. Rebecca Martin and Larry Grenadier 』

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レベッカ・マーティンは米国で活動するジャズ系シンガー・ソングライター。
グレッチェン・パーラト、ベッカ・スティーヴンスとの3人のユニット「ティレリー」のメンバーです。
新譜は、パートナーであるベーシストのラリー・グレナディアと、欧州を代表するビッグ・バンドのオーケストラ・ジャズ・デ・マトシニョス(OJM)とのコラボ盤。
OJMは、ポルトガルのビッグ・バンドで、過去にも多くのジャズ・ミュージシャンと共演しているビッグ・バンド。
どうやら、アルバム『ティレリー』を聴いた音楽監督からのオファーでコラボが実現。
彼女のヴォーカルと、作詞・作曲に感銘をうけたとのことです♪
11曲中8曲が、彼女の過去のアルバムからの曲で、それらをストーリー性をもって組み直した渾身作。
 
オープナーは、アルバムの導入に相応しく彼女が語りかけるような「The Space in A Song to Think」。
オーケストラならでは広がりに感情をのせる「In Nick of Time (State of The Union)」、グレナディアのソロも◎。
悲哀に満ちた「Brother Can You Spare A Dime」のメランコリックなこと、、子守唄「Kentucky Babe」の穏やかさ。
胸に迫る感情はなんだろう?「After Midnight」、彼女の兄が戦争で重傷を負った心境にインスパイアーされた曲…今回は、パンデミック後の世界も揶揄しているよう。
ミンガスの「Portrait」での重厚さ。
感情の発露をみせる「Don't Mean A Thing at All」、最高。
赤裸々な感情が増幅する「Willow Weep for Me」、ジャジーなこと。
 
新作「All Day She Wrote」を自信にみちて歌い上げる。心が一緒に揺れる「Lush Life」。
終演は、ポジティヴな感情が湧き上がる「Joey」。
 
 
彼女の「スモール・バンドのような雰囲気で」という願いで、インティメイトな雰囲気になったよう。
メランコリックな歌声で自身の名曲やスタンダードを歌いあげるレベッカの長編物語に仕上がってま〜す。
 
1.The Space in A Song to Think
2.In Nick of Time (State of The Union)
3.Brother Can You Spare A Dime
4.Kentucky Babe
5.After Midnight
6.Portrait
7.Don't Mean A Thing at All
8.Willow Weep for Me
9.All Day She Wrote
10.Lush Life
11.Joey
 
Rebecca Martin (vo, g)
Larry Grenadier (b)

Orquestra Jazz de Matosinhos
(以下、OJMのトレーラーからコピペしましたm(_ _)m)
Musical Direction and Arrangements
Pedro Guedes

Woodwinds
João Pedro Brandão
João Guimarães
Mário Santos
José Pedro Coelho
Rui Teixeira

Trumpets & Flugelhorns
Luís Macedo
Javier Pereiro
Rogério Ribeiro
Ricardo Formoso

Trombones
Daniel Dias
Paulo Perfeito
Andreia Santos
Gonçalo Dias

Guitar
André Fernandes
Piano and Arrangements
Carlos Azevedo
Drums
Marcos Cavaleiro
 
今日のおまけは、OJMがあげていたアルバムのトレーラー。
 
 
 
 
んじゃ、退散♪

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