極北の空気も感じられる 『Skyness / Alessandro Galati Oslo Trio』
『Cold Sand』 をリリースする直前の2017年の1月の録音だそうですよ。
なぜに、リリースされなかったか、、それは、分かりませんが、、
宣伝文には、
「澤野工房がリリースを躊躇してしまった最高傑作にして熟成させていた未発表作品。」
と、あります。
そして、その音源を今年になって、 澤野社長が寺島レコードに持ち込みリリースに至ったとのこと。
きっと、、私たちが知らなくても良い「大人の事情」 があるのでしょう。。
ガラティのさまの新譜であれば聴いてみたいのが、ファン心。
そして、ヤン・エリック・ コングスハウグをエンジニアに迎えレインボー・スタジオで録音、 マスタリングは、ステファノ・アメリオ!!
しかも、「Oslo Trio」とあり、ベーシストが、私の好きなベーシストの一人、 あのマッツ・アイレットセンではありませんか。。
ポチりましたよぉ♪
彼のオリジナルが7曲、即興が2曲、ジョン・ レノンの1曲で全10曲。
オープナーは、美しくも緊張感を持つ「Rob as Pier」、哀愁あるメロディを3人で紡ぎあげていく。
柔らかで丸みのあるピアノの音で、余韻を大切にした演奏、 ベースのソロも叙情的。
暗く少し重めな雰囲気の「In My Boots」、抽象的で大きな空間を持つ「 Balle Molle」。
2つある即興演奏のひとつ「Flight Scene #1」、タイトル「飛行」は自由に飛翔する3人のイメージからのよう。力強いベース・ソロから始まって、それぞれが即発されながら音の響きを確認しあっている感じ。
「Raw Food」、アルコやシンバル音が繊細に重なり合う中、とても内省的な演奏。
それぞれの音の響きと即答力を最大限に大切に、2つ目の即興「Flight scene #2」。
悲壮的なムードを大きく感じる「Entropy」、ベースとドラムの創造力を強く感じる。
昔から好きだったというジョン・レノンの「Jealous Guy」、冒頭はピアノで柔らかなにメロディを奏でる。叙情豊かなベース・ソロが、、また、泣ける。
終演はタイトル曲「Skyness」、彼が考えた新造語だそうです。北に向かう飛行機の中、空との一体感から生まれた言葉のよう。ノルウェーに広がる凍える広大な大地。そこから生まれる虚無感、、音楽家の彼はそれを音楽として残したかったのだとおもいます。
彼のピアノの音は、溶けかかった氷のような、、透明で濡れた美しさがあると思うのですが、、
本当に、その一音一音の余韻までを綺麗に再現しているので、ドキドキしちゃいます。
アイレットセンのベースは、重すぎず軽すぎず、理想的。
ドラムのヴィナッチャも、繊細且つ大胆な音選び。
3人で、ガラティの目指す、「ひとつひとつの音が響き合うことの結果が創り出すサウンド」を創り出してます♪
ガラティの叙情はそのまま、極北の空気も感じられる1枚。
1. Rob as Pier
2. Silky Sin
3. In My Boots
4. Balle Molle
5. Flight Scene #1
6. Raw Food
7. Flight scene #2
8. Entropy
9. Jealous Guy
10. Skyness
Alessandro Galati (p)
Mats Eilertsen (b)
Paolo Vinaccia (ds)
今日は、ちょうど良い音源がみつかりませんでした。m(_ _)m
パオロ・ヴィナッチャは、イタリア出身でオスロに住んでいたドラマーです。
この録音の2年半後、2019年の7月に65歳で鬼籍に入っています。
このアルバムの立役者の一人である、 録音エンジニアのヤン・エリック・コングスハウグも、2019年の11月に鬼籍に入っています。
もう少し、早く、リリースできたらよかったですね。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
んじゃ、退散♪
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