心の灯火 『Songs from Home / Fred Hersch』
コロナによるパンデミックな世界は、喜ばしいことではないけれど、、
そのおかげで、多くのアーティストたちは、私たちにむけて目一杯の「愛」を発してくれている。
現代ピアノのレジェンド、フレッド・ハーシュ。
彼は、当初、毎日Facebookで、ソロの演奏を続けてくれた。
まるで、お互いの存在を確かめ合うように。
そして、次に行ったのは、セカンド・ハウスのスタンウェイに向き合うこと。
パートナーと離れて、独りでピアノで自己との会話。
選曲は自然と、自分が影響を受けてき曲となり、そういったポップスを弾くことは、兼ねてから考えていたことだそう。
その結果が、このアルバムだそうです。
オープナーは、ミュージカル、マイ・フェア・レディの「Wouldn't it be Lovely」、軟らかく愛らしいたたずまい、、いやもう、素晴らしすぎて胸がきゅん。
グレン・キャンベルでお馴染みの「Witchita Lineman」もメロディと自らの心と対話するように穏やかに。
スキップするような軽やかな「 After You've Gone」をへて、ジョニ・ミッチェルの「All I Want」が、、また、絶品…。歌のリリカルな部分をぐぅ〜っと、ぐぅ〜〜っと、昇華させた感じ。
コール・ポーターの「Get Out of Town」は、アップテンポでリズミカルに。
母に捧げたオリジナル「West Virginia Rose」とトラディショナル「The Water Is Wide」がしんみりと穏やかにつながる。
少し仄暗くエレガントなオリジナル「Sarabande」、本当に繊細でリリカル。
ケニー・ホイーラーの「Consolation (A Folk Song)」がクラシカルに響く。
気品溢れるデューク・エリントンの「Solitude」の端正な美しさにうっとり…。
終演は、ポール・マッカートニーの「When I'm Sixty-Four」、曲調を生かしてウィットある軽妙な演奏。ハーシュも64歳なんだそうで、ちょっと、全体の雰囲気から離れるけど、遊び心を感じる選曲。きっと、暗い世の中を励ましたかったのでしょ。
全体に、静謐で、温かなな癒しを感じる、まるで、私たちの心の灯火のような作品。
1.Wouldn't It Be Loverly
2.Wichita Lineman
3.After You've Gone
4.All I Want
5.Get Out of Town
6.West Virginia Rose / The Water Is Wide
7.Sarabande
8.Consolation (A Folk Song)
9.Solitude
10.When I'm Sixty-Four
Fred Hersch (p)
今日のおまけは、ご本人があげていたジョニ・ミッチェルの「All I Want」。
まだまだ、コロナ禍は収束に向かいません。
いろいろと対策があがっていますが、ポイントの一つは
「相手を思いやる行動」
だと、思いますよ。でも、これが、、意外と難しいのよ。
気づかぬ差別と同じで、
「自分は、そんな非常識なことはしていない」
と、自分の行動を思い込んでることが多いですから。
んじゃ、退散♪
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コメント
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Suzuckさん,こんにちは。
私のところにはまだ現物が届きません。なので,私はストリーミングで聞いての記事ですが,印象は何で聞いても大きくは変わらないだろうと思っています。
いつものFred Herschらしい演奏だと思いますが,“When I‘m Sixty Four”の浮き方は...ですねぇ。私は記事の書き方に困りました。でもやっぱりアルバムは好きですが。
ということで当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2020/11/post-9c057d.html
投稿: 中年音楽狂 | 2020年11月21日 (土) 11時41分
閣下、、
宅録って、ことなわけですが、、さすがいい音ですよね。
自然に響く感じが、このアルバムにぴったりだとおもいました。
「When I‘m Sixty Four」、決して悪い演奏とうわけではないのですが、、
確かに浮きますよねぇ。でも、「Solitude」で終わってしまうと、、
本当に、しんみりと静謐な余韻だけになってしまうので、、。
まぁ、こんなご時世なので。
ありがとうございました。
投稿: Suzuck | 2020年11月21日 (土) 12時57分
Suzuckさんは、なかなか高評価をおつけになりましたね。
まあ、この手は想像できましたが・・・私は欧州流の叙情派の哀愁ある美旋律を期待して聴きましたので、若干物足りなかったです。
結論的には、こんな処なんでしょうね。
あのSøren Bebe Trio の「HOME」がすぐに頭に浮かびましたが・・・あそこまでの感動はありませんでした。
中年音楽狂さんもおっしゃってましたが・・・浮いたビートルズ・カヴアーの評価もいろいろでしょうね。私には不要でしたが。
TB指せてください → http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-892356.html
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年11月26日 (木) 10時59分
風呂井戸さま、欧州のピアニストのような繊細さは常に持ちながらも、、
ヴィレッジ・ヴァンガードを本拠地とするピアニストですからねぇ。
北欧の空気が持っているワビサビとは、また、違った静謐さなんじゃないでしょうか。
そうですか。。感動度が浅すぎると・・。。
でも、「Søren Bebe Trio 」、好きです!素敵ですよね。
ええとですね。。最後の曲は、私も積極的に受け入れているわけではありません。。
ですが、彼の気持ちをおもうと、ありがたいと思っています。
投稿: Suzuck | 2020年11月27日 (金) 18時08分