互いに、反応しあう喜びがここにある 『Tens / Walter Lang Trio』
ドイツ・シュヴェービッシュ・グミュント 生まれのピアニスト、作曲家のウォルター・ラング。
アコーデオンとピアノを演奏する父と祖父のもとで育ち、バークリー音楽院とアムステルダム芸術大学でピアノと作曲を学んだ日本でも人気のピアニスト。
ECMの音楽が好きだという彼のピアノは、透明感あふれており、歌心も満載。
日本的な情緒を感じるメロディを持つ曲も多くあり、2013年以降、日本の澤野工房さんからも5枚のアルバムを出している。
長らく、ベースはトーマス・マークッソン、ドラムはセバスティアン・メルクの不動のメンバーだったのけれど、2019年の『Pure』から、ドラムがe.s.t.のドラマーだったマグナス・オストロムに変わっていまっす。
今回も、メンバーは同じ、曲も3曲ほどかぶったりしています。
このメンバーでの演奏を重ねるにつれ、どうやら、新しく船出を切ったこのメンバーでも、過去10年間に演奏したお気に入りの曲たちを再び録り直しておきたくなったよう。
それだけけ、オストロムの演奏が気に入ったのかな。1曲あるベース・ソロの曲以外は、全てかれのオリジナル作。
オープナーは、「The Beginning And The End 」、ピアノの明るい音色で煌く演奏、ベースの優しい歌いぷり、全体を包み込むオストロムの繊細な音。
静かな感情の流れをひしひしと感じる、ゆったりと音数すくないバラッド「Soon」。
優しく柔らかな「 Little Brother 」、ピアノとベースの阿吽、ドラムとの一体感、感情の高まり。
裏表のピアノとベース、深く沈みこむ感情の起伏「Meditation in F min」。
おとぎ話の世界のように可愛らしい「Snow Castle」。
テンポよい連打が続きe.s.t.の世界を彷彿させる「Branduardi」。
おりん系の音が時折入る「Misty Mountains」、ミステリアス。
アルコとマレットでドラマチックな場面を作り上げていく「No Moon Night」。
アメリカーナの雰囲気たっぷり「Kansas Skies」。
胸をうつ渾身のベース・ソロの響き「 I Wonder Prelude」、シームレスに始まる「 I Wonder」は、郷愁の響き、ドラマチックな展開と振り幅大きい。
終演は、美しく透明な空間のピアノのソロと素朴な響きを持つベースのソロ、間を泳ぐブラシ。
本当に良く歌うメロディアスなトーマス・マークソンのベースと、双頭の如く裏に表に演奏を紡いでいくスタイルは相変わらず魅力。そこに、ブラシやロッズ、様々な道具で的確にしなやかに軽やかに彩り豊かに色づけするマグナス・オストロムが素敵!
静と動のバランスも良く、互いに遊び、互いに耳を傾け、反応しあう喜びがここにある。
1. The Beginning And The End
2. Soon
3. Little Brother
4. Meditation in F mi
5. Snow Castle
6. Branduardi
7. Misty Mountains
8. No Moon Night
9. Kansas Skies
10. I Wonder Prelude
11. I Wonder
12. When the day is done
Walter Lang (p)
Thomas Markusson (b)
Magnus Öström (ds)
今日のおまけは、ご本人があげていた少し前の演奏の「Meditation in F minor」。
ウォルター・ラングは、ドイツの歌手ジェニー・エヴァンスやリサ・ワラントのクリスマス・アルバムで演奏してたりします。
願わくば、次は、彼のトリオ名義でクリスマス・アルバムをリリースしてください!
んじゃ、退散♪
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