ピアノとギターの美意識が深く絡み合う 『Little Big II: Dreams of a Mechanical Man / Aaron Parks』
出世作『Invisible Cinema』 で、マイク・モレノのギターと絡んだ美しいサウンドに痺れた米国の天才ピアニスト、アーロン・パークスの新譜でっす。
ECMデビューも果たし、エヴァンスの繊細さとハンコックの躍動感を併せ持つ、ピアニズムでもファンを増やしています。
2018年の 『Little Big』 は『Invisible Cinema』の路線上にあり、ロック・テイストの入ったエレキ・ギターとの双頭で、ロック、エレクトロニカなど様々なジャンルを縦横無尽に行き来するサウンドだったのですが、今回はその続編。
前作と同じメンバー、ギターのグレッグ・トゥーヒー、ベースのデビッド・ギンヤード、ドラムのトミー・クレインの鉄壁の布陣です。
この2年ほどは、彼らとツアーをこなし、ますます良いケミストリーを生み出してきているとの自身からのレコーディング。
オープナーは、ビートの効いたドラムに引っ張られるようにバンドの緊張感の増していく「Attention, Earthlings」。
ピアノとギターのやりとりが、モダンで知的な「Here」。
美しいテーマ、美しいハーモニー、美しいピアノ「Solace」、叙情的。いつも、宇宙のどこかを漂っている気分になる。
一転、キャッチーなテーマ「Friendo」、どんどん予期せぬ方向に。
各自が、自由に実験的に羽ばたいた「Is Anything Okay?」。
情感を揺さぶる暗いギターの演奏から、パークスのヴォイスが被さり、不思議な世界を覗く「The Shadow & The Self」。
ストイックなギターが饒舌に語る「The Storyteller」。
オーバーダヴしたパーカッションが、印象的な「Dreams of Mechanical Man」。
ロック・テイストの効いた「My Mistake」、叫ぶ歪んだギター。
チャイムやベル?で始まる瞑想的な導入「The Ongoing Pulse of Isness」、後半のバンド一体での高揚。高速モードに入った時のパークスのピアノは無敵ですね。
即興「Where Now?」、まさに「今どこ?」ハイレベルな宇宙的俊足レスポンスに唖然。
終演は、感動的な高まりを持った「Unknown」。
ピアノとギターを中心にメロディアスに即興を繰り広げるサウンド。
パークスは曲によって、ピアノ、エレピ、シンセと多様な鍵盤を操り、前作以上にSF度、異次元度、宇宙度がアップ。
二枚看板のふたりの美意識が深く絡み合うエモーショナルな演奏。
彼らは、地球に起こっている様々なことに危惧しており警戒音鳴らしてますね。
そして、病んだ心に少しでも彼らの音楽が届くことを願ってるのかな。
1. Attention, Earthlings
2. Here
3. Solace
4. Friendo
5. Is Anything Okay?
6. The Shadow & The Self
7. The Storyteller
8. Dreams of Mechanical Man
9. My Mistake
10. The Ongoing Pulse of Isness
11. Where Now?
12. Unknown
Aaron Parks (p, synth, wurlitzer, rhodes, celeste, vibraphone, glockenspiel, chimes, voice)
Greg Tuohey (g)
David Ginyard Jr (b)
Tommy Crane (ds, perc)
今日のおまけは、ご本人があげていた「Solace」。
大雨が災害をひきおこしませんように。
んじゃ、退散♪
« 『ジャズ批評 216号 ハービー・ハンコック生誕80周年 記念特別号』がでました〜♪ | トップページ | メルドー・ファンであることを誇りにおもう 『Suite: April 2020 / Brad Mehldau』 »
「JAZZ(Born In The U.S.A. )」カテゴリの記事
- やはり、重厚感が漂う 『Belonging / Branford Marsalis Quartet』(2025.04.13)
- 穏やかさと優しさにリラックス 『Midnight Mood / Meredith d'Ambrosio』(2025.04.12)
- コリアのピアノのソロが沢山聴けるっ! 『Trilogy 3 / Chick Corea Brian Blade Christian McBride』 (2025.03.30)
- 全編漢気溢れるサックス・トリオ 『Tippin' / Carl Allen』(2025.03.23)
- アンサンブル重視、ソロのスペースも大きくもうけた即興も重視のハイレベルな演奏ばかり「SF Jazz Collective @ Blue Note東京 ( 3/6 2nd)」(2025.03.09)
コメント
« 『ジャズ批評 216号 ハービー・ハンコック生誕80周年 記念特別号』がでました〜♪ | トップページ | メルドー・ファンであることを誇りにおもう 『Suite: April 2020 / Brad Mehldau』 »
Suzuckさん、コンバンワ。正直、最初はLittle Bigの二番煎じかなと思ってましたが、いやー深化してますね。よく聴くと、こちらの方がアルバム全体の構成もストーリー性があって完成度が高いように思います。
確かに遠く離れた宇宙から、地球を客観的におもんぱかっているような、見守っているような、そんな感覚がありますね。
アーロン・パークスの眼差しの優しさと繊細さが伝わってきます。
投稿: zawinul | 2020年7月 3日 (金) 21時19分
zawinulさま、大概が「2」とつくものは、「1」を超えられませんよね。
でも、「Little Big」に関しては
、一緒にライブしていきた糧が身を結んでる、感じがします。
わたしも、こちらのアルバムの方が完成度が高いとおもいますし、中毒性もあるとおもいます。
音楽は、ジャンルも超え、国境も超えますが、宇宙空間もひとっ飛びですね。
彼のSNSをフォローしてるのですが、ほっこりすることが多いです♪
投稿: Suzuck | 2020年7月 4日 (土) 10時08分