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音楽で拡がる輪

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2020年5月17日 (日)

人生は、まさに即興の連続…『Solo Extemporization / Makoto Nakamura 中村 真 』

Solo_extemporization

 

大阪出身、即興の質に拘り続けるピアニスト、中村 真。
2019年の銀座王子ホールでのピアノ・ソロの「露玉もゆら」コンサートから前半のスタンダード演奏から3曲と後半の即興演奏を録音したアルバム。

 

「露玉もゆら」とは、ご本人のライナー・ノーツによれば、

 

葉っぱにつく朝露の水滴同士がころころと転がり、ぶつかり合う音。それは音として感知出来ないかもしれない。しかし確実に存在するであろう微かな音。ピアノのほんの微かな音の違いや変化まで聴かせたい、そういう想いで2011年から綴ってきたコンサートシリーズ「露玉もゆら」。

 

優しく穏やかに奏でる「My One and Only Love 」からはじまる。
少しずつ、折りたたまれていた想像の翼が広がっていく。
世の中の喧騒を忘れ、心安らぐ世界への誘い。小さな一音で演奏は終わる。
拍手の後に「Blue in Green」、孤独な音色でメロディが奏でられる。
同時期に、トリオで録音した『RUBY』でも演奏している。
今回、同時発売した昔のピアノ・ソロのアルバムにも入っている、もちろん、全部違う演奏、、愛想曲なんでしょうね。
どんどんと力強さが増していき、開放的でダイナミックな演奏が続き、最後の一音の余韻が残る。
再び、拍手のあとに「The Song is You」、冒頭から冒険にでる。
解き放され、縦横無尽に野原を駆け回るごとく、次から次にインスピレーションが湧き上がってくる明快な演奏が続き大拍手。
会場内の観客と一体となっている様子が窺える。

 

終演は、コンサートの後半に演奏した30分超えの即興演奏「Solo Extemporization」。
大河のはじまりの一滴のような1音から始まり、ゆっくりとフレーズが繋がっていく。
彼の内側での呼応ではじまり、時空を超えた壮大な空間を巻き込んでいく。
まるで宇宙創生の物語のようであり、人類史のようであり、彼の赤裸々な告白のよう。
自発的、創造的、かつ自由自在にシーンを演じてる。
さまざまな音が散りばめられ、美しいけれど毒婦のような怪しさをももった柔軟なピアノ。
中盤過ぎくらいの漆黒の闇を連想させる狂気な感じが好きですよ。
最終章に向かい強く激しくピアノを連打し、緊張感みなぎる演奏を一撃で終演に。

 

人生は、まさに即興の連続…今を即興で生きている。
そんな当たり前のことを思いださせてくれる時間。
自己との対話とは、よく言い表したものですよね。

 

1. My One and Only Love 
2. Blue in Green 
3. The Song is You
4. Solo Extemporization 

 

Makoto Nakamura 中村 真 (p)

 

今日のおまけは、ご本人があげていた「Solo Extemporization」。

 

 

同時発売の2005年のピアノ・ソロの再発2舞組もおすすめ。

 

★SOLO PIANO vol.2 Standards / vol.3 紡がれた印象★

 

Solo_vol2_vol3

 

vol.2 Standards

 

1. Waltz In Adventure 
2. Autumn Leaves
3. In A Sentimental Mood 
4. Corcovado
5. All The Things You Are 
6. Up Jumped Spring 
7. I Thought About You 
8. Con Alma
9. The Days Of Wine And Roses 

 

vol.3 紡がれた印象

 

1. Spring Can Really Hang You Up The Most
2. That Sunday That Summer
3. A Contrast Of The Two D Majors
4. 風湖
5. The First Water
6. Blue In Green
7. くまさんのワルツ
8. Improvisation~Erotic Blue
9. 夏の思い出
10. Improvisation~ Bluespotted Mudhopper
11. Improvisation~Erotic Blue

 

今日は、知人のお墓参りにいく予定です。
五月晴れの日に、自ら天国に登ってしまいました。
 
んじゃ、退散♪

 

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コメント

Suzuckさん、こんばんわ。中村さんが、銀座王子ホールのような音響の良いクラシック専用の小ホールでスタインウェイ(コンサートグランドかな?)を弾く気持ちよさと、心地よい緊張が伝わってくるような気がします。
何か、ピアノという自分を対象化した生き物に語らした言葉が、小ホールに拡散していくような陶酔感は、実は実際に弾いた人にしかわからないかもしれませんね。

zawinulさま、そうなんですよねぇ。

音は、実際に空気を振動させて伝わるわけですけど、、
それだけでなくて、その場のアリとあらゆるものが、現場をつくってますものねぇ。
そういう意味では、媒体を通してしまうと薄まってしまうのですけど、
でも、最後の即興は私の心を随分とかき鳴らしました。

早く、ライブで生の音を聴きたいです。。

Suzuckさん、コンバンワ。Solo Extemporization 通して聴いてみました。
確かにこれを現場で聴くのと、自分の部屋で聴くのとでは印象は随分変わるかもしれない。だけど、このホールのシチュエーションが育んだ、異様に研ぎ澄まされ、張りつめた中村さんの内なる想いが、私にも痛く伝わってきます。素晴らしいですね。

zawinulさま、、
ライナーをご本人が、書かれているのですが、

「ソロピアノは日常。しかしそれは自らを最も厳しく問い直す作業でもあります。僕にとっては大きな舞台となる王子ホールでのコンサートは、そういう意味でもシビアに自分を追い込むことができたと思っています。」

と、ありました。
その覚悟が、会場に満ち溢れていたのでしょうね。

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