彼女の現在・過去・未来が見えてくる 『The Women Who Raised Me / Kandace Springs』
米国ナッシュビル出身のキャンディス・スプリングス。
新譜の内容は、タイトルそのままで「今の自分をつくりあげた」と、彼女が語る、女性ヴォーカル曲のカヴァー・アルバム!
彼女が13、 14歳のことから聴いてきた憧れのおねえさまたちをリスペクトしたアルバム。
ブルーノートの未来を担うとされる歌姫だけあって、曲によって参加する、>現代ジャズを牽引するアーティストが超豪華。クリスチャン・ マクブライド、ノラ・ジョーンズ、デヴィッド・サンボーン、アヴィシャイ・コーエン、クリス・ポッター、エレーナ・ピンダーヒューズをフィーチャリング。
レコーディング・メンバーもギターにスティーヴ・カーデナス、ベースに、スコット・コリー、そして、ドラムはクラレンス・ ペンといった、一流のメンバーが並んでますよ。
オープナの「Devil May Care」、クリスチャン・マクブライドのグルーヴィなベースから始まって、ハスキーにちょっとハスに構えた雰囲気は、ダイアナ・クラールにインスパイアされたもの。
何処か土の匂いのするノラ・ジョーンズのヴォーカルと歌い上げるのは「Angel Eyes」は、エラ・フィッツジェラルドの影を感じ重厚で粘り腰。
デヴィッド・サンボーンと共にエモーショナルにシャウトする「 I Put A Spell On You」、大きな魂のよりどころニーナ・シモンへの賛歌…感情を絞り出したような心の叫び。
アヴィシャイ・コーエンのトランペットが叙情的に響くシャーデーの「Pearls」、ミステリアスでスムージーなヴォーカルとベスト・マッチ、悲しみが胸に沈み込む。
一転、ポップで気だるくローリン・ヒルの「Ex-Factor」、フルート界の新鋭エレーナ・ピンダーヒューズが歌うようにストレートに感情表現。
ボニー・レイットの「I Can't Make You Love Me」、歌詞を丁寧に歌あげるキャンディス、寄り添うコーエンのトランペットが心地よい。
ジルベルトの気だるさに憧れるルイス・ボンファの名曲「Gentle Rain」、クリス・ポッターのオブリガードが官能的。
カーメン・マクレエが気品高く歌ったデューク・エリントンの「Solitude」、持ち前の表現力とクリポタのジェントル・テナーで味わい深く優雅に。
弾き語り「The Nearness Of You 」、ノラ・ジョーンズのようにシンプルに感情を伝えることを大切に…。
柔らかな声がこの美しいメロディにぴったりなダスティ・スプリングフィールドを偲びつつ「What Are You Doing The Rest Of Your Life 」、情熱的に。
少女の頃から、何度も繰り返して聴いたというロバータ・フラックの「Killing Me Softly With His Song」、感情表現のお見事なこと、さすがです。そして、エレーナのフルートが鮮やかな彩りを。
終演は、黒人差別への悲しみ怒りを歌い上げたビリー・ホリデイの「Strange Fruit」、陰惨な歌詞を噛みしめるように歌い上げるキャンディスは圧巻。
日本版のヴォーナス・トラックには、「Lush Life」「You've Got a Friend」が入ってますね。
サブスクで聴いてみたのですが、他の曲のように、それぞれサラ・ボーン、キャロル・キングへの想いがつまった感じです。
彼女の血となり肉となった音楽から、彼女の「現在・過去・未来」見えてくる作品。
1.Devil May Care
2.Angel Eyes
3.I Put A Spell On You
4.Pearls
5.Ex-Factor
6.I Can't Make You Love Me
7.Gentle Rain
8.Solitude
9.The Nearness Of You
10.What Are You Doing The Rest Of Your Life
11.Killing Me Softly With This Song
12.Strange Fruit
Kandace Springs (vo , p , key)
Steve Cardenas (g)
Scott Colley (b)
Clarence Penn (ds)
参加ゲスト
Christian McBride (b)
Norah Jones (vo)
David Sanborn (as)
Avishai Cohen (tp)
Elena Pinderhughes (fl)
Chris Potter (ts)
今日のおまけは、ご本人があげていた「Pearls」。
「緊急事態宣言」対象地域を全国に拡大しましたね。
旅行や外食は難しくなったけど、、
我が家は、おうちにいてはできないお仕事なので、基本的には今までどおりです。。。
んじゃ、退散♪
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コメント
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さすが、ブルー・ノート力を入れた良いアルバムを制作しましたね。
ソウルフルにしてブルージーな彼女のヴォーカルは素晴らしい。そして誰もが聴きやすいというのも大切だと思います。
私は今年のベスト・アルバム候補にしました。Suzuckさんの評価も良く喜んでいます。
(TB させてください ↓)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-1f5479.html
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年4月21日 (火) 20時34分
風呂井戸さま、レーベル側も、キャンディスも、力の入ったアルバムでしたね。
リスペクトしてるお姉さまたちも、好きな人たちばかりなので、
めちゃ、面白かったです。
しかし、、コロナ騒ぎで来日ライブがなくなって、、とても、残念です。
予約してたんだけどなぁ。。
投稿: Suzuck | 2020年4月23日 (木) 18時20分