自由度の高い、親密な空間 『Playing The Room / Avishai Cohen / Yonathan Avishai』
トランぺッターのアヴィシャイ・コーエンとピアニストのヨナタン・アヴィシャイの2人は、テル・アヴィヴ出身で、学生時代から共演を続けてきたソウル・メイト。
2人とも、ECMからリーダー作を出している。そんな2人が、デュオのアルバムをリリース。
それぞれのオリジナルが1曲ずつ、2人の好きなミュージシャンたちの曲が6曲とイスラエルの子守唄で全9曲。
一瞬、スタンダードでも始まったかのようなメロディ「The Opening」は、コーエン曲。1音1音を確かめ合うようなゆったりしたテンポ、穏やかな演奏。ヨナタンのピアノは大変美しい。
単音を鳴らし続けるピアノ、音の階段を確かめるようなトランペットで、始まる「Two Lines」は、ヨナタン曲。後半、2人のラインは、絡まりながらおしまいに。
朗々とはるか彼方を見つめるトランペットのソロで始まる、ジョン・コルトレーンの「Crescent」神秘的なメロディと深淵な演奏に。
デューク・エリントンの「Azalea」のヨナタンの演奏は、型の縛られず才能を感じる。
アブドゥーラ・イブラヒムの「Kofifi Blue」は、会話のテンポも軽快で、まさに丁々発止。
オーネット・コールマンの「Dee Dee」、ちょっとユーモアも交えた明るい楽しいやりとり、付かず離れず。
ミルト・ジャクソンの「Ralph's New Blues」、呼応しあう2人の親密な演奏。
スティービー・ワンダーの「Sir Duke」、万華鏡の中をのぞいたようなヨナタンのソロが、次第に可愛いテーマを弾き始める、遠くで重なるトランペットの響き。ヨナタンのピアノにイスラエルのルーツをみる。
終演は、イスラエルの子守唄「Shir Eres」。この曲を教えたくて、このアルバムを創ったのではないか?と、思うほど、素敵な曲。どこまでも、穏やかに穏やかに、平和を願うように。
そこはには、ECMらしい音数を抑えた音風景が広がっている。
演奏そのものは、思ったよりイスラエル色は薄く、 2人のインティメートな関係が全面的に打ち出された穏やかな感情のやり取りが聴ける。
朗々と響くトランペットの音色と、美しく凛としたピアノの音色が、ぴたりとはまって心に沁み込む。
終演のイスラエルの子守唄が、あまりに美しくヘビロテ必須!
1.The Opening
2.Two Lines
3.Crescent
4.Azalea
5.Kofifi Blue
6.Dee Dee
7.Ralph's New Blues
8.Sir Duke
9.Shir Eres (Lullaby)
Avishai Cohen (tp)
Yonathan Avishai (p)
今日のおまけは、レーベルのトレーラー。
イスラエルの子守唄「Shir Eres」が聴けますよ。
台風が近づいてますよね。
どの地区にも、、被害がないといいですよね。
んじゃ、退散♪
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