派手さはないけれど、心安らぐ 『ScreenPlay / The Tierney Sutton Band』
米国の正統派ジャズ・ヴォーカリスト、ティアニー・サットンの新譜。
ずば抜けた歌唱力と、アルバムの企画力を持つ彼女。
今回は、そんな彼女が選んだ「映画音楽集」。
メンバーは、長年彼女と演奏を続けて来た朋友たち。
特に、彼女にとって、、フランス出身の人気ピアニスト、クリスチャン・ジェイコブのサポートは欠かせないと思う。
ゲストに、アラン&マリリン・バーグマンのアラン・バーグマン。
アラン&マリリンの2人はミシェル・ルグランの曲に歌詞をたくさん提供していますよね。
今回アランは、自身たちで書いた曲を、サットンとデュオで歌っています。
そして、以前にも共演したことがあるギタリストが、3曲で参加。
オープナーは、仄暗い中でのロウソクの炎のように囁く「The Windmills of Your Mind」。
ジェイコブのピアノがクリスタルのように美しい。ウッド・ベースが胸を締め付ける。
ベース・ソロから始まる「Moon River」は、静かに静かに「Calling You」へ繋がる。
高速のウォーキング・ベースとのデュオから始まる「On a Clear Day」、巧さが際立つ。
心に染み渡る「What Are You Doing the Rest of Your Life?」。
ディスニーのピノキオの「I've Got No Strings」は、ギターをフィーチャーした趣のあるバラッドに。
エレベのビートが効いてる「If I Only Had a Brain」、ハンド・クラップもかっこいい。
冒頭の斬新なアレンジから、深淵な歌につながる「The Sound of Silence」ドラマチックに展開。
淡々と歌い上げる「Goodbye for Now」。ドラムとのデュオでのスキャットも小粋に「Diamonds Are a Girl's Best Friend」。優しく、優しく「Hopelessly Devoted to You」。
一転、スリリングにアップテンポで「You're the One That I Want」。
サットンお独奏からはじまり、優しいピアノに導かれアラン・バーグマンの味わい深い声が響く「How Do You Keep the Music Playing?」。サットンの透明感、アランの深淵さ、素敵なトラック。
繊細なピアノの響きとサットンの歌が胸に響く「Ev'ry Now and Then」。
囁き?呟き?静かに始まる愛の歌「It Might Be You」。
終演は、ベースとのデュオが優しい空間を創り出す「Arrow」。
全編、静かに心に穏やかに響きます。
サットンの歌の巧さを、ピアノをはじめベース、ギター、ドラムが最大限に引き出している。
そして、アランとのデュオの1曲に心が震えます。
派手さは全くないけど、静かで平穏な日曜日になる。
1. The Windmills of Your Mind
2. Moon River/ Calling You
3. On a Clear Day (You Can See Forever)
4. What Are You Doing the Rest of Your Life?
5. I've Got No Strings
6. If I Only Had a Brain
7. The Sound of Silence
8. Goodbye for Now
9. Diamonds Are a Girl's Best Friend
10. Hopelessly Devoted to You
11. You're the One That I Want
12. How Do You Keep the Music Playing?
13. Ev'ry Now and Then
14. It Might Be You
15. Arrow
Tierney Sutton (vo)
Christian Jacob (p)
Ray Brinker (ds , perc)
Kevin Axt (b)
Trey Henry (el-b)
ゲスト
Serge Merlaud (g) #5,12,14
Alan Bergman (vo) #12
今日のおまけは、「The Windmills of Your Mind」。
んじゃ、退散♪
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