トリオの今が詰まった2枚組み 『10 / Helge Lien Trio 』
ノルウェーの人気の高い個性派ピアニスト、ヘルゲ・リエン。
新レギュラー・トリオには、 国際的にも評価の高い同国のベーシスト、マッツ・ アイレットセンが加入。ドラマーは『Badgers and other beings』より一緒の北欧の名手、ペール・オッドヴァール・ ヨハンセン。
長年、一緒に演奏してきたフローデ・バーグの抜けた後、 気分一新、気持ちをリフレッシュしてスタートする為に、 録音のスタジオをずっと使用してきたレインボー・スタジオではなく、 スウェーデンのイェーテボリの郊外にあるNilento Studioを選んだようです。
ディスク1のオープナーは、3人名義の「Be Patient」。厳選した、、とても少ない音からできたた美しい世界。静謐で端麗なリエンのピアノが奏でる朴訥としたメロディ。そして、アイレットセンのベースの歌心。冒頭から絶妙な演奏で、相性の懸念を払拭!
ダークにフリーの世界を探求「Loose Gore」。硬質で端麗な味わい「Krystall 」、流麗なピアニズムも堪能。低音が効いたインプロゼーションの応酬「Falturill 」。
アイレットセンの曲「Before Now 」は、二胡のように響くベースのボーイングでのソロ。不思議な感覚。次曲はリエンの曲「Now」は、ピチカートのベース・ソロから。3人で創り出す妖気ただよう世界。次第にヒートアップし、スリリングにダイナミックに。そして、ヨハンセンの曲「And Then 」は、短いドラミング。そのタイトル通り、6、7、8は、ひとくくりですね。ディスク1の終演は、3人名義のフリーで「Crabs 」。
ディスク2のオープナーも、3人名義の「Please Stay」、内部演奏も入ったフリーのインプロゼーションでビターな始まり。クールに感情を抑えた「Jazzkoral」。リリカルで硬質な「Nipa」、繊細で息のあったトリオ。
氷の穴に落ちていくような感覚「Get Ready」。心の奥底から気持ちを煽る「Run」。感情の高まりを感じる「Roll」、アイレットセンのボーイングの使い方が巧み!
どこか懐かしさを感じるポップな曲「Crossing The Lake On A Kicksled」、こういう曲でのアイレットセンのソロが素敵すぎる。詩的な美しさに溢れたピアノ・ソロ「Kristall」。
アイレットセンの力強いベース・ソロ「Berlin Basement」。ゆったりとリズムに身を任せブルージーに展開していく「Berlin Basement」。ドラムのキメが心地よい。
終演は、大草原の風を感じるピアノ・ソロで「Popkoral」で、静かに静かにおしまい。
いやぁ、冒険しましたね。想像以上に素晴らしい。 リエンの変幻自在なスタイルに2人とも難なく反応。 互いに刺激を与え合い、硬質でリリカルな世界を創造。 前作で聴かせたオノマトペをモチーフとしたような創作方法、 抽象的で実験的なもの、 北欧のひんやり感たっぷりの耽美な世界と幅広い。そして、いままで以上に深くフリーの世界に入り込んでいます。 個人にスポットを当てた曲もあり、 現在の彼らの全てを詰め込んだ渾身の2枚組み。
実は、ジャケットにボーナストラックのアドレスが書いてあります。
それは、なんと、エロル・ガーナーのミスティ!
スタンダードでも、北欧の空気のざっくりと混じったクリスタルな演奏でした。
Disc 1
1. Be Patient
2. Popkoral
3. Loose Gore
4. Krystall
5. Falturill
6. Before Now
7. Now
8. And Then
9. Crabs
Disc 2
1. Please Stay
2. Jazzkoral
3. Nipa
4. Get Ready
5. Run
6. Roll
7. Crossing The Lake On A Kicksled
8. Kristall
9. Berlin Basement
10. Berlin Blues
11. Popkoral
Helge Lien (p)
Mats Eilertsen (b)
Per Oddvar Johansen (ds)
1. Be Patient
2. Popkoral
3. Loose Gore
4. Krystall
5. Falturill
6. Before Now
7. Now
8. And Then
9. Crabs
Disc 2
1. Please Stay
2. Jazzkoral
3. Nipa
4. Get Ready
5. Run
6. Roll
7. Crossing The Lake On A Kicksled
8. Kristall
9. Berlin Basement
10. Berlin Blues
11. Popkoral
Helge Lien (p)
Mats Eilertsen (b)
Per Oddvar Johansen (ds)
今日のおまけは、ご本人たちがあげていた「Popkoral
3. Loose Gore」。
ディスク1のトリオ・ヴァージョンのほうですね。
令和元年最初の投稿でした。笑
んじゃ、退散♪
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コメント
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ヘルゲ・リエンは、ピンク・フロイド好きで・・・・私は感覚が一致して嬉しくなり、とにかく会話したのがもう数年前になります。
今回はメンバーが変更あって、取り敢えず彼の流れが主流であったと思います。最近のちょっと別方向の試みも一段落していたこともあろうかと思いますが、「原点回帰」したとみています。このトリオでの今後の発展があるかどうかですね。
このブログが、トラック・バック不可となりましたので・・・・
取り敢えず参考までに=http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-a26b0d.html
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年5月 2日 (木) 18時13分
風呂井戸さま、返事が遅くなってすみません。m(_ _)m
今回のヘルゲ・リエンのトリオは、私的にはとても気に入ってるのですが、、
なんせ、ベーシストのアイレットセンは超売れっ子なので、、どうなるか、ちょっと心配です。
今後の展開に注目したいですよね!
投稿: Suzuck | 2019年5月 8日 (水) 12時45分