夜の黙が似合う幽玄な世界 『Trio Tapestry / Joe Lovano』
米国のベテラン・サックス奏者、ジョー・ロヴァーノの初ECMリーダー作。
サイドでは、いくつかの作品にでていて、、いいお仕事をしているんですよね。
特にお気に入りは、スティーヴ・キューントリオとの共演『Mostly Coltran』です。
これは、私的には、ロヴァーノのアルバム!
とはいえ、、なぜか、日本ではあまり知名度も人気も高くない気がします…。
新譜は、旧知の仲のピアニストのマリリン・クリスペルと、ドラマーのカルメン・カスタルデとのベースレスのトリオ。全12曲が彼のオリジナル。
オープナーの「One Time In」、ドラムとのデュオ。ロヴァーノの楽器にゴング、って書いてあるのだけどれど、、ここもそうなのかな?ドラムが金属系の音を響かせる中、空間を大きく使ったサックスが幽玄に滑り出します。
煌めく川の流れのようなピアノが入って、哀愁の世界「Seeds of Change」。
ひんやりと静寂なピアノとサックスの会話「Razzle Dazzle」。静かな中に時折、、閃光を感じる「Sparkle Lights」。
冒頭のドラミングが異空間に誘う「Mystic 」、朗々と吹くサックス、繊細に絡むドラムの不思議なデュオ。宗教的な雰囲気がある。
ピアノとドラムのデュオ、訥々とピアノが音を奏で、ドラムも繊細な音で対応「Piano/Drum Episode」、なぜか、胸がしめつけられるような悲しみに満ちている。
「Gong Episode」、どうやら、ほぼゴングのソロ。ロヴァーノが鳴らしている様子。って、なぜなんだろう…。鎮魂の鐘に聴こえる。
突如、静寂をやぶる「Rare Beauty」、3人の感情が波立つ。奔放なピアノの主張が際立っていて、、暗く美しい。その流れのままに美しい即興を聴かせる「Spirit Lake」。三つの流れが存在する「Tarrassa」。
終演は、フリーでアヴァンギャルドに雄叫びをあげる「The Smiling Dog」。
無音を有効に使った非常に音の少ない空間。相手の意図を汲みながらのインタープレイ。
繊細な音使いに長けた人たちだからできるスペイシーでミステリアスな空間。
夜景のジャケットのよく似合う幽玄な世界。
1. One Time In
2. Seeds of Change
3. Razzle Dazzle
4. Sparkle Lights
5. Mystic
6. Piano/Drum Episode
7. Gong Episode
8. Rare Beauty
9. Spirit Lake
10. Tarrassa
11. The Smiling Dog
Joe Lovano (ts,tarogato, gongs)
Marilyn Crispell (p)
Carmen Castaldi (ds, perc.)
今日のおまけはレーベルがあげていたアルバムのトレーラー。
う〜ん、土曜日の朝に聴く音楽ではなかったかなぁ。笑
んじゃ、退散♪
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ちょっと編成は違うけれど、ポール・モチアン・トリオを思い出してしまいました。ベースレスのところが、似ているのかどうか。静かな感じで、それでいて盛り上がりのあるところもあったり、やはりECM的に素晴らしい、というのでしょうか、好みの演奏が続きます。できれば、またECMから出してほしいですね。
TBさせていただきます。
投稿: | 2019年2月16日 (土) 15時48分
910さま、トラバをありがとうございます!
随分前に聴いていたのですが、文章になり難くて、、
迷ったあげくの果ての投稿です。。
年明けても ECMの怒涛のリリースラッシュですよね。
しかも 好きな路線ばかりで。。
投稿: Suzuck | 2019年2月16日 (土) 16時43分