天からの贈り物 『Long Ago and Far Away / Charlie Haden & Brad Mehldau』
2014年に鬼籍に入ったチャーリー・ヘイデン。言わずもがな、デュオの名手。
そして、現代ジャズ・ピアニストの鬼才ブラッド・メルドー。2人のデュオのアルバムが発売されると聞いて、何を今更、とか思いながらも、、心待ちにして待っていた。笑
ヘイデンとメルドーといえば、わたし的には、2002年にでた『American Dreams』、マイケル・ブレッカーが入った、、このとろけるような甘美な世界が好き。
このデュオは、2007年のジャズ・フェスの一環として行われた教会でのライブ録音から6曲。メルドーとヘイデンの奥様ルース・キャメロンの2人がプロデューサーとして名を連ねている。
オープナーは、意表をついたパーカー曲「Au Privave」。速さは追求しない代わりに、硬質で抽象的なメルドーのピアノで始まる。互いにバラバラにされたテーマで遊んで小手調べ。フリーにはならないけれど、ちょっと難解な雰囲気も。いや、知的なお遊びと呼びましょ。
一転、明るくシャイな青年になったメルドーのピアノと優しく包み込むようなヘイデンの甘く優しい「My Old Flame」。フレッシュな感覚で、美しく心踊る「What'll I Do」。
あの名曲「Long Ago and Far Away」は、テーマをモチーフとして崩して拡げていく2人のルーツがでるような演奏。耽美的で透明感あるピアノの音に胸が締め付けられる「My Love and I」。心に染みる。。
終演は、ゆったりと優しさいっぱいの「Everything Happens to Me」、音の数を絞っていて私たちが気持ちを投影できる演奏。最後の小さな小さな一音まで優しい響に溢れている…。拍手!
全編、甘さに満ちているわけではなく、1曲め、4曲めは、、スパイスがばっちり効いている。でも、どしゃめしゃになることはなく、全編、揺るぎなき優しさに満ちている。
メルドーは、この時期パット・メセニーとデュオのアルバムを出していて、ツアーもこなしてるはず。あちらのデュオに比べると「寄り添い、相手をいたわる」という、気持ちに溢れていると思います。
1. Au Privave
2. My Old Flame
3. What'll I Do
4. Long Ago and Far Away
5. My Love and I
6. Everything Happens to Me
Charlie Haden (b)
Brad Mehldau (p)
今日のおまけは、「My Love and I」。癒されてくださいね。
んじゃ、退散♪
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チャーリー・ヘイデンがもう聴けないのは残念だなあ、と思っていたので、本来なら出てなかった音源でしょうけど、十分CDで出せるクォリティで、それどころか満足する出来だったので、良かったです。二人のやり取りしている感じがいいですね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年11月22日 (木) 08時31分
Suzuckさんの感想が気になりましたが、私もこのアルバム全体を通してのこの優しさ溢るる演奏に大歓迎で納得しているのですが、問題はM1、M4だと思っています。このあたりにこの二人の意欲と遊びと彼らなりきの納得の世界があるのだろうと推測しています。私自身はM2、M3、M5、M6が好きですけどね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年11月22日 (木) 09時35分
910さま、チャーリー・ヘイデンが鬼籍に入ってしまって、
多くの人が残念な気持ちでいっぱいだとおもいます。
ここまで、シャイなメルドーは、なかなか、聴くことができないとおもいますので、、
重要な作品ですよね。
つい、、荒井由実の「やさしさに包まれたなら」を 思い出しました。
トラバをありがとうございます。
投稿: Suzuck | 2018年11月22日 (木) 17時40分
風呂井戸さま、気持ちはよくわかりますよぉ。
私も2、3、5、6が、とても好きです。
でも、1と4は、彼らのDNAレベルから、、湧き上がった演奏なんだとおもいます。
それでも、怒フリーにならなかったのが、彼らのセンスかと。
トラバをありがとうございました!
投稿: Suzuck | 2018年11月22日 (木) 17時48分
Suzuckさん,こんばんは。TBありがとうございました。
おっしゃる通り,「寄り添い、相手をいたわる」という二人のシンパシーが感じられる演奏だったと思います。私はBrad MehldauにはCharlie Parkerの曲は合わないと思っているので,"Au Prevave"はやっぱりなぁって感じでしたが,それ以外はこの人たちらしい演奏だったと思います。
Charlie HadenはBrad Mehladauを高く評価し,Brad MehldauはHadenをリスペクトするという感覚が伝わってくるアルバムだったと思います。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年11月22日 (木) 20時08分
閣下、トラバをありがとうございました。m(_ _)m
ヘイデンのメルドーの評価の高さは、すごいですね。
歳の離れた若いピアニストに対しての賛辞にしたら最高レベルなのではないでしょうか?
私は、バードの曲も、これならいいかな?っておもいました。
が、仰ることはよくわかります。笑
投稿: Suzuck | 2018年11月26日 (月) 07時50分