互いの心に響き合う演奏 『Summerwind / Lars Danielsson Paolo Fresu』
スウェーデンを代表するベーシスト、ラーシュ・ダニエルソンとイタリアを代表するトランペッターのパオロ・フレスのデュオ作。ACTレーベルの重要アーティストの2人ですが、過去の共演はなく、今回が初共演。私は、長いこと、この二人の大ファンであったわけですが、演奏する地域、つながりがあまりなかったので、夢夢、想像にしなかった共演です。でも、考えたら、2人の美意識って、かなり似ている気がするのですよね。相性が悪いとは、、思えない♪
この作品の為に作曲した2人のオリジナル曲を中心に、スタンダード、バッハのカンカータ、スウェーデン民謡、クシシュトフ・コメダの曲などに即興曲も交えて、全15曲。
ダニエルソンはベースとチェロ、フレスはトランペットとフリューゲルホーンを演奏、曲によって組み替えています。
オープナーは、温かみのあるフレスの音に誘われてはじまる「Autumn Leaves」、ストレートに感情のこもった演奏。幕開けから一気に心を持っていかれる。フレス曲「Saluto Dardamente」、光の輝かしさを感じる曲調、自然な多重録音、そして、何気のダニエルソンのソロが超絶です。ダニエルソン曲「Le Matin」、哀愁のある曲想がフレスの演奏にぴったり、静かに2人の心が重なります。ダニエルソン曲「Stilla Storm」、ユニゾン部分と2本のラインが印象的。
静かに進行する伝承曲「Jag lyfter ögat mot himmelen」は、ダニエルソンのアレンジ、少し、エフェクターなどもかかって不思議な雰囲気。
ボーイングのソロが素敵なフィト・パエズの大ヒット曲「Un vestido y un amor」、エフェクター使いもセンス良く透明感ある演奏。フレス曲「Drexciya」、テンポよく切れ味よく短なアクセント。
「Dardusó」、「Stanna Tid」は、2人の名義になっているので即興曲でしょうか、少し実験的で共鳴し合う2人の宇宙的な世界。
深く暗い世界が広がる、コメダの「Sleep Safe And Warm」。静かに広がる波紋のような2人の丁寧な演奏。フレス曲「April In Dardegna」、ダニエルソンのソロ、フレスのソロ、かっこ良すぎます! エキゾチックなダニエルソン曲「Amigos」、印象的なユニゾン、そして、この哀愁……。
バッハの「Wachet auf, ruft uns die Stimme」は、ダニエルソンのアレンジ。フレス曲「Dardodentro 」、静かな中に時折はいる歪んだ音がミスマッチ。終演もフレス曲で「De La Solitude Mesurée」、最後までシンプルな世界。
最小限の音数で、哀愁溢れる叙情豊かな世界が広がります。基本は、アコースティックな温かな牧歌的な音風景ですが、各所でエフェクターを使ったり、多重録音したり、想像力豊かな2人にしか生み出せない色彩豊かな世界が繰り広げられます。
互いの心に響き合う息のあった演奏。
1. Autumn Leaves
2. Saluto Dardamente
3. Le Matin
4. Stilla Storm
5. Jag lyfter ögat mot himmelen
6. Un vestido y un amor
7. Drexciya
8. Dardusó
9. Stanna Tid
10. Sleep Safe And Warm [from Rosemary‘s Baby]
11. April In Dardegna
12. Amigos
13. Wachet auf, ruft uns die Stimme
14. Dardodentro
15. De La Solitude Mesurée
Lars Danielsson (b, cello)
Paolo Fresu (tp, flh)
今日は、お誕生日でした。
お誕生日に、大好きなダニエルソンとフレスのデュオを投稿できてとても嬉しいっ!
ジャケットを開けると、2人の写真が…いや、人さまのことは言えませんが、お互い歳をとりましたね。
んじゃ、退散♪
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Suzuckさん,こんばんは。
これ,予想通りよかったです。だいたいはどういう音が出てくるかは想定していましたが,ちゃんと期待に応える演奏をしてくれるのが本当に嬉しいですねぇ。Suzuckさんにとっては,とても重要な二人の演奏ゆえに喜び,楽しみもひとしおでしょう。
私も昔に比べると欧州ジャズをよく聞くようになったもんだと思いますが,それにしてもこのデュオはよかったと思います。ライブを見てみたいですが,それは難しそうですね。
ということでTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年10月31日 (水) 18時02分
閣下、トラバをありがとうございます。
私にとって、二人ともとても重要な人なんです。
北欧とイタリアは、こうやって、ブログで戯言をはじめた原動でもあるんで。
そう、よかった。
生で聴いてみたい2人なのですが、ダニエルソンさまは、全く対日の気配はないし、、
フレスさまは、タイミングが合わずに未だライブ未聴…。
何やってるんだか、私、って、感じです。
いつか、絶対二人の生演奏で泣きたいです。
投稿: Suzuck | 2018年11月 1日 (木) 12時15分
おじゃまします。
いまさらですが、これ聴きました。
このブログで発売を知り、しかも2人とも好きなのに、
当時はなぜかスルーしてしまいました。
数日前にコロナ後初のレコード漁りをしていて、アナログ
を見つけてしまい、まあこれは買うしかないかと。
いやこれは、リアルタイムで聴けばよかったと思える、
素晴らしい作品です。
全体的にひそやかな雰囲気で、お互いの心があふれて
いるのを感じます。
ACTのアナログも初でしたが、なかなかの高音質でした。
投稿: JAZZNEKO | 2020年6月27日 (土) 23時55分
JAZZNEKOさま!!
レコードで手に入れたのですね!
いいなぁ、、うらやましいなぁ。。。
ACTって、音いいですよね。レコードならば、尚更でしょう。。
二人で、来日してくれないかぁ。。。
クリスマス・アルバムをだしてくれないかなぁ。。
と、望みはつきません。汗
投稿: Suzuck | 2020年6月29日 (月) 12時24分