ダイナミズムと静謐を併せ持った 『Live / Marcin Wasilewski Trio』
音楽大国ポーランドのトップ・ピアニスト、マルチン・ボシレフスキ。
4年ぶりの新譜は、2016年の8月にアントワープで行われたジャズ・ミドルハイムというフェスティヴァルのライヴ盤です。
メンバーは、四半世紀活動を共にしてきた不動のメンバー、一緒に歩んできた彼らのテクニックもハイレベルで、音楽大国ポーランドの底力を感じる。
2014年にリリースされた『Spark Of Life』からの選曲に加え、彼らの人気曲「Night Train To You」も演奏。全7曲、6トラック、一時間超え。5曲がボシレフスキのオリジナル。
オープナーは、「Spark Of Life / Sudovian Dance」のメドレー。マレットの連打で静かに幕開け、ピアノが入ると、1聴に、ボシレフスキの透徹で美しい音に感動。人知れず静かに佇む湖のように深く神秘な色合い。哀愁ある旋律、流麗でエレガントなフレージングにもうっとり、シームレスに「Sudovian Dance」に進み、リリシズム溢れる演奏が続き、3人の息もぴったりで一気に惹きつけられてしまった。次第に小さくなる音を聴き逃すまいと耳をそばだててしまう。
ダークな色合い、スリリングな面持ちで始まったスティングの「Message In A Bottle」。孤独をテーマにした曲想にあったシリアスでスリリングな展開。素晴らしいベースソロの後の精密かつ大胆な3人の展開は凄い、ダイナミックなドラムソロも後押ししてボルテージ急上昇。
美しいピアノに聴き惚れながら始まる「Three Reflections」、3人で次第にヒートアップしていき、超高速だけれど決してワンパターンにならない10本の指に驚愕の拍手。
コンポーザーとしても評価の高いボシレフスキの曲でも人気の高い「Night Train To You」。ドラマ性を感じるメロディ、心の葛藤を表すような、互いに煽り合うような、激しい演奏へ。こんなダイナミックな演奏を目の前で聴けた観客は幸せだろうなぁ。収め方もうまいっ。
一転、ロマンチシズム溢れる「Austin」。本当に1音1音の美しいこと…。この静かな時間もこのトリオの特筆するべき音楽性。
終演は、ハービー・ハンコックの「Actual Proof」。エレクトリック・ファンクをアコースティックで、クールに。ベースとドラムが繰り出すビートにのって大胆に、畳み掛けるように!
ライブならではの躍動感があふれ、激しく情熱がほとばしる三位一体のプレイ。
もちろん、ピアノ、ベース、ドラム、各自のソロも素晴らしい。ボシレフスキって、本当に音が綺麗。
4000人の観客の興奮は半端なく、彼らも観客からエネルギーをもらい、ますます、演奏に拍車がかかる。
ダイナミズムと、美麗で静謐な部分を併せ持つピアニズムが堪能できるライブ。
全編、強い高揚感を感じる満足度の高い内容でした。ジャズ・ピアノ・トリオの真髄だ!
1.Spark Of Life / Sudovian Dance
2.Message In A Bottle
3.Three Reflections
4.Night Train To You
5.Austin
6.Actual Proof
Marcin Wasilewski (p)
Slawomir Kurkiewicz (b)
Michal Miskiewicz (ds)
今日のおまけは、2018年の jazzahead! 2018 の演奏。
連休はおでかけですか?
私は、父の三回忌。
日々に追われているせいでしょうか。。早いものですね。
んじゃ、退散♪
« ソロ・ベース演奏の既成概念を破壊した 「Björn Meye @ Jazz FLASH (10/2)」 | トップページ | 進化は、止められない! 『Toward The 11th/外山安樹子 Trio』 »
「JAZZ」カテゴリの記事
- 『ジャズ批評 241号』が、、随分前にでてました〜 汗(2024.08.31)
- 眠れぬ夜の子守唄 『Sweet Caress / Franco Ambrosetti & Strings』(2024.08.21)
- 透明感あってメロディアスでリリシズムたっぷり 『New Questions, Old Answers / Aron Tala Trio』(2024.08.18)
- 真珠のような輝きを放つバラッド集 『TRUST / Akane Matsumoto Ayumi Koketsu』(2024.08.04)
- 異色の組み合わせ? 『A New Day / Giovanni Guidi』(2024.07.24)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: ダイナミズムと静謐を併せ持った 『Live / Marcin Wasilewski Trio』:
» マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」 [灰とダイアモンドと月の裏側の世界]
抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける <Jazz>Marcin W [続きを読む]
» またも素晴らしい作品をリリースしたMarcin Wasilewski。痺れた。 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
Live Marcin Wasilewski Trio (ECM) 私はこれまでも,Marcin Wasilewskiのアルバムが出るたびに,最高だ!と連呼してきたように思う。とにかく,ECMレーベル [続きを読む]
» Live/Marcin Wasilewski Trio [ジャズCDの個人ページBlog]
ECMレーベルの4日目にして一段落。このアルバム、持ち込み音源なんだろうと思いま [続きを読む]
« ソロ・ベース演奏の既成概念を破壊した 「Björn Meye @ Jazz FLASH (10/2)」 | トップページ | 進化は、止められない! 『Toward The 11th/外山安樹子 Trio』 »
Marcin Wasilewski は、どちらかと言うと、”スタジオ録音”向きかと思ってましたが、どうしてどうしてライブもテンションが上がって面白い事が解りました。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年10月 7日 (日) 10時21分
Suzuckさん,こんにちは。帰国しました~。
いやぁ,これは最高でしたねぇ。彼らのECMのアルバムはどれも質の高い作品バカk理ですが,これは最高傑作に推したくなるような逸品と聞きました。おっしゃる通り,ダイナミズムと静謐さを見事にバランスさせた音楽には心底痺れました。何度でも聞きたくなる今年のベスト作最有力候補と思っています。
ということで,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年10月 7日 (日) 17時35分
Suzuckさん こんばんわ。
こちら海外に注文して3週間たちますが、まだ届きません(汗)
皆様のご評価高いので益々待ち遠しく感じでおります。
ご呈示の試聴サイト聴かせていただきましたが、e.s.t.亡き後の穴を埋めてくれるのはボシレフスキだなって感じがしました。
投稿: baikinnmann | 2018年10月 8日 (月) 00時07分
風呂井戸さま、リリース前は、、
「なぜに、今頃2016年のジャズ・フェスの音源?」
って、気持ちもあったのですが、この音源を聴いたらいっぺんに吹っ飛びました。
よくぞ、リリースしてくれた、って、感謝の気持ちでいっぱいです。
投稿: Suzuck | 2018年10月 9日 (火) 09時43分
閣下、毎度、お疲れ様です。でも、役得の多い出張でしたね!
私もこのアルバムにも、痺れました。
今年は、ECMが豊作で、年末のベストを選ぶときに、、えらく偏りそうな気配です。
しかし、巧いピアニストですよね。ベースとドラムも素晴らしい。
ぜひ、来日してツアーを行ってほしいです。
新潟に来ないかな。。
投稿: Suzuck | 2018年10月 9日 (火) 09時48分
baikinnmannさま、早く、到着するといいですね。
これは、私から考えても、、baikinnmannさまのお気に召す自信がありますよ!
同国のレジェンド、トーマス・スタンコのアルバムで聴いたときに、
人気者になるだろうなぁ、と、思ったのですが、
不動のメンバーでここまでくるとはおもってなかったです。
凄いとおもいます。
投稿: Suzuck | 2018年10月 9日 (火) 09時51分
前に出したアルバムとだいぶ曲が重なるのに、あえて出したってのはECMでは珍しいと思うのですが、それを出すだけの理由があったアルバムだったですね。やはりいいところを突いています。なかなかいい記録を表に出してくれました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年10月10日 (水) 22時27分
910さま、これも素晴らしかったですねぇ。
ボシレフスキの音もフレーズも素晴らしかった!
ベースとドラムも、一緒に成長してて、どんどん聴きごたえありましたね!
こちらからも、とらばいたしますね♪
投稿: Suzuck | 2018年10月11日 (木) 16時28分