懐かしく、故郷みたいな温かさ 『Just This / Lars Jansson Trio』
スウェーデンのピアニスト、我らがラーシュ・ヤンソンが、自身のトリオで新譜を出しました。タイトル「Just This」は、現在のラーシュの心境を強く表したものだそうです。新旧の名曲13曲。
ジャケットは、おなじみイタリアの芸術家ミンモ・パラディーノ、ラーシュさまとは心の奥底で結びついているようですね。
オープナー「Just This」が始まると、何処か懐かしい気持ちになる。しっとり、優しく語りけるピアノに、思わず顔がほころぶ。端麗なピアノが紡ぎ出す温かな世界。
ちょっと変わったグルーヴで盛り上がる「Pure Sensation」。ラーシュの大好きなビル・エヴェンスへのオマージュ「Waltz for Bill」、軽快で明るいワルツ。
静かに始まる「Receiving」、ジャジーなピアノ・ソロのエレガントなこと、ロマンチシズムに溢れている。
リズミカルで生き生きと躍動感に溢れる「Bohuslan」、ドラムとのバース交換では、若さ溢れるドラマーからエネルギーを貰っているよう。アグレッシヴでテンポよく進む「Mustapha」、かつての教え子の素晴らしいベースプレイが聴ける。内省的で空間を大きくとった会話が続く「Intimate Talk」。作曲したことを忘れていた「Cherished」、少し変わったフォームが初心を思い起こすのだそうだ。ビートに乗ってベース・ソロ、ピアノ・ソロと絶好調の「Turn The Whole Thing Upside Down」。ベースのボウイングとピアノのユニゾンが印象的、穏やかで優しい「No Purpose」。アップテンポで疾走する「Safe Trip」、ドラム・ソロが素晴らしい!
無我を意味する「Anatta」、その言葉の意味はわからずとも、安心してしまうヤンソン・メロディ。
終演は、深遠なるバラッド「To Have Or To Be」。常にその答えを真摯に見つめ続けた彼ならではの陰影豊かで、余韻を残した演奏。
リリシズム溢れる親しみやすいメロディ、穏やかで柔らかな演奏から疾走感あふれる演奏まで、全てに本領発揮! かつて教え子だったベーシストは、デンマークを代表するベーシストに育ち、ロックのドラマー紛いだと陰口たたくものいたドラマーも素晴らしいグルーヴを叩き出す繊細かつ力強いドラマーに成長。
様々なことを乗り越えてできた作品は、何処か故郷を思い起こす懐かしい気分、そして、ほっこりとした温かさを感じた……。
1. Just This
2. Pure Sensation
3. Waltz for Bill
4. Receiving
5. Bohuslan
6. Mustapha
7. Intimate Talk
8. Cherished
9. Turn The Whole Thing Upside Down
10.No Purpose
11.Safe Trip
12.Anatta
13. To Have Or To Be
Lars Jansson (p)
Thomas Fonnesbeck (b)
Paul Svanberg (ds)
ちょうど良い動画が見つけられませんでした。
んじゃ、退散♪
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