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音楽で拡がる輪

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2018年10月

2018年10月31日 (水)

ライブだって幻想的 『Bay of Rainbows / Jakob Bro』

Bay_of_rainbows

デンマーク出身のジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロ。ECM4作目は、ライブ盤です。
今年の春にトランペット入りの『Returning』をリリースしたばかり。
今回は、『Streams』と同じメンバー。ベースとドラムは、新進気鋭のアメリカのミュージシャンです。
『Streams』リリース後の2017年7月に、ニューヨクにあるライブハウスJazz Standardでの演奏を収録した作品。全作、オリジナル。

オープニングは、新曲「Mild」。静かな哀愁の漂う世界に誘います。ギター、ベース、ドラムの淑やかな饗宴。ドラムが幽玄さを印象付け、ひんやりどが増す「Red Hook」。
情感豊かにベースとギターが奏でる「Copenhagen」の穏やかな世界。
冒頭から緊張感を感じさせるギターの響き、少しアブストラクトでアルバムのスパイス的な「Dug」。
「Evening Song」、ギターとベースが2つの世界をふんわり合わせた「Evening Song」、そこは穏やかで柔らかな光に満ちた月夜の晩。
終演「Mild (var.)」も、最後まで静かな優しい世界。

スタジオ盤と同じ幻想的な世界。
ライブ演奏ということは、拍手で思い出すくらい。
ギターもベースも少ない音数、それを邪魔せず、静かな躍動感を加えていくドラム。
日々の憂さを忘れ、幻想的な世界を彷徨ってください。

1.Mild
2.Red Hook
3.Copenhagen
4.Dug
5.Evening Song
6.Mild (var.)

Jakob Bro (g)
Thomas Morgan (b)
Joey Baron (ds)

今日のおまけは、ご本人が上げていた動画。

んじゃ、退散♪

2018年10月27日 (土)

『ジャズ批評 206号』は、クリスマス・ジャズだぞ♪

『ジャズ批評 206号』は、クリスマス・ジャズだぞ♪

206


特集は、これからの季節にお役に立つであろう、、

『クリスマス・ジャズ』

とことんクリスマスにこだわったディスクガイド142

◆クリスマス・ジャズ・ディスク・カタログ
インスト編/ヴォーカル編/ビッグ・バンド/コンピレーション編
解説:後藤誠一、Suzuck、高木信哉、高田敬三、武田清一、津下佳子、バディ・みなみやま、豆大福桜、茂木亮、星 向紀

Introductionと解説60枚くらいお手伝いさせていただきました。
他にも、以下でクリスマスにまつわるお話やディスク紹介(40枚近く)があります。

◆〔インタヴュー〕外山喜雄・恵子「ジャズ夫婦が語るクリスマスの思い出」
◆特別寄稿 サッチモのクリスマスツリー 文:外山喜雄
◆Soulful Xmas 20 文:星 向紀 イラスト:yumihirota
◆まだまだある! ビッグ・バンドで聴くクリスマスジャズ 文:バディ・みなみやま
◆Essay Christmas in New York 文:奥川一臣
◆『スイング・ホテル』とホワイト・クリスマス 文:柳沢正史
◆ PICK UP CONCERT 渡辺貞夫クリスマス・ギフト Vol.26 文:高木信哉
◆読者が選ぶクリスマス・ジャズ
◆After Word 文:高木信哉

高木信哉氏のAfter Wordのタイトル、
「クリスマス・アルバム」を作れるのは、一流ミュージシャンの証

これは、常々私も思っていたことです。
クリスマス・アルバムは、企画モノの最たるもの。普通は、新人には回ってくる話ではありません。
レジェンドともなると、2枚、3枚とクリスマス・アルバムを作成する人たちもいますが、
基本、生涯に1枚です。そのミュージシャンの拘り方で、人間性までみえてくる…。
クリスマス・アルバムは、侮れませんよ。

さて、もう一つの特集が、

『「寺島サウンド、アメリオ・サウンドとは?」 』

[鼎談]寺島靖国×後藤誠一×藤田嘉明

ジャズオーディオ・ディスク大賞の開催に関わっている方々の、単刀直入なご意見の数々。好きな方には、見逃せませんよね。

いつもの「新譜紹介」は、


★ The Other Side / Tord Gustavs Trio


★ Live / Marcin Wasilewski Trio


★ Summerwind / Lars Danielsson Paolo Fresu


★ The Book of Longing / Luciana Souza

「New Disc Pick Up」は、1枚。

Toward The 11th/外山安樹子 Trio

気がつけば、10月も終わり。
今年は、クリ活(クリスマス・アルバム収集)が、全くてがでておりません…。やばっ!!

んじゃ、退散♪

2018年10月25日 (木)

互いの心に響き合う演奏 『Summerwind / Lars Danielsson Paolo Fresu』

Summerwind

スウェーデンを代表するベーシスト、ラーシュ・ダニエルソンとイタリアを代表するトランペッターのパオロ・フレスのデュオ作。ACTレーベルの重要アーティストの2人ですが、過去の共演はなく、今回が初共演。私は、長いこと、この二人の大ファンであったわけですが、演奏する地域、つながりがあまりなかったので、夢夢、想像にしなかった共演です。でも、考えたら、2人の美意識って、かなり似ている気がするのですよね。相性が悪いとは、、思えない♪

この作品の為に作曲した2人のオリジナル曲を中心に、スタンダード、バッハのカンカータ、スウェーデン民謡、クシシュトフ・コメダの曲などに即興曲も交えて、全15曲。
ダニエルソンはベースとチェロ、フレスはトランペットとフリューゲルホーンを演奏、曲によって組み替えています。

オープナーは、温かみのあるフレスの音に誘われてはじまる「Autumn Leaves」、ストレートに感情のこもった演奏。幕開けから一気に心を持っていかれる。フレス曲「Saluto Dardamente」、光の輝かしさを感じる曲調、自然な多重録音、そして、何気のダニエルソンのソロが超絶です。ダニエルソン曲「Le Matin」、哀愁のある曲想がフレスの演奏にぴったり、静かに2人の心が重なります。ダニエルソン曲「Stilla Storm」、ユニゾン部分と2本のラインが印象的。
静かに進行する伝承曲「Jag lyfter ögat mot himmelen」は、ダニエルソンのアレンジ、少し、エフェクターなどもかかって不思議な雰囲気。
ボーイングのソロが素敵なフィト・パエズの大ヒット曲「Un vestido y un amor」、エフェクター使いもセンス良く透明感ある演奏。フレス曲「Drexciya」、テンポよく切れ味よく短なアクセント。
「Dardusó」、「Stanna Tid」は、2人の名義になっているので即興曲でしょうか、少し実験的で共鳴し合う2人の宇宙的な世界。
深く暗い世界が広がる、コメダの「Sleep Safe And Warm」。静かに広がる波紋のような2人の丁寧な演奏。フレス曲「April In Dardegna」、ダニエルソンのソロ、フレスのソロ、かっこ良すぎます! エキゾチックなダニエルソン曲「Amigos」、印象的なユニゾン、そして、この哀愁……。
バッハの「Wachet auf, ruft uns die Stimme」は、ダニエルソンのアレンジ。フレス曲「Dardodentro 」、静かな中に時折はいる歪んだ音がミスマッチ。終演もフレス曲で「De La Solitude Mesurée」、最後までシンプルな世界。

最小限の音数で、哀愁溢れる叙情豊かな世界が広がります。基本は、アコースティックな温かな牧歌的な音風景ですが、各所でエフェクターを使ったり、多重録音したり、想像力豊かな2人にしか生み出せない色彩豊かな世界が繰り広げられます。
互いの心に響き合う息のあった演奏。

1. Autumn Leaves
2. Saluto Dardamente
3. Le Matin
4. Stilla Storm
5. Jag lyfter ögat mot himmelen
6. Un vestido y un amor
7. Drexciya
8. Dardusó
9. Stanna Tid
10. Sleep Safe And Warm [from Rosemary‘s Baby]
11. April In Dardegna
12. Amigos
13. Wachet auf, ruft uns die Stimme
14. Dardodentro
15. De La Solitude Mesurée

Lars Danielsson (b, cello)
Paolo Fresu (tp, flh)

今日は、お誕生日でした。
お誕生日に、大好きなダニエルソンとフレスのデュオを投稿できてとても嬉しいっ!
ジャケットを開けると、2人の写真が…いや、人さまのことは言えませんが、お互い歳をとりましたね。

んじゃ、退散♪

2018年10月23日 (火)

白熱のデュオ 「武田 謙治 & 柳 隼一 Duo 新潟ツアー@ JazzFlash(10/22)」

武田 謙治 (g) 柳 隼一 (p)

Takeda_yanagi


珍しく、Jazz Flashの日曜日の昼のライブでした。
当日、古町でイベントがあったために、駐車場がどこも満車状態。
高いとか、安いとか言えず、、空いてる駐車場に。(T_T)

私は、お2人ともお初の方達でしたが、FBなどで繋がっていたので、挨拶していつもの席で観戦。いやぁ、いきなり熱かった!

オープナーは、パット・マルティーノの「Interchange」。不思議な浮遊感と圧倒的な音数で、音の洪水で幕あけ。続く「Rhythm-a-Ning」、超アップテンポで駆け抜ける。昨夜からのお疲れか?渡辺香津美の「Monday Blues」が、3回目で本編に突入になるも、始まると軽妙なやりとり、ピアノの左手がベースラインのようでかっこよかった。いやぁ、弾きまくったねぇ。

バラッド「Old Folks」では、ギターは空間系に響かせて望郷の想い夢見るように。ピアノもシングルノート中心に端正に。ファーストの最後は、パット・メセニーの名盤「80/81」からタイトル曲。超アグレッシブな互いに淀みないフレーズの応酬。途中いっぺんにいくつもメロディが聴こえてくるような錯覚に陥りました!

と、ここで、休憩。
ピアニストの新譜 『Play Standard / Shunichi Yanagi Trio』 を購入、サインをいただきましたよ。
そう、今回の演奏とは印象の違う演奏、美しく端正で 時折 ググッとくるブルージーな部分に惹きつけられました!
洗練された力強さが印象的でした!

セカンドのオープナーから、飛ばします。マルティーノの「The Visit」ジェット・コースターのような演奏が続きます。次曲もマルティーノ曲、ピアノのリリカルなこと。白熱の「There Is No Greater Love」、メセニーの「Travels」は、郷愁とともに。終演は、マルティーノの「The Great Stream」、キメキメ高速ユニゾン、丁々発止のやりとり、興奮しました!
アンコールは、躍動感ある「Some Day My Prince Will Come」、コール&レスポンスも楽しい熱演で終演。

パキパキと淀みなくフレーズが流れ出るギタリストと、それに情熱的に応え仕掛けていくアグレッシヴ&パーカッシヴなピアニストのまさに一騎打ち。選曲も、パット・マルティーノ、パット・メセニーやらって、そりゃ、燃えますよね。丁々発止、熱いパッションをガンガン感じました。
ギタリストの武田さまは、新潟出身だそうで、なんだか、新潟いいなぁ、的になってました。
この後、ジャム・セッションになったのですが、私はここまで…。

んじゃ、退散♪

2018年10月22日 (月)

待ってましたよ! 「ERIKA JAPAN TOUR 2018 Autum @ MONK’S MOOD(10/20)」

ERIKA JAPAN TOUR 2018 Autum @ MONK’S MOOD
ERIKA (vo)  鈴木よしひさ(g) ゲスト: 吉川ナオミ (vo.& cho)

Erika

ニューヨーク在住のパワーあふれるERIKAさま。
日本ツアーの合間に、韓国ツアーも成功させ、秋のお里帰りツアーも佳境。
ご一緒のギタリストは、名手、鈴木よしひささまとのことで、楽しみにしてました。

オープニングは、新潟でのライブの功労者、吉川ナオミさまとギターのデュオから。
「2人でお茶を」、「あの日にかえりたい」を歌い、会場が和みます。

ERIKA姫の登場、お気に入りのユーミン曲で年代がわかる、という、MCからすでにコント状態。笑
でも、歌えば一気に場が変わる。スタンダード「That Old Feeling」、しっとり情感こもった歌に聴き入ります。アップテンポのジョビンのサンバ「Someone To Light Up My Life」、ソロ・ギターのパフォーマンスのレベルの高さにあっけにとられる!カッティングが踊ってましたね。
ミルトンの名曲「Travessia」、英語とポルトガル語の詩の説明をしてくれて、始まった導入部のギターの美しいこと。英語で歌った後に、ポルトガル語でもエモーショナルに…。歳をかさねるとこう言う歌が心に沁み込んできますよねぇ。ギターのサポートも完璧!

11月に、「ポリ・パフォーマンス」という、独りでギター、足鍵盤とボイス・パーカッションという、人間業とは思えないパフォーマンスで、新潟ライブをするらしいのですが、ギターとヴォイス・パーカッションの独り演奏でその片鱗を聴かせてくれました!

去年せた新譜『Reflections』からタイトル曲の「Reflections」!前向きになれる良い曲、素敵な歌。めちゃくちゃパンチの効いたアニー・ロスの代表曲「Twisted」。伸びやかな声とキレッキレの高速スキャットとギターが楽しめる「Spain」。もう、大盛り上がりでファーストセット終了。

セカンドも楽しかったな。
ナオミさまの「Kiss of Life」に始まって、ERIKA姫が加わったバーデン・パウエルの名曲「Berimbau」は、闘志あふれるデュオ、空間を切り裂くギターソロが超かっこよかった。
その後も、アルバムに入ってる「Caravan」、「Moonlight Butterfly」、「Autumn In New York」、「Hikoukigumo」などなどをエモーショナルに。最後は、観客を巻き込んでの大盛り上がり。アンコールにセルジオ・メンデスの「Mas Que Nada」、会場は興奮の坩堝と化したのでした♪

ERIKA姫は、伸びやかな声で、ダッシュ力とパワー、繊細な感情の機微を持ち合わせた歌唱で私たちを夢の世界に。ポルトガル語で歌うブラジル曲、あぁ素敵だ。オリジナル曲やユーミン曲の日本語も泣ける、スタンダードはめちゃジャジーで気分はニューヨーク。お師匠さま(シーラ・ジョーダン)譲りのアグレッシヴなスキャットなど、今年も楽しいひと時でした。
ギタリスト鈴木よしひささま、巧いなぁ。様々な魅力に溢れたエリカさまのヴォーカルを、完璧にサポートしていきます。MCも含めて阿吽だ!
先週からヴォーカルの力になぎ倒されっぱなしなのですが、またまた、見事にノックアウトされましたよ…。

んじゃ、退散♪

2018年10月20日 (土)

懐かしく、故郷みたいな温かさ 『Just This / Lars Jansson Trio』

Just_this

スウェーデンのピアニスト、我らがラーシュ・ヤンソンが、自身のトリオで新譜を出しました。タイトル「Just This」は、現在のラーシュの心境を強く表したものだそうです。新旧の名曲13曲。
ジャケットは、おなじみイタリアの芸術家ミンモ・パラディーノ、ラーシュさまとは心の奥底で結びついているようですね。

オープナー「Just This」が始まると、何処か懐かしい気持ちになる。しっとり、優しく語りけるピアノに、思わず顔がほころぶ。端麗なピアノが紡ぎ出す温かな世界。
ちょっと変わったグルーヴで盛り上がる「Pure Sensation」。ラーシュの大好きなビル・エヴェンスへのオマージュ「Waltz for Bill」、軽快で明るいワルツ。
静かに始まる「Receiving」、ジャジーなピアノ・ソロのエレガントなこと、ロマンチシズムに溢れている。
リズミカルで生き生きと躍動感に溢れる「Bohuslan」、ドラムとのバース交換では、若さ溢れるドラマーからエネルギーを貰っているよう。アグレッシヴでテンポよく進む「Mustapha」、かつての教え子の素晴らしいベースプレイが聴ける。内省的で空間を大きくとった会話が続く「Intimate Talk」。作曲したことを忘れていた「Cherished」、少し変わったフォームが初心を思い起こすのだそうだ。ビートに乗ってベース・ソロ、ピアノ・ソロと絶好調の「Turn The Whole Thing Upside Down」。ベースのボウイングとピアノのユニゾンが印象的、穏やかで優しい「No Purpose」。アップテンポで疾走する「Safe Trip」、ドラム・ソロが素晴らしい!
無我を意味する「Anatta」、その言葉の意味はわからずとも、安心してしまうヤンソン・メロディ。
終演は、深遠なるバラッド「To Have Or To Be」。常にその答えを真摯に見つめ続けた彼ならではの陰影豊かで、余韻を残した演奏。

リリシズム溢れる親しみやすいメロディ、穏やかで柔らかな演奏から疾走感あふれる演奏まで、全てに本領発揮! かつて教え子だったベーシストは、デンマークを代表するベーシストに育ち、ロックのドラマー紛いだと陰口たたくものいたドラマーも素晴らしいグルーヴを叩き出す繊細かつ力強いドラマーに成長。
様々なことを乗り越えてできた作品は、何処か故郷を思い起こす懐かしい気分、そして、ほっこりとした温かさを感じた……。

1. Just This
2. Pure Sensation
3. Waltz for Bill
4. Receiving
5. Bohuslan
6. Mustapha
7. Intimate Talk
8. Cherished
9. Turn The Whole Thing Upside Down
10.No Purpose
11.Safe Trip
12.Anatta
13. To Have Or To Be

Lars Jansson (p)
Thomas Fonnesbeck (b)
Paul Svanberg (ds)

ちょうど良い動画が見つけられませんでした。

レーベルサイトで全曲視聴できますよ!

んじゃ、退散♪

2018年10月18日 (木)

繊細で瞑想的な世界 『The Dream Thief / Shai Maestro』

The_dream_thief


イスラエルのピアニスト、シャイ・マエストロのECMリーダー・デビュー作。
ペルーのベーシスト、ホルヘ・ローダーとイスラエルのドラマーのオフリ・ネヘミヤとのトリオ作で。オリジナル曲を中心に、祖国イスラエルのシンガー・ソング・ライターの曲など9曲。

オープナーは、ソロ・ピアノで彼の好きなシンガー・ソング・ライターの曲で「My Second Childhood」。好きというだけあって、体の中から滲み出てくるようにメロディを奏でる。繊細に、心象風景を描き出す。この後、6曲、シャイの曲がつづく。
トリオで演奏する「The Forgotten Village」は、内省的な演奏、そこはかとなく切なさが滲み出るメロディ。
そして、タイトル曲「The Dream Thief 」。ほんのりと甘さを漂わせながら、次第に細かなリズムでヒートアップ。3人のクールなやりとりが凄すぎる。夢のつづきのように始まった「A Moon's Tale」、悪夢のような場面展開も。優しくしなやかに、でも、力強く美しいピアノが聴ける「Lifeline」。
ソロ・ピアノで「Choral」、端正で慈愛に満ちた演奏。トリオに戻って、躍動感、疾走感のある「New River, New Water」。掛け声もかかって、超スリリング。
スタンダード「These Foolish Things」は、ソロ・ピアノで。硬質な音で、フレーズの一つ一つに感情がこもった演奏。
終演は、トリオでオリジナル「What Else Needs To Happen?」。ベースのソロからはじまるこの曲は、朗読付き。for Anaって、あるのですが、即興性の強い、ある種のメッセージ?なのだろうか?ご存知の方、教えてください。m(_ _)m

一本一本の細い線で丹念に描かれた絵画のように、繊細で美しい瞬間瞬間が収められている。
内省的で、深く深呼吸をした時のような瞑想的な世界。
以前より、独特の世界観であったけれど、ECMレーベルとの波長よく、ますます、シャイ・マエストロの独自の世界となっている。

1. My Second Childhood (solo piano)
2. The Forgotten Village
3. The Dream Thief
4. A Moon's Tale
5. Lifeline
6. Choral (solo piano)
7. New River, New Water
8. These Foolish Things (remind me of you) (solo piano)
9. What Else Needs To Happen?

Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (b) except 1,6,8
Ofri Nehemya (ds) except 1,6,8

今日のおまけは、レーベルがあげていた新譜の案内から。

11月に、メンバーは違いますが、トリオで来日しますよね。
聴きにいけたら、悶絶ものだろうなぁ。。

んじゃ、退散♪

2018年10月17日 (水)

深まりゆく秋のごとき 『平賀マリカ、オータムライブツアー2018 @ Monk' s Mood (10/16)』

平賀マリカ、オータムライブツアー2018 @ Monk' s Mood (10/16)

Hiraga


平賀マリカ (vo) 荒武裕一朗 (p) 山下弘治 (b)

まずは、ピアノとベースのデュオで、「You're My Everything」、「Norwegian Wood」。

もう、1聴に超安定感のあるベースで、温かな音、で正確なピッチでバンバン弾いて行く。ピアノも小さな柔らかな音から、大きなエネルギッシュな音まで曲想を丁寧に紡ぎ、この2人のデュオを聴いただけでも今日のチャージ分ありです。はい。

歌姫登場、新潟とエリントンの関係をご存知で、1曲めはエリントンナンバー「Drop Me Off in Harlem」。軽快にスイングしながら、時に、スキャットも交えてカッコい!!
その後は、去年出た新譜の『Vintage』からの選曲を中心に。「September in the rain」のアレンジ素敵♪ 熟女の可愛いが詰まった「When you wish upon a star」。

ナチュラルな歌い方で、低音から高音までスムースに、品のある色香を感じる声を響かせます。ドラムレスを感じさせぬ、ピアノとベースの2人は、躍動感あって歌心の肝を抑えた演奏でサポート。

ルグランのシェルブールの雨傘を英語で「I Will Wait for You」、スイングする2人の熱い演奏に掛け声かえて盛り上げる。レディ・デイの「Good morning heartache」。歌詞の一語一語をしっかりと言い聞かせるように歌い上げる熱唱。いやぁ、沁みたわ…。
セットの終わりは、ラテン・アレンジの哀愁たっぷり「So in love」、スキャットが自然でかっこいい。

休憩中は、ご無沙汰していた方々にご挨拶などして、、
お買い上げした『Vintage』に、サインをいただきました!

2セットめも セットの初めに絶好調のデュオ演奏が2曲あり、その後、ヴォーカルがシット・イン。
新譜からも過去のアルバムからも選曲が素敵。押し付けがましくないのだけれども、心に染み込む歌の数々。
歌詞を大切にしながらも、3人の楽器的な絡みもたくさんあって、柔らかでしっとりだけど、現代のジャズ・ヴォーカルらしいなぁ、と、ジャズ・ヴォーカルの王道を楽しんだ秋の夜長の素敵な時間でした。
本当に全部よかったのですが、印象に残っているのが、日本語で歌った「Far Call」に痺れた。情感いっぱいの演奏に、胸がいっぱいになりました。いつか、日本語で歌うアルバムを出したい、って、仰る言葉を信じて待ちたいとおもいます。

アンコールにもエリントンのナンバー「Take the A Train」を選んでくれて、3人で 全開、最高!

打ち上げにもちょっと参加しちゃいまして、お誘い頂きありがとうございました!

この後、東北4県をまわるそうです。フライヤーをはりつけておきますね!

Hiraga2

んじゃ、退散♪

2018年10月15日 (月)

来日公演おめでとう! 「Bohuslän Big Band @ 越後妻有文化ホール「段十ろう」(10/13)」

ボーヒュスレーン・ビッグバンド @ 越後妻有文化ホール「段十ろう」 (10/13)

Bbb


スウェーデンの誇るビッグバンド、ボーヒュスレーン・ビッグバンドを十日町市で聴いてきました。今回で4回目の来日だそうですが、デンマークのヴォーカリストのカトリーヌ・マッドセンがゲストだった時に聴いたことがあります。
美しく軽やかで柔らかなハーモニーを奏でるBBBを生で聴けるなんて嬉しすぎます!
と、いうことで、車で約2時間の(実際はも少し短い)十日町市へ。

昼過ぎについて、「絵本と木の実の美術館」を観光していると、、偶然、BBBのベーシストである森泰人氏に遭遇!わぉ、ついている!!
ますます、夜の公演が待ち遠しくなってきましたよ。
6時半開演なので、その前に、友人の粉布Shopでお茶したり、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]に行ったりして待ちました。

席は、気がついた時にすぐにとったので、一列目の真ん中。気合の入ってますよね。笑
2017年の11月に開館したそうで、一年目のイヴェントの一つでもあったようです。
私は、前回、フラットなライブハウスのスペースで聴いたので、ホールで聴くサウンドを楽しみにしていました!

1stセット、まずは、BBBのメンバーだけで、2曲演奏。1曲目「Room 608」からトランペットとサックスがソロにフロントに立ち、いきなり盛り上げてくれます。ショーターのバラッド「Lady Day」では、トロンボーンがフューチャーされている。もう、会場はやんやの拍手。
3曲めから、日本人のピアニストの木住野佳子氏がシットイン。彼女のオリジナル(Con Passione、Fairy Tale、砂時計、Bossa de funk)は、タイプの違う4曲。でも、4曲ともどこか日本情緒を感じる哀愁あるメロディ。美メロ大国スウェーデンのBBBのメンバーもきっとエキゾチックな気分だったのではないでしょうか、各ソロも情感たっぷり。優雅で端正なピアノもBBBのサウンドにぴったり。最後は、日本の歌…「Sukiyaki song」。ピアノ・ソロから華やかなビッグ・バンドが加わった忘れがたいサウンド・スケープ。ファーストの最後は「Bossa de funk」では、「フリューゲルとトランペットの独り両手持ち替え」なんて離れ業もでて楽しく盛り上がってファーストを終演!

15分の休憩を挟んで、セカンドへ。

2ndセットも最初の2曲は、BBBのメンバーだけで。まずは、ボビー・ハッチャーソンの「West 22nd Street Theme」。2曲めは、フリューゲルをフューチャーしたスウェーデンの民謡「Torn-Eriks visa」。美しすぎるほど美しかったですよ。
わわ〜、そして、もう一人のゲストは、新潟は三条出身のフリューゲル奏者&ヴォーカリストのTOKU氏。いきなりビッグ・バンドをバックに「The Best Is Yet To Come」をダンディに。
双方が、フランク・シナトラのトリュビュート・アルバムがあるとのことで、続いてシナトラ愛想曲、「I've Got You Under My Skin」、「The Lady Is A Tramp」。木管、金管が、華やかに、でも、きらびやかではなく( 微妙にちがいますよね!)、軽やかにスイングする中、歌、スキャット、フリューゲルでパフォーマンス。もう、素敵以外の言葉が浮かばない。
なんと、ギル・エヴェンスとマイルスのコラボから生まれた「My Ship 」と「 Miles Ahead」をフリューゲルでシームレスに。もう、最高以外の言葉が浮かばない。口、あんぐりです。はい。
シナトラ愛想曲にもどって「Strangers In The Night」をロマンティックに。「Mr.Sandman」を豪快に軽快に。
冒頭、森ベーシストの低音を響かせたデュオで始まった「Fly Me to the Moon」。ヴォーカルTOKUの実力発揮!もう、メロメロですわ。拍手喝采!!止まらぬ拍手、アンコール必然!
木住野佳子ピアニストも加わって、次から次にソリストが現れるビッグ・バンドの楽しさを満載した「New Box」!!


木管、金管、その華やかに、美しく軽やかにスイングするさまは、夢の国の音楽。
各人のそれぞれが素晴らしく、その力がアンサンブルに余すところなく発揮され、美しくエレガント、そして、キレッキレなサウンドのシャワー。
もちろん、リズム隊も完璧で、大好きなベーシストの森さまの雄姿も拝めました!!
しかも、ゲストの2人も最高。めっちゃ カッコいいコラボになっていて、夢としか言いようのない至福の時間でした…。

今年は、日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年記念の年なのだそうです。来日公演、本当におめでとうございます
お近くに、公演予定のある方!!是非とも お出かけくださ〜〜い♪
公演予定を貼り付けておきますね。すでに、完売のところもあるようです。
お早めにチケットをゲットしてくださ〜い!
私は、来日記念公演のTシャツを買ってしまいましたよ。笑

そうそう、とても印象的な場面、、
TUKUがフリューゲルを吹いている時の、BBBのトランペット隊の4人の幸せそうな笑顔。

Bbb_tour


Trumpet
Lennart Grahn , Samuel Olsson , ロビン・リードクヴィスト , Jan Eliasson
Trombon
Niklas Rydh , Christer Olofsson , Hanne Småvik , Ingrid Utne
Saxofon
Joakim Rolandson , Martin Svanström , , Mikael Karlsson, Alberto Pinton
rhythm section
Stefan Wingefors(p) , Yasuhito Mori (b) Adam Ross (ds)
Guests
木住野佳子 (p)、TOKU (flh,vo)


んじゃ、退散♪

2018年10月13日 (土)

人生って素晴らしい! 『たなかかつこ&若林美佐 DUO @ Jazz Flash (10/11)』

たなかかつこ&若林美佐 DUO @ Jazz Flash (10/11)

たなか かつこ (p) 若林 美佐 (b)

Katsuko_misa


ニューヨークで活動しているピアニスト、たなかかつこ氏と、山形在住のベーシスト、若林 美佐氏のデュオにいってきました。
お二人とも関西出身で、キャリアの最初の頃からのお知り合いだそうです。でも、共演するのは、久しぶりなんだって。
でで、、なんと、私以外のお客さまは、男性ばかり! これって、はじめてだわ。

ファースト・セットのオープナーは、ピアニストの新譜からタイトル曲「Wish Board」、オシャレな前向きな明るい曲。とても、力強いタッチでゴージャスな演奏、ベースも小さな体から太く力強い音。二人とも見た目のか細さとは、裏腹な力強さが満載。スタンダード「Here's That Rainy Day」、表に裏にピアノとベースが交代しなが、、華麗に動く指が、ゆったりとした空気を。ピアニストのデビュー・アルバムからのオリジナルで「Shell」。関西で活動しているときに、創った曲なので、ベーシストも何度か演奏しているとのこと。ちょっと、マイナーな哀愁のある曲を、透明感あるピアノと腰の据わったベースで。とても品格を感じる二人の会話。力強く勢いのある演奏で、スタンダードの「Speak Low」。ファスートの最後は、しっとりしたオリジナルのバラッドで「A Midnight Talk」。情感豊かな美しい曲、大人の会話。

休憩中に、アルバムを買ったり、お話したり。。
私は、つい、、日本酒を追加してしまいました。。。

セカンド・セットも美しいスタンダード「It Could Happen To You」で、はじまり、「Poinciana」のリズムに似ているオリジナル曲、スタンダードやバラッドで「Body And Soul」を演奏し、最後は、オリジナルでゴスペル調の「Have Peace in Your Heart」で終演!
アンコールも受けてくださり、楽しいライブでした。

お二人とも、力強いタッチで芯のある演奏。そして、品格のある大人の会話。
「間」もかっこよくて、「人生って、素晴らしいなぁ」って、思った夜でした。

久しぶりのきぐちの打ち上げも楽しかった〜〜♪
呑みすぎ、食べすぎ、注意報でございました。

んじゃ、退散♪

2018年10月11日 (木)

進化は、止められない! 『Toward The 11th/外山安樹子 Trio』

Toward_the_11th

 

 

外山安樹子トリオが、結成10周年に出した2枚組の記念アルバム!

 

1枚目は、前作『Tres Trick』以降の新曲と新しくアレンジしたスタンダードが2曲入ったスタジオ録音盤。タイトル曲をはじめ、日常の中の感情の機微から生まれた美しいメロディが満載、10年間を共にした仲間との親密な時間が収められている。

 

オープナーは、軽快にスイングする「 It Would be Opened to you」。ベースとドラムとスリリングにやりとりしながら、爽やかなメロディに肉付けしていく。
「Hidden Currents」、少しマイナーな不安感を覚えるメロディと、躍動感と高揚感ある後半。
同郷の芸術家のガラス作品展を観てインスパイアされできた「Mystic Cathedral」。可愛らしいテーマメロディとワルツのリズムがぴったり。
佐渡の青い空に刺激されてできた「Sky Above Dazzling Ocean 」、大文字を追うと「SADO」となる、遊び心がニクい。ベース・ソロの誘われ、ゆったりと始まるバラード。静かに、音数すくなく心情風景を語るピアノ、叙情豊かに歌うベースが素敵。
ジャズ・ファンにお馴染み、スウェーデン民謡「Dear Old Stockholm」、哀愁あるメロディとリズムに変化をつけた演奏で現代的な感覚で。
哀愁あるメロディと裏腹にどんどんと世界が広がるスケールの大きさをかんじる「Harutooshi」。ベースのアルコがスパイスに。前半と後半の対比が面白い「The Time Begins to Walk」。おしゃれな曲ですね。
スタンダード「Speak Low」、優しくしっとりと囁く叙情豊かな演奏、ベース・ソロも情感あって決まってますね。終わりの終わりまで、感情の起伏を見逃せません。
ピアノで歌う「Song Without Words」。3人の付かず離れずの距離感が素敵。
1枚目の終演は、タイトル曲「Toward the 11th」。微妙に変化しながらの疾走感が未来に向かって突き進んでいく雰囲気。そして、明るい展開が現代的な曲調だけど、うまく感情ものっていてかっこいい。実は、11にちなんだ様々なトリックが隠されているのだって。彼女らしい知的な遊び心、演奏も力強い!

 

 

2枚目は、2018年の6月のtokyo TUCのライブを一発録りしたライブ盤。過去のアルバムやライブで人気の高い曲が並びます。ライブの演奏の熱さの定評通り、メーンバーとのコール&レスポンス、インプロビゼーションと観客を巻き込んでガンガン拍車がかかる。
美メロからスタンダードのアレンジまで、終始目が離せない。10年間を支えてくれたファンとの至福の時間が収められている。

 

ファーストのオープナーは、春の息吹と人の生命力の重なる「Springlake」。歌い上手なベースのソロが会場を盛り上げる。切なさと哀愁が交互する「Nostalgia」、ベースとのデュオ部分、じんわりきます。ドラムも加わると次第に情熱的に。ダイナミックなドラムの音から始まる「Frame in Frame」は、まさに「ワクワクする」躍動感ある展開、待ってました!ドラム・ソロ! 胸に押し寄せる大きな感情の波を感じつつ、じっくり耳を傾けたくなる「誰もいなくならない」。
即興から始まった「A Night in Tunisia」。聴き慣れたテーマを感じながら別世界に誘う。各自が己の限界に挑戦するような熱くトリッキーな演奏に会場のボルテージは上がる上がるっ。
ここで、ファースト・セット終了。

 

セカンドのオープナーは、ソロ・ピアノによるメドレーで「Under the Lilac Tree ~ Tres Trick」。特に後半の「Tres Trick」、緊張感高いアイディア豊かな即興重視の演奏。煌めく光景が浮かび上がる「May Journey」。スタンダード「You Don't Know What Love Is」は、ストレートに、ドラマチックに、永遠の人生の深い命題を浮かび上がらせる。
続くバラッドは、「Ballad of the Sad Young Men」、良い曲選ぶな。ベース・ソロが泣けますねぇ。最後の1音までしっとりと。
終演は、明るく華やかにお祭り気分を盛り上げる「Bassi Samba」。ドラムの千手観音ぶりが見えるよう。メンバー紹介で、終わります!大団円!!

 

ますます、磨きがかかった流麗で躍動感あるピアノと心惹きつけられる情感たっぷりのメロディ。
メンバーの阿吽のサポートもばっちりです。
彼女の欲しい音とフレーズが適所に溢れる歌い上手なベース。
音に拘り繊細さとダイナミックを兼ね備え、熱いグルーブを押し出しているドラム。
全員で、彼女の描き出す世界を肉付け、色付けしていく、三位一体ですね。

 

帯にある「進化は、止まらない。」 いえいえ、「進化は、止められない!」

 

 

Disc1 「New Works」
1. It Would be Opened to you
2. Hidden Currents
3. Mystic Cathedral
4. Sky Above Dazzling Ocean (SADO)
5. Dear Old Stockholm
6. Harutooshi(春遠し)
7. The Time Begins to Walk
8. Speak Low
9. Song Without Words
10. Toward the 11th

 

Disc2 「Live」
1. Springlake
2. Nostalgia
3. Frame in Frame
4. 誰もいなくならない
5. A Night in Tunisia
6. Under the Lilac Tree ~ Tres Trick
7. May Journey
8. You Don't Know What Love Is
9. Ballad of the Sad Young Men
10. Bassi Samba

 

外山 安樹子 (p)
関口 宗之 (b)
秋葉 正樹 (ds)

 

今日のおまけは、新譜のプロモーション・ビデオ。

 

 

新譜の正式リリース日は、9月16日の発売でしたが、新潟でのライブは9月14日
ツアー初日、満員お礼でした。
アルバムはライブで、購入すると3500円が、3,000円に!!もちろん、サイン付き!
この後、ツアーのある近隣の皆さま、どうか、会場にお運びくださいね。

 

んじゃ、退散♪

 

 

2018年10月 6日 (土)

ダイナミズムと静謐を併せ持った 『Live / Marcin Wasilewski Trio』

Marcin_wasilewski_live


音楽大国ポーランドのトップ・ピアニスト、マルチン・ボシレフスキ。
4年ぶりの新譜は、2016年の8月にアントワープで行われたジャズ・ミドルハイムというフェスティヴァルのライヴ盤です。
メンバーは、四半世紀活動を共にしてきた不動のメンバー、一緒に歩んできた彼らのテクニックもハイレベルで、音楽大国ポーランドの底力を感じる。
2014年にリリースされた『Spark Of Life』からの選曲に加え、彼らの人気曲「Night Train To You」も演奏。全7曲、6トラック、一時間超え。5曲がボシレフスキのオリジナル。

オープナーは、「Spark Of Life / Sudovian Dance」のメドレー。マレットの連打で静かに幕開け、ピアノが入ると、1聴に、ボシレフスキの透徹で美しい音に感動。人知れず静かに佇む湖のように深く神秘な色合い。哀愁ある旋律、流麗でエレガントなフレージングにもうっとり、シームレスに「Sudovian Dance」に進み、リリシズム溢れる演奏が続き、3人の息もぴったりで一気に惹きつけられてしまった。次第に小さくなる音を聴き逃すまいと耳をそばだててしまう。
ダークな色合い、スリリングな面持ちで始まったスティングの「Message In A Bottle」。孤独をテーマにした曲想にあったシリアスでスリリングな展開。素晴らしいベースソロの後の精密かつ大胆な3人の展開は凄い、ダイナミックなドラムソロも後押ししてボルテージ急上昇。
美しいピアノに聴き惚れながら始まる「Three Reflections」、3人で次第にヒートアップしていき、超高速だけれど決してワンパターンにならない10本の指に驚愕の拍手。
コンポーザーとしても評価の高いボシレフスキの曲でも人気の高い「Night Train To You」。ドラマ性を感じるメロディ、心の葛藤を表すような、互いに煽り合うような、激しい演奏へ。こんなダイナミックな演奏を目の前で聴けた観客は幸せだろうなぁ。収め方もうまいっ。
一転、ロマンチシズム溢れる「Austin」。本当に1音1音の美しいこと…。この静かな時間もこのトリオの特筆するべき音楽性。
終演は、ハービー・ハンコックの「Actual Proof」。エレクトリック・ファンクをアコースティックで、クールに。ベースとドラムが繰り出すビートにのって大胆に、畳み掛けるように!


ライブならではの躍動感があふれ、激しく情熱がほとばしる三位一体のプレイ。
もちろん、ピアノ、ベース、ドラム、各自のソロも素晴らしい。ボシレフスキって、本当に音が綺麗。
4000人の観客の興奮は半端なく、彼らも観客からエネルギーをもらい、ますます、演奏に拍車がかかる。
ダイナミズムと、美麗で静謐な部分を併せ持つピアニズムが堪能できるライブ。
全編、強い高揚感を感じる満足度の高い内容でした。ジャズ・ピアノ・トリオの真髄だ!

1.Spark Of Life / Sudovian Dance
2.Message In A Bottle
3.Three Reflections
4.Night Train To You
5.Austin
6.Actual Proof

Marcin Wasilewski (p)
Slawomir Kurkiewicz (b)
Michal Miskiewicz (ds)

今日のおまけは、2018年の jazzahead! 2018 の演奏。

連休はおでかけですか?
私は、父の三回忌。
日々に追われているせいでしょうか。。早いものですね。

んじゃ、退散♪

2018年10月 3日 (水)

ソロ・ベース演奏の既成概念を破壊した 「Björn Meye @ Jazz FLASH (10/2)」

Meye

(Facebookよりお写真拝借)

Björn Meye (6-string el-b , electronics)

ECMで活躍するニック・ベルチュのRoninのベーシストを長年務めた、ビョルン・マイヤーのライブでした!!

6弦エレクトリック・ベースとアコースティック・ベース・ギターを使用したソロ・ベースの作品『Provenance』は、とても幻想的なアルバム。多重録音もあり、一般的に思い浮かぶベースのソロアルバムとはかなり一線を画したものでした。まるでバリトン・ギターとエレクトロニクスを使ったアンビエントな音風景。

なので、新潟でライブがあるとアナウンスが入った時は、ライブはどうなっているんんだろう??って、興味津々でした。でも、親戚の不幸が入って、様子が読めなくなり、参戦表明は前日。
いつものように、開演時間にお伺いすると、、なんだか、知った顔がたくさんで、嬉しくなりました!

これが、思ったようにドツボで、新譜の世界を目の前で再現してくれました。
ライブでは、相棒とも呼べる6弦エレクトリック・ベース一本で、ループや残響を効かせ、ミニマルなフレーズを繰り返しながら、1音1音を大事に響かせる夢の中を彷徨うような世界。もう、寝ちゃいたいくらいいい感じ。
シームレスに、1セット45分を休憩挟んで2セット、そして、アンコールも演奏してくれた。
ものすごく美しいベースの音があって、そこに何層ものレイヤーをかけるようにして、様々な音の風景を作り上げていく。
エフェクターとコンピューターを使った1人アンサンブルは、相棒のベースの全てが分かっているよう。弦をチェーンでなぞったり、ボディを拳でハンマリングしたり、そういう音を、その場でループにしてサウンドの色彩にとりいれていく。こういうのって、家ではやってみる人も多いとおもうのだけど、もの凄い自身と技術がないとなかなかむすかしいですよね。
タッピング、両手弾き、フィンガーピッキング、ピックのピッキング、バリトン・ギターやガット・ギターを弾くようにメロディアスなサウンドをだったと思えば、突然、地を揺るがすごとく響き渡る歪んだ音、6弦を全て使った力強いカッティング…やれることは、全てやる、姿勢。もう、次から次に目の前に現れる風景に圧倒されっぱなし。
1度たりとも途切れない集中力と全身全霊のパフォーマンスに、会場の多くが魂を持っていかれ腑抜けの状態。あぁ、素晴らしかったぁ!
圧倒的な存在感、必聴、必見のライブでした。
6弦エレクトリック・ベースが、まるで生き物ように感じた夜でした……。

新潟に来てくれて、本当にありがとう!!

一緒に写真撮ってもらい、サインももらって大興奮。ステージが終わると、柔らかな物腰で、とても紳士で優しい方でした。
昔のRoninのアルバムの写真が、とても若くて、、ちょっと、照れていたのも可愛w。
樋口さま、フラッシュのマスター&女将、どうも、ありがとうございました。m(_ _)m

今日を含めて、ライブは続きます。ぜひ!

10/3 水 - 19:30 open 20:00 start 金沢 もっきりや
10/4 木 - 19:30 open 20:00 start 柏 Nardis
10/5 金 - 19:30 open 20:00 start 横浜 Airegin
10/6 土 - 19:30 open 20:00 start 新宿 Pit Inn

んじゃ、退散♪

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