スカンジナビア半島の哀愁 『Ravensburg / Mathias Eick』
ノルウェーのトランペッター、マティアス・アイクの新作。
2004年にでた『Evening Falls / Jacob Young』で、初聴きだったのですが、その後来日もしてます。その時、チケットまで買ったのですが、行けなくて知人に譲ったんですよね…。
『Midwest』と同じく、ヴァイオリンを加えているのですが、ピアノ、エレベ、ドラムとパーカッションとういうちょっと変わった編成。
ヴァイオリンのHåkon Aaseは、『Lucus / Thomas Strønen's Time Is A Blind Guide』でも名前があるノルウェーのヴァイオリニスト。前々作の『Skala』に大きくメンバーが被ります。
全作、アイクのオリジナル。
オープナーは、アンドレス・ウルボの穏やかなピアノで始まる「Family」。朗々とたなびく雲のようなトランペットはどこかメランコリー。ヴォイスとヴァイオリンの重なりが美しい「Children」。美しいトランペットの音色なれど、暗く実験的、アビストラクトな「Friends」。哀愁のメロディ、胸に沁みる綺麗なピアノ・ソロ、柔らかなトランペット・ソロ。ヴォイスがいいスパイスになっている「Parents」。ヴァイオリン・ソロが素晴らしい「Girlfriend」、スリリングにリズムが疾走。
タイトル曲「Ravensburg」、どうやらドイツのラーベンスブルグという都市らしい。彼の一家は、全員音楽家なんだそうですが、祖母のルーツがここにあるようです。前作のように都市の印象を心象風景に落とし歌い上げてる感じ。
終演は、そのおばあちゃんに。「For My Grandmothers」、穏やかで柔らか、ヴァイオリンが朴訥な空気を運んできます。
全編に広がる独特の哀愁、朴訥とした印象、タイトルから感じ取れる大切な人たちのオマージュ。そのポートレートの背景に浮かび上がるノルウェーの広大な自然も忘れられません。
1. Family
2. Children
3. Friends
4. August
5. Parents
6. Girlfriend
7. Ravensburg
8. For My Grandmothers
Mathias Eick (tp, voice)
Håkon Aase (vln)
Andreas Ulvo (p)
Audun Erlien (el-b)
Torstein Lofthus (ds)
Helge Andreas Norbakken (ds & perc)
今日のおまけは「Children」。
「もうすぐは〜るですねぇ♪」
と、歌いたくなる今日この頃です。
んじゃ、退散♪
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独特な今っぽいというか、北欧的な、というか、ミキシングが通常のジャズとは離れたイメージで、曲調と相まって、逆にそれが印象深かったし、面白かったでした。やっぱりECMは進んでますわ~、という感じでしょうか。今回はインパクトのあるアルバムが多いです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年3月13日 (火) 17時32分
910さま、やっぱり、北欧というか、、ノルウェーのミュージシャン好きです。
ドラムと、パーカッションの2本立てだけど、全くうるさくならず、
もう、美しい音で彩ってるなぁ、、って、感じ。
また、ノルウェーにいきたくなります。
トラバ、ありがとうございます。
投稿: Suzuck | 2018年3月13日 (火) 18時36分