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音楽で拡がる輪

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2018年3月

2018年3月24日 (土)

絶対、歌ってる!  『Modern Lore / Julian Lage』

Modern_lore


前作『Arclight』の路線を突き進むジュリアン・レイジ。
今回も、テレキャスターを使って変幻自在のアメリカーナ路線。
目の前で観てもまるで息をするかのようにギターと一体の気負いのないギタリスト。
全曲オリジナル!

オープナー「The Ramble」からアップテンポで、キャッチー。どこか朴訥な雰囲気とか思いきや、いきなり高速フレージングがバシバシとはいったり、冒頭から全開。
カントリームード、、乗馬のイメージで「Atlantic Limited 」。スペース・カウボーイって感じのメロディアスな「General Thunder」。哀愁漂う「Roger The Dodger」。ポップな「Wordsmith」。キャッチーな「Splendor Riot」。郷愁も感じる「Revelry 」。
スコット・コリーの高速ウォーキング・ベースがかっこい「Look Book」。一転、のんびりムード漂う「Whatever You Say, Henry」。即興曲風の「Earth Science」。終演は、美しさの中に現代ジャズの手法が散りばめられてる「Pantheon」。

ジュリアンの変幻自在に場面を展開する歌うギターをたっぷり楽しんでください。
実際、ライブで口元は歌ってました。今回も、全部歌っているとおもいます♪
そして、、彼の中には、ギターの音楽史に現れる様々なギターが集約してますね。

1. The Ramble
2. Atlantic Limited
3. General Thunder
4. Roger The Dodger
5. Wordsmith
6. Splendor Riot
7. Revelry
8. Look Book
9. Whatever You Say, Henry
10. Earth Science
11. Pantheon

Julian Lage (el-g)
Scott Colley (b)
Kenny Wollesen (ds, vib)

Tyler Chester (key) #2, 3, 5, 6, 7, 11
Jesse Harris (producer , maracas #2, casio #3, 5, 6 ac-g #9)

今日のおまけは同じメンバーで「Atlantic Limited 」

今日から、暖かくなるそうです。
でも、新潟は、、桜は、まだまだ。。

んじゃ、退散♪

2018年3月21日 (水)

心通い合う世界 『Live In Healdsburg / Anat Cohen & Fred Hersch』

Live_in_healdsburg


デュオの名手でもあるフレッド・ハーシュの今回のお相手は、イスラエルのマルチ・リード奏者、アナット・コーエン。トランペットのアヴィシャイ・コーエンの妹で、3兄弟でも演奏活動をしている。ヒールスバーグ・ジャズ・フェスティヴァルに出演した際のライヴ録音で、クラリネットを演奏。ハーシュ3曲、コーエン1曲を含む8曲。
先月の丸の内COTTON CLUBのソロ・ピアノのライブの時に先行発売してたので、ゲットしてきました♪

オープナーは、ハーシュ曲「A Lark」。静寂な空間に落ちるハーシュの美音から。この瞬間に心奪われる!そこに加わる芳醇なコーエンのクラリネット。
ハーシュ曲「Child's Song」も、繊細なハーシュのピアノで始まり、コーエンも膨よかな音色で応える。全神経を集中し、互いの音を聴き、全身全霊で応える。
コーエン曲「The Purple Piece」、少しエキゾチックなメロディから沸き立つような艶っぽさ。ふたりの優雅な会話。ビリー・ ストレイホーンの「Isfahan」は遊び心いっぱい!
ハーシュ曲「Lee's Dream」は、丁々発止。
ジミー・ローズ美メロ曲「The Peacocks 」は、アブストラクトなピアノからあの美しい世界へ。情感こめてメロディを奏でるコーエンの表現力の巧みさ。透明感あるピアノとのコントラストがより美しい曲を際立てます。力強いやり取り。幼い子どもたちの隠れんぼのような楽しいワァッツ・ウォーラーの「Jitterbug Waltz」。
終演(アンコール)は、エリントンの「Mood Indigo 」、ロマンチックな夢の中にいるように…。喝采!

まさに、親しいもの同士の楽しい会話。
互いに相手の音を聴いて、全身全霊で想像力豊かに創造していく世界。
血の通った、心通い合う音楽ですね。


1. A Lark
2. Child's Song
3. The Purple Piece
4. Isfahan
5. Lee's Dream
6. The Peacocks
7. Jitterbug
8. Mood Indigo (Encore)

Anat Cohen (cl)
Fred Hersch (p)

今日のおまけは、2016年のジャズ・アット・リンカーン・センターでの「Child's Song 」。

お中日ですね。
暑さ寒さも彼岸まで。そうなるといいな。

んじゃ、退散♪

2018年3月18日 (日)

愛の肖像 『ジャズの肖像 ポートレイチャーズ』撮影 阿部 克自 / 監修 行方 均

『ジャズの肖像 ポートレイチャーズ』撮影 阿部 克自 / 監修 行方 均

Portraitures


一ヶ月くらい前に、リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーの「阿部克自 没後10周年記念写真展『ジャズの肖像 ポートレイチャーズ』パートII」に行くことができた。
薄暗い室内の壁には50点くらい(パート I、II の 2 回で約100点)の貴重なオリジナル・プリントによる写真が展示されていて、二つのことに驚いた。
一つは、被写体となっているミュージシャンたちが、ジャズのレジェンドばかりであるということ。私のような不勉強なジャズファンでも、知っている名前の方々ばかりだということ。
二つ目は、どの写真もミュージシャンたちが、とても良い魅力的な表情だということ。

あの気難しいキース・ジャレットの眼鏡なしの笑顔。ちょっとはにかんだ雰囲気もあって、なんだか可愛らしかった。
この時は、初対面らしくて いわゆる気のおける仲ちは違うはず。
だも、この笑顔。結果を出せる人なのだと思います。

ご本人が生前から、ご自身の撮った写真を肖像画という意味を込めて「ポートレイチャーズ」と呼んでいてそうです。まさに、彼にしか見せないミュージシャンたちの素顔の写真には、彼らの人生そのもが一緒に取り込まれているようで、とても気持ちが高ぶりました。
偶然、居合わせた奥様の楽しいお話も聞くことができ、ますます、気分が高揚しました。

あぁ、こんな素晴らしいミュージシャンたちの写真のこちら側に居た阿部氏が 羨ましすぎる!

なんて、思いながら、写真家、グラフィック・デザイナー、などのマルチの才能でジャズ・シーンに大きく貢献した阿部克自氏のポートレイチャーズを眺めているうちに、、一枚持ち帰りたくなりました。
まぁ、しかし、簡単に買えるような値段でもなく、、ふと、入り口近くに積まれていた『ジャズの肖像 ポートレイチャーズ』に目が行ったのです。写真集なので、少し高いのですが、見ることができなかったパート Iのポートレイチャーズもあります。
むむ。。これはお持ち帰りするしかない!と、家で時々開いて眺めてるのです。

ポートレイチャーズの他に、阿部氏が手がけたジャケットなどもあり、何回観ても飽きない。
お気に入りのミュージシャンに涙がでそうになることもある。
それは、写真の向こうに彼らの苦悩の路が見えてくるから。
逆に、笑顔にホッとすることもある。
逆境の中でも、こういう笑顔のときもあったのね、って、なんだか嬉しくなるから。
寄せられている文章も ハートフルです。

で、私がなんどみても、、目頭があつくなるのがギル・エヴァンス。なぜだか、わからない。
でも、涙が滲みそうになってやばいです。彼の音楽に真摯な姿勢がそのポートレイチャーズからまっすぐ伝わってきます。

私たちの知らないアノ人コノ人の人となりが浮かんでくる。
あなたも一冊いかがでしょう?

んじゃ、退散♪

2018年3月17日 (土)

また、ひとつ扉を開いた 『After Bach / Brad Mehldau』

After_bach


新譜がでるたびに、話題になる現代ジャズ・ピアニストの最高峰、ブラッド・メルドー。
彼の幅広いカバー曲には定評がありますが、、なんと、今回の題材はバッハ。
そうそう、バロック音楽の重要人物、ヨハン・ゼバスティアン・バッハです。当時、バッハは作曲家としてだけではなく、即興の大家としても名を馳せていたとのことです。むむ、メルドーがバッハにご執心なのはこの辺りも大きく影響してるのでしょうかね。

今回、彼はバッハの「平均律クラヴィーア曲集」から4つの前奏曲(2、4、6、8)とフーガ(8、10)を1つとりあげています。で、各曲の演奏後に、メルドーがその曲にインスパイアされた即興曲を演奏。その組み合わせで10曲、アルバムのプロローグとエピローグがついて全12曲。

オープナーは、「Before Bach: Benediction」、敬虔な空間への誘い。
まずは、「Prelude No. 3 in C# Major from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 848」。もちろん、ここはバッハの楽譜通りにメルドーが弾きます。そのテクニックがクラシックの演奏家を寄せつけないほど超越してるか否かは、私にわかりません。が、右手と左手でテーマ?が繰り返されて行くのが印象的。そして、即興曲「After Bach: Rondo」、前曲のイメージを薄い輪郭で残しながら、よりメルドーらしいダークで美しい世界を繰り広げる。
次曲は「Prelude No. 1 in C Major from The Well-Tempered Clavier Book II, BWV 870」。そして、「After Bach: Pastorale」、メルドーらしい優雅で理知的な世界。
次曲は「Prelude No. 10 in E Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 855」。そして、「After Bach: Flux」、早いテンポで高揚した余韻そのままに、次々に展開される場面。
次曲は「Prelude and Fugue No. 12 in F Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 857」。この第1巻 第12番 ヘ短調 BWV.857だけ、プレリュードとフーガーを連続して弾き、多彩な半音階段をたっぷりと。優美な時間の後は「After Bach: Dream」。ゆったりしたテンポで時間を超越。夢遊病者の夢。
次曲は「Fugue No. 16 in G Minor from The Well-Tempered Clavier Book II, BWV 885 」。そして、「After Bach: Ostinato」。執拗に反復される打音で時空を超えられるGマイナーの世界。哲学者が語る宇宙の命題のようだ。

終演は「Prayer for Healing」。タイトルそのまま静かな祈りの時間。前曲までの緊張感が嘘のような和らぎの時。

恐ろしいことに、交互にくるバッハとメルドーの即興に全く違和感はありません。
メルドーの世界はより深くバッハの世界に潜り込んでいます。いや、逆か??
メルドーは、多分、バッハ風に弾こうとなどは、全く思っていなくて、バッハの曲は楽譜通りでも、どう考えてもメルドーの姿が浮かんできます。そして、その後のメルドーの即興曲がバッハの面影をもちつつメルドーの世界。
すごい人です。いわゆる、スイングジャズとかではありませんが、メルドーファンならそんな世界を誰も期待してないとおもうのですよね。
彼が、また、新しい世界を持ったということです。

1. Before Bach: Benediction
2. Prelude No. 3 in C# Major from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 848
3. After Bach: Rondo
4. Prelude No. 1 in C Major from The Well-Tempered Clavier Book II, BWV 870
5. After Bach: Pastorale
6. Prelude No. 10 in E Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 855
7. After Bach: Flux
8. Prelude and Fugue No. 12 in F Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 857
9. After Bach: Dream
10. Fugue No. 16 in G Minor from The Well-Tempered Clavier Book II, BWV 885
11. After Bach: Ostinato
12. Prayer for Healing

Brad Mehldau (p)

今日のおまけはアルバムのオープナーを飾る「Before Bach: Benediction」。

三寒四温の谷間から。
んじゃ、退散♪

2018年3月11日 (日)

静かな夕暮れに 『Nightfall / Till Bronner & Dieter Ilg 』

Nightfall

 

 

ティル・ブレナーは、ドイツ出身の美形のトランペッターです。トランペッターの美形は、元祖はチェット・ベイカーですかね??現在は、米国のクリス・ボッティさまもいますね。まぁ、イタリアのファブリッツィオ・ボッソもイケメンだと思いますが、、って、横道にそれすぎ。。ちなみに彼は今回は歌っていません。歌も可愛くてお上手ですけどね。
今回は、ジャケットがかっこよくて目に止まった1枚です。
出身が同じドイツのトランペットとベースのデュオ。2人名義の曲が3曲、他8曲はクラシックからビートルズまでと幅広い選曲。

 

オープナーは、カナダのSSWレナード・コーエンの「A Thousand Kisses Deep」、空間を切り裂くようなブレナー、寄り添うイルグ。たんたんと進んでいくジャジーな空間、そして気持ち良い緊張感。オーネット・コールマンの「The Fifth of Beethoven」では、二人の息のあった演奏を。
タイトル曲「Nightfall」は、少し多重録音もはいって鎮魂歌にも聴こえるほど厳かな音風景。端正な音を二人で繋ぐ。
スタンダード「Nobody Else But Me」は、奇を衒わずに素直な歌心で。と、思えばバッハの「Air」は、終始暗くシリアスな雰囲気。
ブリトニーの「Scream & Shout」は、サンプリング?なんて入って現代風なアレンジで。ベースもギター並みにはじけてますよ。オリジナル「Wetterstein」は、掠れた音から入って実験的、前衛的。レノン&マッカートニーの「Eleanor Rigby」、ミュートを使ってるのかな?音とジャジーなアレンジがぴったり。いや、改めてかっこいい曲ですね。アヴァンギャルドなアプローチ「Peng! Peng! 」、フリーも息がぴったり。スタンダード「Body & Soul」を、淡々と。
終演は、古い宗教音楽「Ach, bleib mit Deiner Gnade」を荘厳な雰囲気で祈りの時間。

 

全体にタイトル通り、薄暗く静かな雰囲気。
抽象的だったり、実験的だったりの部分もあるのですが、「静寂」という言葉で統一された音風景です。

 

1. A Thousand Kisses Deep
2. The Fifth of Beethoven
3. Nightfall
4. Nobody Else But Me
5. Air
6. Scream & Shout
7. Wetterstein
8. Eleanor Rigby
9. Peng! Peng!
10. Body & Soul
11. Ach, bleib mit Deiner Gnade

 

Till Bronner (tp, flh)
Dieter Ilg (b) 

 

今日のおまけは、アルバムのオープナー「A Thousand Kisses Deep」。

 

 

毎年、巡ってくる忘れられない日ですよね。
ヤフーで「3.11」と検索すると一人につき10円をYahoo! JAPANおよびパートナー企業より復興支援に携わる団体へ寄付してくれのだそうです。
普段は、Google検索が多いのですが、今日はヤフーで「3.11」ですね。

 

んじゃ、退散♪

2018年3月10日 (土)

春を呼ぶサンバ♪ 『Amor E Musica / Maria Rita』

Amor_e_musica


久々のブリジルものは、春の嵐もなんのその、、って、強さを芯に持ったマリア・ヒタの新作です。随分前に『Elo』というアルバムでノックアウトされたものの、随分とご無沙汰になってしまいました。閣下がブログアップしてて気が付いた。って、最近、そのパターン多すぎるな。。(^_^;)
マリア・ヒタは、ブラジルの国民的歌手で36歳という若さで亡くなったエリス・レジーナの実の娘。その大きなプレッシャーにもめげず、数々の賞も受賞し活躍をつづけています。
40歳…円熟のお年頃、、アルバムこの作品もサンバに特化した表現力豊かな思わず踊りだしたくなるアルバム。

オープナーは、メロウな「Chama De Saudade」を艶っぽく。私的にはおばさん声だとおもうのですが、その表現力とうか表情が心を掴みます。まぁ、体が自然と動きますよね。
明るく情熱的な「Nos Passos Da Emoção」。
彼女前作『Samba Meu』にも1曲参加しているアルリンド・クルースの「Saudade Louca」、流石です。囁き系の声の艶っぽいこと「Cara E Coragem」。
タイトル曲は、モライス・モレイラの「Amor E Música」、、「愛と音楽」ですよ!これで、日本中に春がくること請け合い♪ 絶対一緒に歌いたくなる「Reza」、一気に春に突入!
一転、しっとり語りかける「Nem Por Um Segundo」。情感ゆたかに「Pra Maria」。
楽器との融合が素晴らしい「Samba E Swing 」。圧倒的な歌唱力をみせつける「 Perfeita Sintonia」。終演はキュートでキャッチーな「Cutuca」。

マリア・ヒタの歌の素晴らしさはいうまでもないのですが、自然に腰がゆれてくる音楽陣が素晴らしい!
心も体も春に突入することまちがいなしですね♪

1. Chama De Saudade
2. Nos Passos Da Emoção
3. Saudade Louca
4. Cara E Coragem
5. Amor E Música
6. Cadê Obá
7. Reza
8. Nem Por Um Segundo
9. Pra Maria
10. Samba E Swing
11. Perfeita Sintonia
12. Cutuca

今日のおまけは「Chama De Saudade 」。
なんと、アルバムの収録曲がたくさんアップされてるんですが。。

三寒四温とう言葉がありますが、、一気に春をめぜしましょ。
私は車の中で爆音で聴きながら 一緒にさけんでます。笑

って、ことで、、観劇に東京にでかけます。

んじゃ、退散♪

2018年3月 7日 (水)

スカンジナビア半島の哀愁 『Ravensburg / Mathias Eick』

Ravensburg


ノルウェーのトランペッター、マティアス・アイクの新作。
2004年にでた『Evening Falls / Jacob Young』で、初聴きだったのですが、その後来日もしてます。その時、チケットまで買ったのですが、行けなくて知人に譲ったんですよね…。

『Midwest』と同じく、ヴァイオリンを加えているのですが、ピアノ、エレベ、ドラムとパーカッションとういうちょっと変わった編成。
ヴァイオリンのHåkon Aaseは、『Lucus / Thomas Strønen's Time Is A Blind Guide』でも名前があるノルウェーのヴァイオリニスト。前々作の『Skala』に大きくメンバーが被ります。
全作、アイクのオリジナル。

オープナーは、アンドレス・ウルボの穏やかなピアノで始まる「Family」。朗々とたなびく雲のようなトランペットはどこかメランコリー。ヴォイスとヴァイオリンの重なりが美しい「Children」。美しいトランペットの音色なれど、暗く実験的、アビストラクトな「Friends」。哀愁のメロディ、胸に沁みる綺麗なピアノ・ソロ、柔らかなトランペット・ソロ。ヴォイスがいいスパイスになっている「Parents」。ヴァイオリン・ソロが素晴らしい「Girlfriend」、スリリングにリズムが疾走。
タイトル曲「Ravensburg」、どうやらドイツのラーベンスブルグという都市らしい。彼の一家は、全員音楽家なんだそうですが、祖母のルーツがここにあるようです。前作のように都市の印象を心象風景に落とし歌い上げてる感じ。
終演は、そのおばあちゃんに。「For My Grandmothers」、穏やかで柔らか、ヴァイオリンが朴訥な空気を運んできます。

全編に広がる独特の哀愁、朴訥とした印象、タイトルから感じ取れる大切な人たちのオマージュ。そのポートレートの背景に浮かび上がるノルウェーの広大な自然も忘れられません。


1. Family
2. Children
3. Friends
4. August
5. Parents
6. Girlfriend
7. Ravensburg
8. For My Grandmothers

Mathias Eick (tp, voice)
Håkon Aase (vln)
Andreas Ulvo (p)
Audun Erlien (el-b)
Torstein Lofthus (ds)
Helge Andreas Norbakken (ds & perc)

今日のおまけは「Children」。


「もうすぐは〜るですねぇ♪」
と、歌いたくなる今日この頃です。

んじゃ、退散♪

2018年3月 5日 (月)

歌心豊かな穏やかな空間  『Romaria / Andy Sheppard Quartet』

Romaria


イギリスのサックス奏者アンディ・シェパードのリーダー作。カーラ・ブレイ、スティーブ・スワローとのトリオでも、素晴らしい歌心を披露。
2012年の『Trio Libero 』に、ギタリストのEivind Aarseを迎えた前作『Surrounded by Sea』を引き継ぐ路線で同じメンバー。ブラジルのMBPのアーティスト、ヘナート・テイシェイラ曲「Romaria」以外は、彼のオリジナル。

静かな幕開けのオープナー「And A Day ...」。サックスが奏でる穏やかなメロディを残響音のようなギターがなぞる。一転、アップテンポでドラムが刻むシンバル音が緊張感を増す。ダークでちょっとフリーな雰囲気の中で饒舌なサックス、蠢くベース。
タイトル曲「Romaria」の歌心は必聴。ベースとの絡みや、ギターの色彩、パーカッション的に彩るドラム。
ブラシを叩く音?が効果的、明るい「Pop」。ギターのアンビエントな響がくらい空間で浮遊感生む「They Came From The North」。心地のよいサックスの響に誘われる「With Every Flower That Falls」。朴訥としていてナチュラルな響に心奪われる。朗々と吹き続ける「All Becomes Again」。
終演「Forever ...」も静かに、、幕を閉じる。オープナーの「And A Day ...」と一対ですね。

ドラマッチックな変化はないけれど、メンバーと創り出す静寂で優しい色合いの空間は温かい。
静かでいて、情感ゆたかな空間。ベニータのベースソロとシェパードのサックスソロの会話は大人ですね。


1. And A Day ...
2. Thirteen
3. Romaria
4. Pop
5. They Came From The North
6. With Every Flower That Falls
7. All Becomes Again
8. Forever ...

Andy Sheppard (ts,ss)
Eivind Aarset (g)
Michel Benita (b)
Seb Rochford (ds)

今日のおまけは、、ちょうど良い動画を見つけられなかったです。m(_ _)m

んじゃ、退散♪

2018年3月 3日 (土)

貴方も目をとじて  『目ヲ閉ジテ 見ル映画 / トリオ深海ノ窓 』

Photo


ちょっと、前置きがながいです。m(_ _)m
少し前に、Kanazawa Jazz daysのkenさまがお仕事で新潟市にいらした時に、オーディオ・マニアでもある彼が以前から興味をもっていた市内のジャズ喫茶&ライブ・ハウスのJAZZ Flashにご一緒した。
カウンターで、アルト・サックスの話をしていた時にトリオ深海ノ窓の吉田野乃子氏の話になって、このアルバムを強く推薦されていた。と、言うか、吉田野乃子氏がとてもお気に入りのようだった。彼は、アヴァンギャルドなインプロ系の音楽が大好きなので、私も構えていたのだけれど、、持参されてたiPad?で、聴いたアルバムの動画にはいい意味で裏切られちゃったのだ。百聞は一見にしかず、ではないけどれど、、どーんとまっすぐに出てくる音でキャッチーでポップな楽曲を攻めあげるブロウは、なかなか素晴らしかった。で、家に帰ってからご本人にメールで直接注文しちゃったのである。

吉田野乃子氏は、北海道の出身でニューヨークで前衛音楽にどっぷりつかっていた方。現在は北海道に戻っておられ、このアルバムは、北海道のミュージシャンたちと作成したもの。
1、2、4、7、9、10がピアニストの富樫範子氏の作曲、3が吉田野乃子氏の作曲、8はトタニハジメ氏の作曲。コンセプトはアルバムのタイトルそのもです。

オープナーは、嵐の前の静けさで始まる「流転」。静かな顔見せの時間から次第にヒートアップしていく。叙情的なメロディを情熱的に吹き上げるサックス。気がつけばフリーキーなブロウが胸に刺さる。めちゃ、ドラマチックなのよ。いや、まいった、ポップな「Traffic Jam」、きっちり進行するピアノ、異空間に手をだすフレットレスベース。朗々と始まる「空ヲ知ル」、目を閉じて空を見上げる気分。3人の強い念で、その音は宇宙の果てを目指す。おぉ、サックスソロぶっちぎれましたね。ピアノが跳ねる「Polka Dot & Paisley」、ピアノは普通に美しいバップピアノなんだけど、前衛的なサックスのプレイととてもマッチしていて、気持ち良い音空間。
はらはらと散る桜が浮かぶ詩情的な「さくら」、美しくよく鳴るサックスと柔らかな響きのベース、そして硬質なピアノの音が心に沁みる。
「Ring ~ Blue ~」、ピアノの哀愁が、一瞬深海の底にいることを忘れ、その余韻を引き立てるようなサックスの演奏で始まる「Ring ~ Red ~」。サックスは、ノイジーな音やフリーキーなブロウの時以外は、ストレートに感情の伝わる良い音でサックスを吹き上げる。そして、一旦インプロビゼイションに入ると自由奔放に吹上、想いを吐露する。
「Water Drops」、エレクトロニクスの世界は自在に伸び縮みして、見たことのない世界を観せてくれる。なんて、気持ちいいのでしょ。サックスカデンツァから始まった「碧の人魚」、ベースの音の揺らぎが水の中を思わせる。人魚の豊かな長い髪が揺れる。。情熱と冷静の同居。
終演は「Non Rem Sleep」、随分とダンディな演奏ですこと。ええ。。今までのことは、ノンレム睡眠中の出来事にしろって?いや、いや、忘れられない夢でございました…。


よかったな。

このアルバムの勝因は、普段の3人の棲む世界が違うことだと思う。
インプロビゼイションの追及に余念のないサックスが、美しいキャッチーなメロディを提供し奏でるピアノ、空間認識の広さ大きさが異なるベースと組んだ世界は、とてもウェットで日本的風景で情熱的に心に響いたのでした。


1. 流転
2. Traffic Jam
3. 空ヲ知ル
4. Polka Dot & Paisley
5. さくら
6. Ring ~ Blue ~
7. Ring ~ Red ~
8. Water Drops
9. 碧の人魚
10. Non Rem Sleep

吉田野乃子 (sax)
富樫範子 (p)
トタニハジメ (fretless bass)

今日のおまけは、アルバムのオープナーを飾る「流転」。

お雛祭りですね。
小さな陶器のお雛様をかざりましたよ。

んじゃ、退散♪

2018年3月 1日 (木)

ダンサンブルで幻想的、宇宙を感じる 『A Humdrum Star / GoGo Penguin』

A_humdrum_star

ゴーゴー・ペンギンの新譜が『Man Made Object』2年ぶりにでました。
今回も前作と同じメンバーで、路線も電子音楽を一切使用せずにエレクトロニカを再現する「アコースティック・エレクトロニカ」。全作、ゴーゴー・ペンギンのオリジナル。

オープナーは、胸に楔を打つようなピアノの音に、わんわんと響くサウンドが重なる「Prayer」、一瞬にして彼らの世界に呼び込まれる。ようこそ、ゴーゴー・ペンギンの世界へ。
澄んだピアノの音が鳴り響く「Raven」、脳内を駆け巡るブレイクビーツと哀愁が滲みむメロディ。この世界観は唯一無二。
ミニマルなエレクトロニック・サウンドに聴きまごう「Bardo」。機械のような正確無比な演奏は、次第に別の世界に。
「A Hundred Moons」、民族音楽のような雰囲気をまとった不思議な曲。神聖なで原始的な気持ちになりますね。
ど太いベースの先導ではじまる「Strid」も、とてもプリミティヴな感じだが緊張感に満ちている。
ピアノが恐ろしくアグレッシヴな「Transient State」。3人で攻めて攻めて攻める〜。
美しいピアノのリフレインが心地よい「Return to Text」、美しく壮大。腰の強いベースが引っ張る「Reactor」。
終演は、エレガントで繊細なメロディを奏でるキラキラとクリスタルの輝きを持つピアノが印象的な「Window」。

ここからボーナストラック、、
1曲め「So It Begins」、ゆったりとリリカル。2曲め4曲めの「A Hundred Moons」の別ヴァージョン。よりアンビエントな幻想の世界へ。
日本盤ボーナストラック「This Hour」、ゴーゴー・ペンギン風テクノ?

凄いテクニックでアコースティックで創り出すエレクトロニック・サウンドに聴きまごうサウンド。って、書くと、ゲテモノ風なのですが、音楽好きに幅広く受け入れられるダンサンブルなサウンドです。幻想的で壮大な宇宙のようで、前作よりかっこいいと思ったな。

1. Prayer
2. Raven
3. Bardo
4. A Hundred Moons
5. Strid
6. Transient State
7. Return to Text
8. Reactor
9. Window
10. So It Begins (ボーナス・トラック)
11. A Hundred Moons -Alternative Version (ボーナス・トラック)
12. This Hour (日本盤ボーナス・トラック)

Chris Illingworth (p)
Nick Blacka (b)
Rob Turner (ds)

今日のおまけは、アルバムのトレラー。


来日してましたね。
ライブに行けた人羨ましいな。
と、もうすぐ春になるようで、、新潟はその「洗礼」をうけてます。。

んじゃ、退散♪

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