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2018年2月25日 (日)

ノーマの銀幕への幻想 『Descansado - Songs for Films / Norma Winstone』

Descansado


イギリスの至宝ノーマ・ウィンストン。4年ぶりの新譜は映画音楽集。
前作『Dance Without Answer』のメンバーに、パーカッショニストのヘルゲ・アンドレアス・ノールバッケン、チェリストのマリオ・ブルネロを加えイタリアで録音した作品。

オープナーは、古いアメリカの映画からミッシェル・ルグランの「His Eyes, Her Eyes」。
グラウコ・ヴェニエルの仄暗い耽美的なピアノに導かれノーマ・ウィンストンが歌い始める。クラウス・ゲシングのソプラノ・サックスが囀る。まるで、雪解けの春の光景のような静けさ美しさ。
ニノ・ロータの名曲「What Is A Youth?」、手垢に塗れたであろうはずのこの曲の本来の姿が清楚に浮かび上がる。バスクラ、チェロ、パーカッションが高揚感をまし、ノーマの言葉が涙を誘う。タイトル曲「Descansado」、アルマンド・トロヴァヨーリの曲にノーマ自身が作詞、詩情豊かに歌い上げます。
フランス映画にでてくるルグラン曲「Vivre Sa Vie」はインスト中心で、ノーマはヴォイスで楽器のように静けさを加える…。「Lisbon Story」、スキャットで飛翔感を。
エンニオ・モリコーネの「Malena」は、しっとりと哀愁を込めて作詞もノーマ。ルイス・エンリケス・バカロフの曲「Il Postino」の作詞もノーマ。澄んだ空気を感じる歌声。ピアノとバスクラが美しすぎる。フェリーニとニノ・ロータで「Amarcord (I Remember)」もノーマの作詞。物語の朗読を聴くような不思議な世界。アイリッシュ民謡のように賑やかな「Meryton Townhall」。
一転、マリオ・ブルネルのチェロをフィーチャーした「Touch Her Soft Lips and Part」の穏やかさ。。暗闇に沈み込むような「Theme from Taxi Driver (So Close To Me Blues)」もノーマの作詞で。暗く静かな空間に響くバスクラとピアノ、ノーマの声は、とても内省的で心の声に思える。
終演は、グラウコ・ヴェニエルのピアノソロで「Vivre Sa Vie」、すっぽりと闇に消え入りそうだ。

比較的有名な映画音楽を選曲しているのですが、知っている曲も映画の一場面が浮かぶことはあまりないのではないかとおもいます。ピアニストを中心にアレンジが秀逸。
ノーマ・ウィンストンの描く「銀幕への幻想」、としか、言いようがないとおもう。繊細で仄暗いアンビエントな世界なのだけど、決して冷徹な感じはせず、早春の薄曇りの日のようでした。

1. His Eyes, Her Eyes
2. What Is A Youth?
3. Descansado
4. Vivre Sa Vie
5. Lisbon Story
6. Malena
7. Il Postino
8. Amarcord (I Remember)
9. Meryton Townhall
10. Touch Her Soft Lips and Part
11. Theme from Taxi Driver (So Close To Me Blues)
12. Vivre Sa Vie (var.)

Norma Winstone (voice)
Klaus Gesing (b-cl, ss)
Glauco Venier (p)

with
Helge Andreas Norbakken (perc)
Mario Brunnello (violoncello)

今日は、良いおまけが見つからなかったです。
でも、ECMは、Apple musicをはじめ、色々なところで音源を公開しているので、ぜひ、聴いてみてください。

んじゃ、退散♪

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コメント

ECMで映画音楽集とは、と思ったのですがノーマ自身の作詞の曲もあるし、何を歌っても彼女の世界、サウンドになってしまうような気がするのは、すごいと思います。こういう特集ならば、もっとお願いしてしまいたいところです。

TBさせていただきます。

910さま、待ちに待ったアルバムでした♪
まとめの失敗で、ちょっと遅れたのですが、、思ったより早く着いてよかったです。

映画音楽集であるわけですが、、
これは、ノーマの世界とかし言いようがないですよね。
こちらからも、、トラバいたしました。
しかし、ECMのアルバムが素晴らしくて、、すげぇ、、レーベルが偏ったブログになってしまってますです。。

このアルバムは、手に入れようかどうしようか迷っておりました。
 910さんのお話しや、Suzuckさんの「ピアニストを中心にアレンジが秀逸。
ノーマ・ウィンストンの描く「銀幕への幻想」、としか、言いようがないとおもう。繊細で仄暗いアンビエントな世界なのだけど、決して冷徹な感じはせず、早春の薄曇りの日のようでした」というお話しを見て、購入決定となりました(笑い)。
 しかし、映画音楽集というよりは、作詩もその役を担っているのか、「ノ-マ・ウィンストンの人生録」という感じで大いに感動ものでした。有り難うございます。
 TBもさせて頂きました。

風呂井戸さま、映画音楽集という触れ込みは、ちょっとアレでしたよね。
確かに、映画で使われていた音楽なので、嘘ではないのですが。

これは、ノーマの描き出した世界であって、映画を思い起こさせるものではなかったです。
しかし、ブログで言及されてましたが、結構なお歳ではありますが、クリエイティヴでしっかりした世界でした。

「in memory of John and Kenny」

この言葉にジンとしてしまいました。

Suzuckさん,こんにちは。

これって凄いアルバムでした。選曲が素晴らしい。曲の並びにポリシーが感じられる。そして,Norma Winstoneの世界になっているのが何より素晴らしいです。ミニマルな伴奏も適切で,これは本当に優れたアルバムだと思いました。

ということで,TBさせて頂きます。

閣下、返事が遅くなってすみませんでした。m(_ _)m

どこを切ってもノーマ・ウィンストンって感じですよね。
インストの人たちもとても良くて、、やっぱり、ECMが出すヴォーカルものは一味ちがいますよね。

こちらからも、トラバいたします。

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