優しさ溢れる詩情豊かな音風景 『Calma / Carlos Aguirre Trio』
アルゼンチンのピアニスト、コンポーザー、シンガーのカルロス・アギーレ。6年ぶりのピアノ・トリオ作は、2013年から一緒に演奏しているピアノ・トリオでの作品。タイトル「Calma」は、スペイン語で「平穏」だそうです。
全作、オリジナルで、70分超え。ご本人のとった写真とそこに添えた言葉、そして、日本語のライナーとダブル・ブックレットでした。
オープナー「De tu lado del mar」の単音の連打が心の扉を開く。
ポルトガルのピアニスト、マリオ・ラジーニャへ捧げされた曲だそうで、とても穏やかなメロディで柔らかな演奏。始まって1分もしないうちに心のさざ波が静かに消えて行く。
どこか甘い香りのする「 Las flores de Rosalia」、少ない音で会話する3人の息はぴったり。
日本の友人たちへの想い「Hiroshi」。繊細で温かな演奏に心うたれる。様々なドラマを感じるのはタイトルのせいだろうか。。?
少しアップテンポでスリリングな展開で始まる「Kalimba」。カリンバは、アフリカの「親指ピアノ」と呼ばれる民族楽器。その楽器の音色や感触にインスパイアされた心持ち?が躍動感ある演奏になったのかなぁ。14分超えの大作なので、どんどん変化して行く光景をただただうけとめる。
「Dentro mio」、しっとり優しいメロディ、ロマンチックな想い。流麗でリリシズムたっぷりな「Palabras para nombrarte」。迸る情熱。
そして、終演はゲストも加わって壮大にひろがる「 Voces de otra vida y otro lugar」。カマシ・ワシントンの終演曲でもヴォイスがとても素晴らしい効果だったんだけど、この曲でも人生のはるかな旅路を感じる素晴らしい演奏。途中クレジットにないトロンボーンの熱演が、、また、胸に刺さるんですよねぇ。白眉でした。
やはり、曲が素晴らしい♪
そして、流麗で耽美的、詩情豊かでで繊細で思索的な感情表現のピアノ。
仲間とのインタプレーも素晴らしい、穏やかでいて確固たる信念を感じるアルバムです。
タイトル通りのないようでしたね!
解説にある「CDパッケージは重要なもの、ジャケット・デザインはアートであり音の住む家」とう言葉通り、素敵なアートワークが音楽を優しく包んでいます。
1. De tu lado del mar / 海にいる君のそばから
2. Las flores de Rosalia / ロサリアの花たち
3. Hiroshi / ヒロシ
4. Kalimba / カリンバ
5. Dentro mio / 私の心の中
6. Palabras para nombrarte / 君に名をつけるための言葉
7. Voces de otra vida y otro lugar / 別の人生と別の場所の声たち
Carlos Aguirre (p)
Fernando Silva (b , cell)
Luciano Cuviello (ds , perc)
ゲスト
Mono Fontana (synth #7)
Claudio Bolzani (vo #7)
Marcelo Petteta (vo #7)
今日のおまけは、「De tu lado del mar」。
今、来日ツアー中ですね。今回も聴きにいけなかったです。。
しかたないけど、生で聴いた人たちが羨ましいなぁ。
カルロス・アギーレ ジャパン·ツアー 2018 「ラ・ムジカ・デル・アグア(水辺の音楽)」
彼の故郷リトラル地方はパラナ川とウルグアイ川に面した水辺の地域のようで、その故郷にちなんだ曲を演奏するようですね。
すでに、チケットが完売のところもありますが、若干お席が用意できるとこともあるようです。タイミングが合え方は、ぜひぜひ!!!
余談ですが、新潟市も「水の都」です。
とくに、古くからの中心街古町は、新潟島といって海、川、分水に囲まれています。
美しい水辺の風景に癒されること多いですよ。
んじゃ、退散♪
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