親しみやすい曲が並んだ 『She Moves On / Youn Sun Nah』
韓国生まれ、フランス在住のジャズ・ヴォーカリスト、ユン・サン・ナ。前作『Lento』からメンバー一新の新譜です。大好きなウルフ・ワケニウス、ラーシュ・ダニエルソンといったメンバーがいないのは寂しいのですが、ジャズ、ロック、フォーク、etc…幅広い視野を持つマルチ・キーボード奏者ジェイミー・サフトをプロデュサー&メンバーに迎え、ギターには先鋭的な演奏が特徴の鬼才マーク・リーボー。1曲試聴したらめちゃ好みで楽しみに待ってました。
オープナーは、透明感ある伸びやかな声で美しいメロディを切々と歌う「Traveller 」。マーク・リボーのギターがいい味出ている「Teach The Gifted Children 」。ゆったりとしたカントリー調の哀歌「Too Late」。たんたんと想いを歌いあげるヴォカールがめちゃくちゃ心に沁みる。
タイトル曲、ポール・サイモンの「She Moves On」自身の声もダブらせて軽快に。
リーボーもアコギとデュオで歌うPP&Mのポールの「No Other Name」。ジョニ・ミッチェルの「The Dawntreader」の感情のコントロールの巧いこと!
ジミ・ヘンドリックスの「Drifting」、彼女のハイトーンと飛翔感あるエレキが重なってかっこいい。彼女にインスパイアされたバンド(特にギター)の高揚した演奏が聴ける。リーボー本領発揮。笑
ベースとデュオのアメリカ東部の伝承歌「Black Is The Color Of My True Love's Hair」の深い哀しみの表現。イギリスのトラディショナル「A Sailor's Life」は神秘的に歌いあげる。ハモンドオルガンの響きが時代を忘れさせる「Fools Rush In」。
終演は、オリジナル「Evening Star」。ボサノヴァ調の軽やかなリズムに揺れて終演。
言葉の一つひとつに感情を込めてしっかりと歌い上げ、時折、挑戦的なスタイルも垣間見ることのできる彼女らしいバランスの良い作品。
聞き覚えのある親しみやすい曲を揃えながら、洗練されたコンテンポラリーな彼女の歌は独自の輝きを放っている。凛とした空気、その気迫あるパフォーマンスに真剣に聴き入ってしまう。ユン・サン・ナの世界に今回も脱帽。
1. Traveller
2. Teach The Gifted Children
3. Too Late
4. She Moves On
5. No Other Name
6. The Dawntreader
7. Drifting
8. Black Is The Color Of My True Love's Hair
9. A Sailor's Life
10. Fools Rush In
11. Evening Star
Youn Sun Nah (vocals, kalimba )
Jamie Saft ( p,hammond organ, fender rhodes, wurlitzer)
Brad Jones (b)
Dan Rieser (ds)
Marc Ribot (el-g,ac-g) #2, 4, 5, 7, 11
Special Guests #3
Maxim Moston (vin)
Antoine Silverman (vin)
Hiroko Taguchi (vla)
Anja Wood (cello)
今日のおまけはレーベル提供の試聴動画。
暑くなってきましたね。
毎日草むしりに追われる日々となりました。。
んじゃ、退散♪
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