カートの桃源郷的音風景 『Caipi / Kurt Rosenwinkel』
十年来のファンでしたが、生音を聴けたのは「東京JAZZ CIRCUIT 2015 in 富山(9/7)」のソロパフォーマンスでした。ギタープレイに圧巻されたのですが、ヴォイスが入る曲もあって、ジャズギターの最高峰に君臨するこのギターリストが頭に思い描く音風景はメロディアスでヒューマンなサウンドなのではないかななぁ、と、思いました。
新譜の『Caipi 』は、多種多様な楽器を一人で演奏しており、1聴にはロック、ブラジリアンミュージックといったサウンドで、なんとクラプトンがギターで1曲参加しているのも!!何ですが、ペドロ・マーティンス、アントニオ・ロウレイロ、アマンダ・ブレッカーなんて歌を重要視したメンバーがゲスト出演している。彼の頭の中には、我々の想像をはるかに超えたお花畑が広がっていたんだとびっくりしました。
オープナーはタイトル曲「Caipi」。いきなりブラジルの風が髪をさらう。爽やかでクールなサウンド、ここで彼は「guitar, bass, piano, drums, percussion, synth, voice」操っていると。重なるヴォイスも軽やかで。こういうった音楽にたどり着くに10年かかったとあるのだけど、彼の確固たる立場にしてこういった音楽でアルバムを作成させてもらえたんじゃないかと、素人考えですかね。いづれにしてもやっぱりギター巧いなぁ、って思っちゃう私は古い人間なんだろう。
ペドロ・マーティンスの歌を初め全てが絶妙なタイミングで入ってくる「Kama」。
爽快で快活、そして宇宙を感じる「Casio Vanguard」。幸せ感満載ちょっと懐かしい感覚のする「Summer Song 」。
ちょこっとダークなインスト中心の「Chromatic B」、ギターはもちろん、ピアノ、ドラムなどの他の楽器も巧いで〜す。懐かしさと親しみやすさを感じる「Hold on」。
カートの息子さんへの助言?「Ezra」、マーク・ターナーがテナーで参加。柔らかなサウンド。
クラプトンが参加、自分はピアノの高速フレージングも難なくこなす「Little Dream」には、アマンダ・ブレッカーも参加でハーモニーがより美しい。繰り返されるギターのアルペジオに乗った声が美しい「Casio Escher」。ここでのターナーとの絡みは、ジャズギターリストとしての鋭い切り込みを見せる。飛翔する「 Interscape」。終演もひたすら気持ちのいいサウンド「Little B」。このギターソロに溜飲を下げる人は多いのでは?
ずっと、歌を愛してきたカート・ローゼンウィンケル。彼の歩んできて道と歌への愛が歩み寄ったサウンド。
彼の頭の中にあった桃源郷です。
1. Caipi
2. Kama
3. Casio Vanguard
4. Summer Song
5. Chromatic B
6. Hold on
7. Ezra
8. Little Dream
9. Casio Escher
10. Interscape
11. Little B
Kurt Rosenwinkel (acoustic & electric guitars, electric bass, p, ds, perc, synth, Casio, voice)
Pedro Martins (voice, ds, key, perc)
Eric Clapton (g)
Alex Kozmidi (baritone-g)
Mark Turner (ts)
Kyra Garéy (voice)
Antonio Loureiro (voice)
Zola Mennenöh (voice)
Amanda Brecker (voice)
Frederika Krier (violin)
Chris Komer (french horn)
Andi Haberl (ds)
Ben street (b)
今日のおまけは「Kama」
この作品は、賛否両論かもしれませんが、、
それは、狭義でのジャズの中で考えてしまうからではないかと思うんですね。。
私にとっては、とても気持ちの良いサウンドでした。
しかし、音楽家ってすごいね、すべての楽器をこなしてるんですよ。すごすぎますね。
んじゃ、退散♪
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Suzuckさん こんばんわ。
このアルバム通販で1カ月ほど前に注文しましたが、入荷済みのまま倉庫に眠っています。(5枚合わせて注文した内の3枚が今だ入荷せず)
ジャケから想像すると、暖かくなるこれからの季節に良さそうな感じがしますが、いかがですか?
投稿: baikinnmann | 2017年3月10日 (金) 20時34分
baikinnmannさま、こんにちは。
HMVの困ったシステムですよね。でも、キャンペーンの魅力には勝てません。。
想像通り、このあと夏場に向けて大活躍しそうですよ。
四月にカートさまは来日しますよねぇ。
アルバムは、多重録音なんですが、、生で聴くとどんな感じになるんでしょうね。
コメントをありがとうございました。m(_ _)m
投稿: Suzuck | 2017年3月11日 (土) 10時49分
お久しぶりです。
カートの新作、おっしゃる通り賛美両論分かれるアルバムと思いました。
私は、賛です。
4月横浜に来るので、早速ライブの予約入れました。カートには申し訳ないですが、バックメンバーに期待してます。特にアルバムには参加してませんが、ベースのフレデリコ・エリオドロ(SSW アフォンシーニョのご子息)、連れてくるカートにやっぱり感謝です。
ミナス音楽マニアには、たまらないアルバムです。サンバやボサノバを期待すると、肩透かしを喰らいますね^_^
投稿: Namy Hay | 2017年3月12日 (日) 09時23分
すいません。新作にジャズを期待してしまった一人です(笑)。ただ、ボッサのヴォーカルアルバムとして聴いていると、けっこう心地よいので、それはそれでいいのかな、と思うようになってます。やはりこれは賛否両論あるようですね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2017年3月13日 (月) 08時30分
Namy Hayさま、わたしも元々こういうサウンドが好きなの全然オッケーです。
でも、カートさまは、ジャズギター界の皇帝として頂点にいらっしゃるお方なので、、
いろんな見方が交錯するんでしょうねぇ。。
Kurt Rosenwinkel(g,vo)
カート・ローゼンウィンケル(ギター、ヴォイス)
Pedro Martins(g,key,vo)
ペドロ・マルティンズ(ギター、キーボード、ヴォイス)
Olivia Trummer(p,key,vo)
オリヴィア・トルンマー(ピアノ、キーボード、ヴォイス)
Frederico Heliodoro(b,vo)
フレデリコ・エリオドロ(ベース、ヴォイス)
Antonio Loureiro(per,vo)
アントニオ・ロウレイロ(パーカッション、ヴォイス)
Bill Campbell(ds)
ビル・キャンベル(ドラムス)
だそうですね。
行きたいなぁ。。。行けるとしたら、、BN東京ですね。。
投稿: Suzuck | 2017年3月14日 (火) 18時01分
910さま、トラバありがとうございます。
ジャズを期待するのってよくわかります。
なんだかんだと言いながら、、最後の曲のギターソロなんて痺れっぱなしでしたから。
気持ちいいですよね。
夏まで活躍しそうなアルバムですね!
投稿: Suzuck | 2017年3月14日 (火) 18時05分
こんばんは。ご無沙汰しております。
ジャズアルバムを期待した人は結構面食らってしまったようですが、
私は事前に情報を仕入れていたので、割と早く溶け込んでおります。
聴いていて心地良くなる音楽としては、この数年間ではベストですね。
というわけで迷うことなくBN東京にはせ参じます。
TBお送りしました。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2017年4月 2日 (日) 22時46分
奇天烈音楽士さま、トラバをありがとうございます。
私も一昨年かな?富山でのライブを聴いた時に、、
彼の一番の関心事は、高速のフレージングで駆け抜けることより、、
ハーモニーを大切にして、曲を歌い上げることなんだなぁ、、と、感じました。
なので、こっちの路線も違和感はありません。
でも、バッキバキのジャズギターも期待しちゃうのも仕方ないとおもいます!
これから、活躍するアルバムですね。
投稿: Suzuck | 2017年4月 4日 (火) 19時12分