芳醇な余韻…『Chris Thile & Brad Mehldau』
メルドーの新作は、再びデュオ作。
前回は、ジョシュア・レッドマンとの『Nearness』でした。
これは、ジャズの範囲にしっかり収まったアルバムでした。
今回のお相手は、ブルーグラスなどの分野でコンテンポラリーな活躍を見せるマンドリン奏者クリス・シーリ。
頭の中で、きっとシーリは歌うよな、でも、それって越境することが日常茶飯事となっているジャズ界では珍しいことではなくなってきてる。。
なんて、思っていたのですが、メルドーも歌っていた!一本取られましたね♪
一枚目のオープナーの冒頭の影のあるピアノを聴いて、うっとり。
マンドリンのカッティングが聴こえることが今までとちょっと違うけど。
シールの歌が入って、一気に高揚感が上がる。超絶のマンドリンがパキパキ鳴らすマンドリンの高音、繊細で力強いヴォーカル、シャープなピアノ。
ピアノとマンドリンの追いかけっこが楽しいメルドー曲「Tallahassee Junction 」。
ジリアン・ウェルチの「Scarlet Town」では、メルドーもバックヴォーカル。スピリチュアルな雰囲気でいい感じ。
レディ・デイの持ち歌「 I Cover The Waterfront」の哀愁たっぷり叙情的な歌、伴奏。すごい!表現力!!
エリオット・スミスの「Independence Day」の楽器同士で会話のインティメイトな感覚。
一枚目の終演はシーリの曲「Noise Machine」。フォークの情感溢れる世界。
2枚目のオープナーはメルドーの「The Watcher」。丁々発止、リリカルで透明感ある世界。
続く「Daughter Of Eve」はシーリ曲。のびのび、和気藹々と続く2人の世界。
ジョニ・ミッチェルの「Marcie」にみるナイーブさ、叙情性。ピアノとの一体感も素晴らしい。
ボブ・ディランの「Don't Think Twice It's Alright」。マンドリン、ヴォーカル、ピアノの三位一体の演奏。
終演は、アイルランドのトラディショナル「Tabhair Dom Do Lamh」。哀愁あるメロディを仲良く紡ぐ2人の繊細で暖かな世界。
これは、、参りました。
一般的には、選曲や雰囲気からもジャズでない部類なのかもしれません。
が、2人のやり取りからは、そういったことを超えた素晴らしい音の世界が広がっています。彼らの心から溢れた気持ちが私たちの心に沁みるアルバムです。
芳醇な余韻をお楽しみくださいね♪
ディスク 1
1. The Old Shade Tree
2. Tallahassee Junction
3. Scarlet Town
4. I Cover The Waterfront
5. Independence Day
6. Noise Machine
ディスク 2
1. The Watcher
2. Daughter Of Eve
3. Marcie
4. Don't Think Twice It's Alright
5. Tabhair Dom Do Lamh
Chris Thile (mandolin, vo)
Brad Mehldau (p, vo)
今日のおまけは、メルドーもバックヴォーカルに入る「Scarlet Town」。
とても寒いし、雪の予報だったりするのですが。。
陽が長くなってるせいでしょうか?
春を感じますよね。
んじゃ、退散♪
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Suzuckさん,こんばんは。
私は本作はボートラ収録ということで,LPをアメリカから飛ばしているのですが,まだ届きません。3週間前に発送のメールは来てるんですけどねぇ。
それはさておき,これはジャズの文脈で捉えられませんし,評価は聞く人によってそれぞれだと思いますが,私にとってはこうしたBrad Mehldauの間口の広さも魅力ってことになってしまいますね。まぁ,ファンなんで...(笑)。
ということで,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年2月12日 (日) 17時59分
Suzuckさん,余計なお世話ですが,人名の発音は難しいところながら,Chris Thileのラスト・ネームの発音は「シーリー」が近いと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年2月12日 (日) 18時16分
閣下、訂正 ありがとうございます。
「シーリ」と 書いていたつもりなんです。
後で なおしておきますね。
これは、私は ど真中です。
クリス・シーリ!かっこよすぎる。
で、メルドーがこれまた 素晴らしい!
ボーダレスな世界になりつつありますが、各人のルーツは隠せません。
まさに融合なんだけど、メルドーファンからは倦厭されるのでしょうか。。
震えがくるほど ゾクとする瞬間がたくさんあるアルバムです!
投稿: Suzuck | 2017年2月13日 (月) 16時35分
ジャズではないけれど、けっこうカッコ良い音楽だと思いました。なぜかCD1枚に無理やり入れれば入る時間なのに、2枚に分けているのは、コンセプトからなのだろうか、とも思いましたけど、そういう事も音楽を聴いていると、どうでもよくなってきます。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2017年2月16日 (木) 08時10分
910さま、めちゃくちゃ遅くなってすみませんでした。m(_ _)m
私も ものすごくかっこいいと思いました。
シーりは、楽器はもちろんなのですが、、歌がめちゃくちゃ上手くて驚きました。
世の中には、すごい人たちがたくさんいるんですね。
で、すごい人とすごい人がタッグを組んじゃったアルバムでしたね。
投稿: Suzuck | 2017年3月 1日 (水) 18時02分