I Wish I Knew / Issei Igarashi meets Fmuo Karashima
「持つべきものは友」
ちょっと意味は違うけど、ブログやジャズ繋がりの友だちにいろいろなことを教えてもらう。
このアルバムは、Kanazawa Jazz daysのkenさまと中年音楽狂日記の閣下が絶賛していたアルバムです。気になって密林で試聴してみたのですがあまりの美しさに即注文。
この前フリはへそ曲がりが多いジャズファンにはちょっと胡散臭そうに思われそうなのですが。。
ジャズピアニスト辛島文雄は、現在、、癌と闘病中。
予断ならないシビアな状況らしいのですが、演奏仲間の後援もあってライブもおこなっているようです。そんな中、辛島に尊敬と感謝の念を抱いているトランペッターの五十嵐一生の呼びかけに応じた辛島からの提案でデュオのアルバムを録音することに。
ライナーによると5時間テープ回しっぱなしで濃密な時間を過ごし、その結晶がこのアルバムとのこ。そして、ここから直接頼むとその売りあげは辛島文雄支援金となるそうです。
オープナーは美しいピアノイントロに誘われ柔らかなトランペットがゆったりと歌いだす「 I Thought About You」。タイトル曲「 I Wish I Knew」は、どこか儚げで夢の中にいるよう。ピアニストの希望で三拍子で演奏している「Body and Soul」には光を感じる。
どこまでも穏やかな会話がつづく。知っているスタンダードが丁寧に感情を込められて語られている。音楽で2人の気持ちを丁寧に綴るよう。
たんたんとした中に互いの心中をさらけだすような「My Funny Valentine」。遠く別世界から聞こえてくるような「Stella by Star Light」。美しすぎて言葉にならない演奏がつづく。自分の人生もふと考えてしまう深い味わい。
唯一のオリジナルは辛島曲「Tony Williams」。ドラムも演奏していたことのある辛島の創った「Tony Williams」は、緊張感の中に暖かさを感じる。「On Green Dolphin Street」はミュートで。想い出を探るように。
トランペットのアカペラからはじまる「What's New」。他はピアノのイントロに導かれるように語り始める曲なのですが、これはトランペットの美しい演奏から。互いに演奏を慈しむような、濃密な時間を振り返るような演奏で終演。
気がつけばマイルストリュビュートといってもおかしくないようなマイルス由縁の曲や演奏が並ぶ。
しかし、あくまで2人の美学が一致した結果がそうなった偶然なのでしょう。
トランペットの美しく滑らかで情感のこもった響き、ナチュラルな優しいピアノのフレージング、全曲が美しく優しい音風景です。とにかく、穏やかな気持ちになれる1枚です。
互いの状況を気遣い、尊重しあい、、まさに「持つべきものは友」の1枚ですよね。
1. I Thought About You
2. I Wish I Knew
3. Body and Soul
4. My Funny Valentine
5. Stella by Star Light
6. Tony Williams
7. On Green Dolphin Street
8. What's New
五十嵐一生 (tp)
辛島文雄 (p)
残念ながら、YouTubeで動画が探せませんでした。
でも、、
Disk Union
時間は限られてますが全曲試聴できますよ。ぜひ、おうちに一枚!
んじゃ、退散♪
« 石若 駿 Cleanup Trio meets Kurt Rosenwinkel @ブルーノート東京 (6/27 1st) | トップページ | 夏はこれから…『duo / Ichiko Hashimoto & Yoshiro Nakamura』 »
「JAZZ」カテゴリの記事
- 『ジャズ批評 241号』が、、随分前にでてました〜 汗(2024.08.31)
- 眠れぬ夜の子守唄 『Sweet Caress / Franco Ambrosetti & Strings』(2024.08.21)
- 透明感あってメロディアスでリリシズムたっぷり 『New Questions, Old Answers / Aron Tala Trio』(2024.08.18)
- 真珠のような輝きを放つバラッド集 『TRUST / Akane Matsumoto Ayumi Koketsu』(2024.08.04)
- 異色の組み合わせ? 『A New Day / Giovanni Guidi』(2024.07.24)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: I Wish I Knew / Issei Igarashi meets Fmuo Karashima:
» 五十嵐一生と辛島文雄デュオ。これはいいねぇ,どころではなく,感動的。 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
I Wish I Knew 五十嵐一生 Meets 辛島文雄(Village Again Association) ブログのお知り合いであるkenさんが記事にされているのを拝見して,即入手に走った私で [続きを読む]
« 石若 駿 Cleanup Trio meets Kurt Rosenwinkel @ブルーノート東京 (6/27 1st) | トップページ | 夏はこれから…『duo / Ichiko Hashimoto & Yoshiro Nakamura』 »
五十嵐さんのアルバムは最近出ていないですよね。本人も昔と違って、なかなか出せないようなことを云っていました。その意味でも期待したのですが、期待以上でした。
TBできなくなったので、貼っておきます。
http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2016/06/02/151200
投稿: ken | 2016年7月 1日 (金) 23時01分
kenさま、もともとはkenさまのブログ紹介が発端ですので、こちらからご挨拶に行こうとおもっておりました。ブログのアドレス変更もいたしましたよ。
これは、とても良いアルバムでした。好みにもど真ん中。
ありがとうございました。m(_ _)m
投稿: Suzuck | 2016年7月 2日 (土) 07時47分
Suzuckさん,こんにちは。TBありがとうございました。お気に召したようで何よりです。
私は元々,五十嵐一生のラッパを評価している方だと思いますが,このアルバムは沁みましたねぇ。来週のライブはリズム入りのクァルテット編成ですが,同レベルの演奏を期待したいと思います。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年7月 2日 (土) 16時48分
閣下、おかげさまで素敵なアルバムをげっとできて幸せです。
ライブいいですね。
つい、スケジュール確認しましたが、ちょっと無理でした。
新潟でなくてせめて高崎辺りに住んでいたらお出かけできるのにね。
ライブレポ楽しみです。
投稿: Suzuck | 2016年7月 3日 (日) 07時49分