A Cosmic Rhythm With Each Stroke / Vijay Iyer / Wadada Leo Smith
新潟市内は桜の花が咲く始めました。
日当たりの良い場所では満開だったりしますが、これからですね。
天候も不安定で、早朝に霰が降ったり…花冷えという言葉が浮かぶ季節。
そんな言葉にぴったりな緊張感溢れる空間の1枚です。
時代を牽引するピアニストの1人ヴィジェイ・アイヤーが「ずっとヒーローだった」というトランペッター、ワダダ・レオ・スミスとのデュオ。ワダダ・レオ・スミスは初聞きなのですが ヴィジェイのように知的でストイックで抽象画を観るように想像力を掻き立ててくれる。
インドの革新的な女性アーティストNasreen Mohamediに捧げられた即興での組曲が中心。
オープナーは、ヴィジェイのオリジナル曲。静けさの中に気高さを感じる「Passage」。強さと弱さの鬩ぎ合いのよう。
ここからNasreen Mohamediに捧げた組曲「A Cosmic Rhythm With Each Stroke」。
「All Becomes Alive」鼓動のような電子音を背景に、トランペットの高らかな叫びとヴィジェイの抽象的な色付け。
厳しさを感じる「The Empty Mind Receives」での会話は、より強くなって「Labyrinths」を構成。心の自由な叫び。地鳴りのように電子音が響く実験的な空間で大きな間で会話する「A Divine Courage」。擬音のような電子音のが印象的な「Uncut Emeralds」は不協和音的な叫びが続き、強烈に心の不安を掻き立てられつづける「A Cold Fire」。組曲のおしまいはローズのお音色も美しく静謐な中に孤独を感じる「Notes On Water」。。
終演はワダダ・レオ・スミス作の「Marian Anderson」。黒人差別と戦った女性の声楽家へのオマージュ作。最後まで知的で厳しく音楽で訴えかける2人。
厳しい音の世界なのですが、ECM的な空間もあり知的な想像力を掻き立てられる音世界。
世の中と深く、真摯に対峙してます。
Nasreen Mohamediのアート作品をジャケットに使用。
一見、麻布のタペストリーのように見えるのですが、、よく見ると均一な線ではなくて織り傷のように入るアクセントが不思議なリズムを生み出している気がします。
1.Passage
A Cosmic Rhythm With Each Stroke - Suite [2-8]
for Nasreen Mohamedi
2.All Becomes Alive
3.The Empty Mind Receives
4.Labyrinths
5.A Divine Courage
6.Uncut Emeralds
7.A Cold Fire
8.Notes On Water
9.Marian Anderson
Wadada Leo Smith (tp)
Vijay Iyer (p, fender rhodes piano, electronics)
今日のおまけ。
ぼ〜っとした心をシャッキっとさせてくれますね。
背筋がピンと伸びる一枚。
んじゃ、退散♪
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曲にはいろいろ意味が込められているんだろうなあ、と思いつつ、単純に曲として聴いていました。このアルバムもけっこういいですけど、たまには発散するヴィジェイ・アイヤーもそのうち聴いてみたくなりました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2016年4月10日 (日) 10時45分
910さま、2人の強い意志を感じるアルバムだったと思います。
真摯に様々なことに向かい合う2人だからこその作品でしょいね。
仰るように もっとアクティブなヴィジェイの演奏もそろそろ聴きたいです。
今日も新潟は寒くて 場所によっては雪も散らつきました。。
投稿: Suzuck | 2016年4月11日 (月) 09時25分
ごぶさたしております。
日本一のvijayファンのつもりだったんですが、
これは本日やっと入手いたしました。
某ドイツのハイレゾサイトにて、CDより安く出てたもので(笑)。
イヤー緊張しますねえ。
ちょっと前のメルドーのソロと同じく、額から汗が出てまいりました。
しかしハイレゾいいですよ。
投稿: にしを | 2016年4月24日 (日) 00時03分
たびたびすいません。これ知ってましたか?
https://www.youtube.com/watch?v=wqkZem06b3U
投稿: にしを | 2016年4月24日 (日) 00時14分
にしをさま、こちらこそご無沙汰しております。
「ハイレゾサイト」
う〜ん、、音のいいのはわかっているのですが、、
ダメなんです。。
すごい、緊張感で厳しい音の世界だとおもっていましたが、、
教えていただいたYouTubeはもっときびしいですね。
投稿: Suzuck | 2016年4月26日 (火) 13時44分
残響過剰に疑問を感じつつも、ECMならではのアルバムに聴き入ってしまいました。
実はヴィジェイのエレクトロニクスやフェンダーローズにとても惹かれました。
雑音的な音、まで入って現代的だなあと。
ヴィジェイって、あんまり知らないので、もう少し聴かなきゃ、と思いました。あまり知らないのですよね。何かオススメありますか?(ACTあたりを聴いてみようと...)
http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2016/11/06/090056
投稿: ken | 2016年11月 6日 (日) 09時07分
kenさま、ピアノでもよかったら、代表的なアルバムはいかがでしょうか?
Break Stuff
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/break-stuff-vij.html
Accelerand
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/accelerando-vij.html
って、なんだかこの人好きで、、個人的にはハズレはないもんで、、
ついでなんで、
solo
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/solo-vijay-iy-1.html
も、、どうですか。。
あと、お返事がすんごく遅れてすみませんでした。m(_ _)m
投稿: Suzuck | 2016年11月 9日 (水) 17時47分