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音楽で拡がる輪

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2016年2月10日 (水)

What Was Said / Tord Gustavsen

What_was_said

「光の春」だなんて言って浮かれていたら、朝起きたら真っ白になっていたりして。。。
ぼたぼたの雪がつもりました。こうなると気分も冬に逆戻り。
冬景色を煽るようなアルバムを聴いてしまいした。

ノルウェーのピアニストTord Gustavsenは美しいタッチとメロディ。
静謐な面持ちな知的なピアノです。来日したならば絶対ライブに行きたいピアニストの筆頭です。ピアノトリオは文句なく素晴らしい。でも、今回はトリオなのですが、ピアノ、女性ヴォーカル、ドラムという変則なトリオ。でで、ヴォーカルは上手い下手の前に声質の好き嫌いって鬼門がありますので、予約前にYouTubeでチェックしました。少しハスキーで落ち着いた柔らかな声は1聴で気に入りました!

ノルウェーのトラッドとトルド・グスタフセンのオリジナル、3人名義の曲で13曲。
7曲めの後半から8、9曲とインスト、あとはヴォーカルが入るのですが、パシュトー語(アフガニスタン・パキスタンの言葉)と英語で歌っています。
「voice」と表記されているとどちらかというと器楽的な唱法のことが多いのですが、詩を情感こめて歌っています。

オープナーはギリシャの詩人Jalal al-Din Rumiの詩にグスタフセンがメロディをつけた「 Your Grief」。その誠実な歌声とピアノ、ドラムが見事に重なって深遠な世界の始まり。
ノルウェーのトラッド「I See You」は、静謐な雰囲気の中パシュトー語で歌われる。まるで、祈りのように丁寧に淡々と。この曲を含め「 Imagine The Fog Disappearing」、「A Castle In Heaven」、「Journey Of Life」4曲がパシュトー語で歌われその言葉の響きも合わせて非常に神秘的。
「I Refuse」、「What Was Said To the Rose」とグスタフセンの美しい曲を英語で。
三位一体で高揚する場面もあり胸に迫ります。Simin Tander、巧い!ものすごく巧い!!
「What Was Said To the Rose」の盛り上がりはそのままインストで「O Sacred Head」へ。
グスフタセンの2曲「The Way You Play My Heart」、「Rull」をインストデュオで。
凛とした中にキャッチーなメロディもあって、スパイス的な感じかな。
再びSimin Tanderが加わって英語でグスタフセンの「The Source Of Now」。魅力的。
ノルウェーのトラッド「Sweet Melting」をパシュート語で。今度はグスフタセンとデュオ。
もう、心の奥に入り込んでくる感がたまりません。
アカペラで始まるノルウェーのトラッド「Longing To Praise Thee」。朗読?と気迫ある演奏。
終演「Sweet Melting Afterglow」は、3人名義のAfterglowとSweet Meltingで。最後の最後まで瞑想的で神秘的な世界。

鬼門と思われたSimin Tander が肝となった厳かな世界。
北欧のトラッドを題材にして、、そのイメージから大きくかけ離れた手法で敬虔な世界を表現。
つうか、すんごく素敵な世界です。知らないとソンだとおもうわ。


1. Your Grief
2. I See You
3. Imagine The Fog Disappearing
4. A Castle In Heaven
5. Journey Of Life
6. I Refuse
7. What Was Said To the Rose - O Sacred Head
8. The Way You Play My Heart
9. Rull
10. The Source Of Now
11. Sweet Melting
12. Longing To Praise Thee
13. Sweet Melting Afterglow

Tord Gustavsen ( p, electronics,synth b)
Simin Tander (voice)
Jarle Vespestad (ds)

ええとですね、、トルド・グスタフセンには、ノルウェーの女性ヴォーカルSolveig Slettahjell『Natt I Bethlehem』と創った私イチオシの素晴らしいクリスマスアルバムがあります。
非常に瞑想的、神秘的な雰囲気で音と音の間に残る響きがそのまま心に響いてくる神聖な雰囲気は通じ合うものがあるとおもいます。

今日のおまけ。

んじゃ、退散♪

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コメント

ノルウェーのトラッドを別の言語(それもアラビア文字の)で歌う(英語もありますが)というのが、いかにもECMらしいプロデュースの仕方で面白いと思いました。確かに何度でも聴けるアルバムですね。

TBさせていただきます。

 そうですか、変則トリオですね。
 前作はQuartet、どうもTord Gustavsenはこのところ、ピアノ、ベース、ドラムスのトリオ作から離れていますね。彼にとって今回の企画はどの程度の意味を持っているのか解りませんが、Silje Nergaard、Anna Maria Jopek、Solveig Slettahjell等のヴォーカルにピアノを演じてきていますので、それ程新たな挑戦でもなさそうですね。しかし、これは私はまだ未聴ですので、早速聴きたい候補の最右翼となります。ご紹介参考になりました。

Suzuckさん,おはようございます。

このアルバムはいいですねぇ。聞く前は普通のピアノ・トリオの演奏を期待していた私でしたが,こういう路線であれば大歓迎ですね。おっしゃる通り,Simin Tanderの声が魅力的なこともありますが,Tord Gustavsenのピアノがその声にジャスト・フィットって感じです。予想外の音ではありましたが,これはまさに「嬉しい誤算」でした。それにしても全く同じような感覚なので,ある意味笑ってしまいました。

ということで,こちららかもTBさせて頂きます。

910さま、アナ・マリア・ヨペックのメセニー版の時も思いましたが、、
普段、聞き慣れていない言語の響きって思わぬ相乗効果を発することがありますよね。
グスタフセンが考えた世界なんだとおもうのですが、アイヒヤーのプロデュース能力凄し!

風呂井戸さま、、うまく言えないのですが、、
すごい挑戦的作品だとおもいました。
ヴォーカルの歌伴って感じの音楽ではないのですね。
3人で一つの世界を突き抜けた感の極みを感じます。
ぜひ、グスタフセンファンであられるし、聴いてみてください。

閣下、まさに予想外の誤算って感じです。
こういう音楽に出逢えることは皆さんのおかげだと思っています。

ドラムも含めて3人ではまり込んでしまった感じで、、
こういう世界は考えてもいなかったし、これは聴いてみないとちょっとわかんないとおもうんですねぇ。
グスタフセンは歌伴も巧いとおもうんですが、そういう世界を突き抜けてるとおもいます。
すっごい インパクトあるアルバムだった、、、。。

こんばんわ。
グスタフセンは昔のトリオくらいしか聴いたことないんですけど、
一人で静かに、瞑想したい時、夜の窓辺を見ながら物思いに
耽りたい時、ぴったりのミュージシャンですね。
音の定位が硬質でスペーシーなことは勿論なんですが、
なにより彼の曲には物語性がある。
suzuckさん紹介のこのアルバム、
凄そうですね。三位一体の実験作を是非聴いてみようと思います。
しかし、世の中には素敵な音楽が本当にいっぱいありますね。

bleyasaさま、世の中便利になりました。
もしも、貼り付けた音源に興味がわいたら買って損はないとおもいます。
どうか、お気に召しますように。って、本当に素敵な音楽にあふれていますね!

実に遅ればせながらレコードで入手(実は機械的にサルベージ)。これが実にいいですね。
最近のECMにやや??だったのですが、不明を恥じました。耽美一色ではなく、やや抑制的でありながら色彩豊かな音に感嘆。声質も微妙にECM的な温度感から外れているのが、良いと思いました。
ボクにはやや微妙な声なんですが、適切な料理で実に美味しく仕上がった感じかなあ。
http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2016/11/15/080915

kenさま、巡礼の旅 ご苦労様です。m(_ _)m

ネット通販のサルベージ機能は だいぶ高度ですよね。
ヴォーカルは微妙でしたか。
でも、さほど気にならずに済んだようでよかったですね。笑
私も、聴けることならレコードで聴いてみたいです。

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