N/Y / 新垣隆 吉田隆一
雨水の日にはちゃんと雨が降ったのに。。。まだ、霰が舞い降りたりする季節の狭間です。
白と黒のジャケットがえらくエレガントなこのアルバム。
去年、話題の人となった新垣氏がピアノを弾いてます。
TVで毎日のように新垣氏の姿があった頃、Facebookで彼の災難を心配し心を痛めてた方の丁寧な文章を読んだときにとても感銘を受け興味を持ちました。でも、現代音楽が専門とのことでアルバムを買うチャンスもないかもしれないな。。と、思っていたのですが。。なんと、フリージャズのバリトン奏者吉田氏とのデュオ。どうやら、デュオになったのには「神様の思し召し」的な偶然もあったようですが、村井プロデュースによって生き生きと奔放に動き回る二人の音風景が納められています。静かな曲ばかりではないのですが不思議とジャケットの印象のように優雅で洗練された空間、素敵な作品。
二人のオリジナルを中心に他に組込まれた曲が、これまた興味深いものだったり、アレンジだったり。そして、二人名義の曲は基本的に録音時に即興で作曲したものだそうです。
オープナーの「Vertigo」、そ〜っと歩み寄るような短い曲。
吉田作曲「野生の夢~水見稜に~」毅然としたピアノとまろやかでどこか優しいサックスが重なり合い、サックスがフリーキーな音になってもピアノの浄化作用が大きく難解さを感じずおもしろく聴ける。
バリトンサックスの震えがぞくぞくする何処か冷めた新垣作曲「秋刀魚」というより深海魚風。動く動く、二人の進行にドキドキはらはらしちゃう吉田作曲「皆勤の徒~酉島伝法に~」、「へんな音させたら日本一」のお言葉通りとても二人とは思えない音の品評会のよう。どうも、吉田曲での楽しい動きが楽しくて仕方ない私。。
マイクの位置を変えることでのがらりと空間を変えた「Spellbound」。これはECM作品の気品よね。
意気投合した「怪獣のバラード」の明るさ、清さ、サクサクと軽やかなサックスは意表を突きますよね。かけ声とともに始まる全力疾走?「 Stage Fright」。超低速「Embraceable You」の新鮮さはミステリアスですね。「The Birds」んもう、宇宙人の会話か?!
「Sophisticated Lady」エリントン曲の優雅さ満載、美しいピアノの音が堪能できます。
木訥で親愛を感じる「Topaz」。
終演は郷愁を感じる「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」。。きっと、「明日ハ春」でしょう。。
あのとき、新垣氏擁護のTweetで彼の才能の豊かさについて語る者が何人かいたわけですが、、
ここに、その片鱗?が記されています。お正月にバラエティ番組でも拝見したけど。。
違う水槽で泳いでいた2匹の魚だったはずなのに、仲良くスイスイと泳いでいます。すっごく、ぴったりと息の合った楽しいアルバムでした。
でも、二人で溶け合ってるとか絡み合ってるとかそういう感覚とは全くちがうのですよね。
それぞれの個性が独立したまま別の音楽が成り立っている気がするのです。最後の最後まで。
「ジャズ」って狭義の定義には当てはまらないとおもうし、「変な音をさせたら日本一」の面目躍如の項目もありますので、その辺を踏まえてお買い求めください。なんちゃって♪
1. Vertigo(新垣隆、吉田隆一)
2. 野生の夢~水見稜に~(吉田隆一)
3. 秋刀魚(新垣隆)
4. 皆勤の徒~酉島伝法に~(吉田隆一)
5. Spellbound(新垣隆、吉田隆一)
6. 怪獣のバラード(東海林修)
7. Stage Fright(新垣隆、吉田隆一)
8. Embraceable You(ジョージ・ガーシュウィン)
9. The Birds(新垣隆、吉田隆一)
10. Sophisticated Lady(デューク・エリントン)
11. Topaz(新垣隆、吉田隆一)
12. 明日ハ晴レカナ、曇リカナ(武満徹)
新垣隆 (p)
吉田隆一 (bs)
このまま春になあれ。(おまじない)
んじゃ、退散♪
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