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音楽で拡がる輪

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2011年5月27日 (金)

Natsukashii / Helge Lien Trio



父の趣味は写真。
その昔は、写真は撮るだけでのものではなくて、自分で現像もするものでした。
ええとね、、フイルムからネガが作られ、それを印画紙に照射し、現像液で浮かび上がらせるといった流れだった気がします。
現像液に浸すと、真っ白だった印画紙に、過去の瞬間が浮かび上がって来る。。
面白くて、夜更かしを怒られながらも部屋の隅っこで、父の作業を眺めていたものでした。酸っぱい臭いはなんだったのかしら。大好きだったあのアナログな機械たちは何処に行っちゃったのかしら。
わたくしは、、あれから、あれから、、随分と遠くに来てしまいました。。

彼自身が撮ったモノクロのジャケット写真に浮かぶ2人の子ども。
まるで、心の中で想い出が蘇るときのように、2人に焦点があって、まわりがフォーカスされてます…。道の奥に見える建物がなんだか教会に思え、人生の道のりを感じてしまうジャケットでした。
いつの日か、、わたくしも、ふとものを想うとき、優しい笑顔しか浮かばない日が来るのかしら。

オープナーはタイトル曲、Natsukashii。しっとりと、柔らかに、、綺麗なタッチなのですが、、でも、重さののある音です。静かな曲なのですがベースとドラムのサポートがこれまたよくて、心にしみていきます。日本語の「懐かしい」という表現によくあう曲調。一転、三位一体で駆け抜ける躍動感溢れるAfrikapolka。ドラムがポップな感じで楽しい!仄暗く内省的な雰囲気、厚いサウンドBon Tempi。
スリリングに走るピアノで始まるE。途中のベースソロをはさみ同時進行でヒートアップしていく中、沢山の音がこれでもかと重なった聴き応えのあるサウンド。
重たいドラムのリズムで始まるSceadu。ピアノとアルコの重なりは心重く響き、次第に緊迫していく、重厚なサウンド。
切なくなるようなロマンチックな甘い響きで始まる Meles Meles。寄せて返すように美しい調べを重ね、、そこに年月を感じる。陰影を保ったままHymneへ。瞑想にも通じる世界が一転、彼が好きなエヴァンスのようなリリカルな世界を創り出す。
骨太に単調なフレーズを繰り返す過程で見せる聴かせるUmbigada。そのまま硬質でダークなSmall No Need。
終演は、大きな空間を創り出すことに成功してるLiving In Different Lives。ノルウェーの風土なのだろうか。。ゆったりと。。おしまい。
オスロのレンボースタジオは、やはり美という食べ物で永遠の命を繋ぐ魔物が住んでいると確信しました。

リエンのピアノは、1音1音が重たくしっかりしてます。湿度のある感じ。
太陽からの風も感じるし、地中からの熱も感じるし、内側からの声なき声も感じます。演奏は、間を大事にしたゆるいものから、感情の爆発を抑えられないようなパーカッシブに雨あられと音を降り注ぐものまで、違和感なく混在してます。
ベースとカラフルなドラムとの阿吽も見事なもので、ピアノトリオとしての存在感もしっかりあるのかなぁ、、と。
曲にも演奏にも、緩急、明暗、ついており、始めと最後を心落ち着かせた曲で一枚聴きやすいアルバムになってます。


1. Natsukashii
2. Afrikapolka
3. Bon Tempi
4. E
5. Sceadu
6. Meles Meles
7. Hymne (Til Jarl Asvik)
8. Umbigada
9. Small No Need
10. Living In Different Lives

Helge Lien (p)
Frode Berg (b)
Knut Aalefiaer (ds)

ノルウェーのピアニストHelge Lienを知ったのは、5年くらい前かな。彼のデビュー作はWhat Are You Doing The Rest Of Your Lifeで、、ずっと、同じメンバーで演奏を続けるトリオです。5年前にTo The Little Radio/Helge Lien Trio、で、がっちりとはぁとぉを鷲づかみされちゃいまして、あまり熱心ではないものの追っかけております。今回、リリース情報が出たときは、嬉しい!って、思ったのではありますが、「Natsukashii →懐かしい」ってタイトルみたときにちょっと退けました。。(へそ曲がり)でも、聴いたら、へそ曲がりが思うような媚びうるものなど全くなく、やっぱり、とてもよかったの。ウニオンから国内版でてましたが、、お安いのにしちゃった。m(__)m

タイトル曲がozella musicのレーベルサイドからライブ動画と音源がでてたので、今日のおまけ。

音だけ短いヴァージョンもあるね。

 


これは、静の方の演奏なのですが、彼の魅力は、躍動的でエキサイティングな演奏にもあります。
是非、CDでご体験くださいな。

週末です。月末です。一週間お疲れさまぁ。一ヶ月お疲れさまぁ。
そう、、5年前のTo The Little Radioの頁にも「庭の薔薇が咲きました」、、と、書きましたが。。
季節は巡り、、今年も、薔薇が咲いてます。。
んじゃ、退散♪

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JAZZ(Far North )」カテゴリの記事

コメント

すずっくシスターこんにちはmonakaです。
このアルバムの1曲目に大切なものを思い出す力がありますね。
お父様の思い出がジャケとともに浮かび上がるとこととても美しくこちらからもうかがえます。
ジャケの写真は子供でしたか。私は、私ともう一人の女性の古い写真かと思ってしまいました。TBよろしくお願いしmす。

http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/52853dd30d7ab88c2742867b478782b3/df

すずっくさん、お久しぶりでーす。
新潟は夕方から雨になってしまいましたね。
夏のジャズストリートに八木ブラザーズがでないのは残念です。

懐かしい、聞きました。日本の歌みたいですね。

ブラザー最中さま、、おはようございます。

>すずっくシスターこんにちはmonakaです。

はい。雨ですね。

>このアルバムの1曲目に大切なものを思い出す力がありますね。

素敵な曲ですけど、年齢を重ねた方が心にしみちゃうかも、、しれませんね。

>お父様の思い出がジャケとともに浮かび上がるとこととても美しくこちらからもうかがえます。


そうですねぇ。
最中さまが、ブログに使ってるジャケ写真をお借りできると嬉しいです。
父と母とは、普段は離れて暮らしていたので、、怒られた記憶より、こういう記憶が残ってます。ずっと、げんきでいてほしいです。

>ジャケの写真は子供でしたか。私は、私ともう一人の女性の古い写真かと思ってしまいました。

そうですか。そうなのかもしれませんね。
と、見た人それぞれの想い出がかぶるのでいいのですよね。

ありがとうございました。
転移はこわいです。はい。

ひまわり娘さま、、おはようございます。

>すずっくさん、お久しぶりでーす。

はいはい。

>新潟は夕方から雨になってしまいましたね。

そうですね。近くの神社がお祭りでしたが、行き損なってしまいました。

>夏のジャズストリートに八木ブラザーズがでないのは残念です。

はい。
また、次回をご期待くださいませ。
八木の弟さまと、細木さまたちのユニットは参加しますので、よろしくね。

>懐かしい、聞きました。日本の歌みたいですね。

あ、そうですよねぇ。
そう、、日本情緒に溢れているかも。。

ありがとうございました。

すずっくさん、こんにちはmonakaです。

昨日はキースに行ってきました。なんとこのなつかしいと同じ感じの演奏があり驚きました。

>最中さまが、ブログに使ってるジャケ写真をお借りできると嬉しいです。

どうぞご自由にお使いください。私は記事にするアルバムは自分で撮っております。
最近わかりましたが、著作権のもんだいからアマゾンのものを貼り付けている方もいらっしゃいますね。
申し訳ないけれど、アルバムの記事を書く、そのアルバムの写真をとるそれを合わせえる作業をするということが私のblog作業です。
そしてそれはすべてアルバムへの応援、辛口でもそれに興味がわくように書いているつもりです。
話がとびましたが、写真はご自由にお使いください。

こんばんは
「Natsukasii」 いいタイトルですね。ジャケも。

ほんと この記事読んでいたら懐かしいなぁって思いました。
(u_u)♪

赤ちゃんの時の写真は モノクロで だんだんカラ-になっていく…
わたしの父も 自分で現像はしなかったけど よく好きで写真を撮っていました。
わたしにも カメラのファインダ-をのぞかせて シャッタ-を一緒に押して 写真を撮る楽しさを教えてくれました。
今ではフィルムからデシタルになりましたね。
あの頃は ほんとに懐かしい…
このアルバム 聴いてみたいです♪

ブラザー最中さま、、

>すずっくさん、こんにちはmonakaです。

はいはい。こんばんは。

>昨日はキースに行ってきました。なんとこのなつかしいと同じ感じの演奏があり驚きました。

そうなのですか。。
つうか、キースは現役のピアニストで、彼の影響を全く受けていない人は少ないですよねぇ。

>どうぞご自由にお使いください。私は記事にするアルバムは自分で撮っております。

つうことで、お拝借しました。

>最近わかりましたが、著作権のもんだいからアマゾンのものを貼り付けている方もいらっしゃいますね。

うん。わたくしは、自分でデジカメデーターをパソコンに落とせないからです。
携帯写真は、限界があるモン。

>申し訳ないけれど、アルバムの記事を書く、そのアルバムの写真をとるそれを合わせえる作業をするということが私のblog作業です。

はい。理想なんだけど、できないものはできない。
写真、昔は載せてなかったのですが、やはり、ジャケット写真も必要だと思って。

>そしてそれはすべてアルバムへの応援、辛口でもそれに興味がわくように書いているつもりです。


最中さまくらい審美眼あれば辛口もオッケーですよ。
すずっくは、偏りすぎていて。
だから、好きなモンだけでごまかしてます。はい。

マーリンさま、、

>こんばんは
>「Natsukasii」 いいタイトルですね。ジャケも。

そうなんです。
マーリンさまのように、素直ならば良いタイトルって、思いますよね。

>ほんと この記事読んでいたら懐かしいなぁって思いました。
(u_u)♪

でしょ。(笑)

>赤ちゃんの時の写真は モノクロで だんだんカラ-になっていく…
>わたしの父も 自分で現像はしなかったけど よく好きで写真を撮っていました。

そう。家族の写真を沢山撮ってましたよね。

>わたしにも カメラのファインダ-をのぞかせて シャッタ-を一緒に押して 写真を撮る楽しさを教えてくれました。

優しいお父様、、だから、マーリンさまは優しいのでしょう。

>今ではフィルムからデシタルになりましたね。
>あの頃は ほんとに懐かしい…

そう。フイルムの時代は、一枚一枚大事に撮ってました。
デジタルになって、メモリーさえ大きければ、沢山とれますので、
ちょっと、雑になってしまった。
わたくし、、信じられないだろうけど、一眼レフの自分用のカメラ持ってるんですよ。

>このアルバム 聴いてみたいです♪

うん。
いつか、是非♪

こちらからもTBさせていただきます。
久しぶりのリエン・トリオだったのですが、前2作とは違い本作は静と動のバランスもバッチリで(のように感じた)、最高に良かったです。
特にタイトル曲の1曲目には、さすがの私も感動しました。
日本の心までよく知っているリエンにはビックリですね。
ジオラマのジャケットも、曲のイメージにピッタリだと思います。

ナリーさま、、

>久しぶりのリエン・トリオだったのですが、前2作とは違い本作は静と動のバランスもバッチリで(のように感じた)、最高に良かったです。

リエンのピアノ、美しさだけではなくていいですよねぇ。
今も、違うアルバムで聴いてるのですが、メロメロです。

>特にタイトル曲の1曲目には、さすがの私も感動しました。

って、少し、笑ってしまいました。
ドラムソロのすげぇの以外で、ナリーさまを泣かせるのは、大変なんですよねー。

>日本の心までよく知っているリエンにはビックリですね。

考えたら、おひげだらけって、結構好きなんですよ。。おぉ。。

>ジオラマのジャケットも、曲のイメージにピッタリだと思います。

これって、ジオラマなの!
マジッスカ。おぉ。。。。

これ、ジオラマなんですかねぇ?

最近のカメラって、ジオラマ風に撮れるエフェクトついているのけっこうありますよね。僕の携帯のカメラもこんな感じに撮れますけどね。
僕は実写にジオラマ処理をしたものかなって思ってました。

ヘリゲは昔のほうがよかった、というのは僕の偽らざる気持ちで、特にデビュー作のアザミのCDなんかは最高だと思ってます。最近はリスナーに媚び過ぎです。何しろタイトルが「Natsukashii」ですもん。

クリスさま、、
と、、なんだか、パソコンの調子が悪くて、、、、。

>これ、ジオラマなんですかねぇ?

わかんない。でも、いわれると、そうかなぁ、、って、感じもありますよね。

>最近のカメラって、ジオラマ風に撮れるエフェクトついているのけっこうありますよね。僕の携帯のカメラもこんな感じに撮れますけどね。

へぇ。そうなんですか。。
一ヶ月くらい前に、iフォンに買えたんですけど、なんか、ちゃんと使いこなしてない。(汗)

>僕は実写にジオラマ処理をしたものかなって思ってました。

あ。。。そうかもしれませんね。
ジオラマって、作るのすげぇ、、大変でスモン。


>ヘリゲは昔のほうがよかった、というのは僕の偽らざる気持ちで、特にデビュー作のアザミのCDなんかは最高だと思ってます。最近はリスナーに媚び過ぎです。何しろタイトルが「Natsukashii」ですもん。

クリスさんに勧められて、アザミも買いましたよ。
懐かしいって、タイトルはわたしもひけました。
媚びてるんでしょうか?
なんか、ゴロが気に入ったのか、、それとも、日本が好きなのかもしれませんよ。

真偽はわかりませんが、優しそうなお顔になってましたよね。
びっくりしちゃった。

おはようございます。
Mushiatsuiですね。夏はこっちの地方のヒンヤリ感とホッコリ感がはまりそうです。
それにしても、こんな旋律を生み出せるなんてHelge Lienって凄い。北欧のタッチだけれども和の心を持ち合わせているような。以前のサイケというか退廃的というかそんなところも最後の方ありますが、ジャケの裏をみると、ずいぶんといい笑顔で、日本人的ないいかただと、丸くなったのでしょうか。
TBさせていただきます。

とっつぁんさま、、お返事遅くてごめんなさい。

>おはようございます。

はい。こんばんは。

>Mushiatsuiですね。夏はこっちの地方のヒンヤリ感とホッコリ感がはまりそうです。

蒸し暑い、、ですかぁ。(笑)そうですよねぇ。
って、この夏は、、また、特別かも。
暑さだけでなくて、。

>それにしても、こんな旋律を生み出せるなんてHelge Lienって凄い。北欧のタッチだけれども和の心を持ち合わせているような。

和の心、って、日本人だから感じるって、上から視線なのかもしれませんね。

>以前のサイケというか退廃的というかそんなところも最後の方ありますが、ジャケの裏をみると、ずいぶんといい笑顔で、日本人的ないいかただと、丸くなったのでしょうか。

そうなのねぇ。
バイキングみたいで、眼光も鋭かった記憶がありますが。。
人は、いろいろありますからねぇ。。

扇風機を小屋から引っ張りだしてきました。
我が家はガスで冷暖房なのですが(えっへん)、微力でも節電は心懸けようと。。
でも、おかげで夏ばてが早くにやってきました。(笑)

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